コラム

社員の化学日記 −第141話 「無題」−

昨年からスマホを使い始めた。

パソコンは会社で使わざるを得ないので使っているが,スマホを持ち歩くようになって日常生活に飛び交う情報量の多さに改めて驚いた。

世界規模の流行をみせているコロナウィルスに関連しても,マスクや消毒用アルコールが品薄となるのはわかるが,SNS上に流れた「今後トイレットペーパー等の紙製品も品薄状態となる」 というニセ情報によって紙製品を買いだめる人が続出。 トイレットペーパーなどの紙製品は国内需給率は100%であるらしく,デマであることがすぐに明らかになったが,一時的に店頭の品薄状態を招いてしまった。

誰もがいろんな情報を発信できる時代になったが,発信する側の責任もさることながら,受ける側もよく吟味して行動しなければならない。

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ネット情報ではないが,先日の毎日新聞朝刊に国立天文台が発表した情報が掲載されていた。

2017年に日本の広い範囲で目撃された明るい流星は,地球に近い軌道を飛ぶ小惑星から放出されたかけらだったとを発表した。 この小惑星は太陽の周りを1年と2か月ほどかけて太陽の周囲を公転しているが,地球の軌道と交叉しているため今後1000万年以内に地球に衝突する確率は6%という。

老い先短い自分にとっては関係ない話とは思ったが,何と昨年7月に「小惑星衝突の危機」があったらしい。

地球とニアミスとなったのは地球近傍天体(NEO)として監視されていた小惑星のうちの1つで,日本時間の24日午前,ブラジルの観測機関が地球に接近していることを初めて見つけたとのこと。 その翌日午前には地球から約7万2000キロ(地球と月の距離の約5分の1以下)にまで接近し,毎秒20数キロの推定速度で通過した。

「何だ,7万キロも離れていたのか」と思いがちだが,この距離は天文学的には1つ間違えば地球落下の可能性もあったニアミスであり, この小惑星の大きさ(推定59〜130メートル)からすると衝突していれば東京都程の範囲を壊滅させるほどの大被害を与える可能性があったとのこと。

「小惑星衝突」といえばSFパニック映画の定番らしいが,SFの世界だけではなく現実世界でも起こっているとは驚いた。

各国の観測機関では,地球近傍天体のうち地球と衝突する確率が高く,なおかつ衝突時に地球に与える影響が大きいと考えられる小惑星を監視しており, その数は1300程に上るらしく,JAXAの探査機はやぶさで有名になった小惑星「イトカワ」と「リュウグウ」もその対象とのこと。

とはいえ,万が一そのような衝突危機に関する事前情報が流れても,逃げようもなくパニックになることは明白。

昨年のニアミスもその時に情報として飛び交っていたらどうなっていたか…。情報とは恐ろしいものである。

【YS(ペンネーム)】

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