細雨


 柳の枝が揺れるような音。霧雨が世界を支配する中を、二人で一本の傘。
 小さな川べりをゆっくりと歩く。窓の明かりやネオンを滲ませる川面に、数百数千の水円が散りばめられる。その中に、歩調を合わせるようにゆっくりと、大きな波紋がひとつ、またひとつ。
 ――面白いね、亀か何かが追いかけてきてるよ。
 ――いいえ、川に映ったわたしたちの足跡よ。
 君の答えのほうが素敵だったので、僕は微笑む。
 ――でも、それなら対になってくれればいいのに。どうして一人分だけなんだろうね。
 意地悪く言うと、君はちょっと驚いた顔を見せて、寂しそうに笑った。


Go Back  To Home