ひたすら蚊を食べている。
 どういうわけか、蚊の味の虜になってしまった。恐らくは蚊そのものではなく、その腹の中に溜まっている血の味に魅せられてしまったのだろう。樹液を吸う雄ではなく、人間の血を吸う雌ばかりを好んで食べているのがその証拠だ。
 正直、いくら夏場で大量に飛び回っているとはいえ――しかも近くには水場と草むらがあり、ボウフラ発生の条件は揃い過ぎている――、これだけをいくら食べたところで腹が満たされようはずもないのだが、どうやら他のものを受け付けなくなってしまったらしく、蚊以外のものにまったく食指が伸びない。
 いつか私の体内に収まった蚊の骸たちが、消化され原型をとどめなくなって融合し、巨大な一匹の蟲と化して、この薄い腹の皮を突き破って飛び出してくるのではないかと、そんなことばかり最近は考えるようになった。
 そして私は、今日も蚊を捕らえては食べ続けている。

ねーお母さん、このカエルさん、ぼーっとして何考えてるのかなぁ?


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