職場放棄


 全身どころか影までライトグリーン一色の人影が、いくつも雑踏をすり抜けていく。地下鉄の入り口やデパートなどから、まだ続々と飛び出している。人ごみにも邪魔されない程度の薄っぺらい体躯で、するすると一目散にどこかを目指して走っている。
 怪訝な表情でそれを見送る人々を尻目に、私は力の限りその人影を追いかけていた。自分を含めみんなには感じられないだろうが、あの人影が逃げ出すほどの、何かとてつもない危険が迫っているはずだ。その行き先はわからないけど、きっと他のどの出口よりも安全に違いない。


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