最近奇行の目立つ友人が「これ、面白いぞ」と一冊の本を貸してくれた。彼はそれを俺に渡した後、ブリッジしたままでどこかへ去っていった。器用に歩くもんだ、と変なところで感心してしまう。
家に帰り、ベッドの上に寝転がって本を開いた。
原稿に消しゴムではなくバナナを擦り付けている漫画家と、ペンの代わりにお酒の瓶で字を書いている小説家が登場する話だった。車のハンドルは助手席の後ろについていたり(それでちゃんと運転できるらしい)、犬が猫に首輪をつけて散歩させていたり、とにかく奇妙な話が延々と続いた。
「なんだこりゃ?」
が、その混沌とした世界にいつしか俺は引き込まれていた。
「ふぅん……。確かに面白いな」
そう耳の奥で呟いている間も、足の裏はずっとページにあてたまま文章を追っかけていた。
――了――