害虫
あ〜あ……、ったく、いい加減にして欲しいね、こいつら。もうやんなっちゃうよ。一体全体、どうしてこんな連中が現れたんだか、誰か僕に教えてくれよ。
え、僕の名前? そんなのどうだっていいじゃない。
それより、ちょっと聞いてくれよ。こいつら酷いんだから。
いつからこの鬱陶しい奴等が僕の顔に住み着いたんだったかもう忘れちゃったんだけど、時間が経つごとに、やることがだんだん滅茶苦茶になってきたんだ。新種の害虫、って言うのかな。とにかく悪質で好き放題やらかして、何度対処してもしきれないんだ。友達に勧められた薬を使ったり、実力行使にも出てみたんだけど、その度に耐性を身に付け、対抗の仕方も巧妙になってきて、何だか抗生物質の効かない細菌を相手にしてるみたいだ。今じゃ自己修復の速度ぐらいじゃ追いつかなくなってきた。
もう何回も友達に愚痴っているんだけど――僕の友達はみんな無事なんだ、何で僕だけこんな目に――、こいつらに遭わされた僕の被害を列挙してみるよ。
まず、頭に禿げができた。奴等の産出する毒のせいらしい。全く冗談じゃないよ、この美しい顔が台無しじゃないか。そりゃあ僕だって、もう若いとは言えない歳だけど、それにしたってまだ早いよ。こんな連中にやられさえしなけりゃ……くそっ!
次に、僕の顔のあちこちに染みを作った。どうも奴等の排泄物の成れの果てらしいけど、こっちとしちゃたまらないんだよ。拭い去るのにとてつもなく苦労するし、第一臭くてしょうがない。固まっちゃったら二度と取れないし、勘弁して欲しいね。
それに、顔の細胞の奥にあるたっぷり蓄えた栄養分を、とにかくとんでもないスピードで奪い去っていくんだ。それだけじゃない、その栄養分を利用してさらに繁殖を繰り返し、増えた分だけまた消費していく。お陰でもうあんまり栄養が残ってなくて、顔のツヤもなくなってきちゃったんだ。……とほほ。
またたちの悪いことに、繁殖能力が異常に高いんだ。増殖速度はそれほどでもないんだけど、一匹一匹がなかなか死なないもんだから減っていかない。結果的に増えている、とまあこういうわけさ。
……あ、また何かやってやがる。こいつらが何かやらかすと、痛いやらむず痒いやらですぐ分かるんだ。引っ掻いたぐらいじゃ懲りないと分かっていても、やらずにはいられないよ。
あー、ちょっとだけすっきりした。……もう、君もしつこいなあ。僕の名前なんか聞いてどうするの? ……分かったよ、教えるよ。
僕はね、周りの惑星からは、『蒼き星』GAIAだとか、EARTH(、なんて呼ばれてるんだ。
『……本日未明、**国**地方で未曾有の大地震が発生しました。被害は予想も付かないほど甚大で、この先二次、三次災害によりさらに拡大する模様です。繰り返します……』
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