@ ロック・ドルジヴァル (Roc d'Orzival) 

ロック・ドルジヴァルの頂上近くから南東〜南方向を見る
左ヴァイスホルン(4506m)、中央ツィナール・ロートホルン(4221m)、右ダン・ブランシュ(4357m)

左奥の谷がジナル谷(Val de Zinal)、手前の谷がモワリ谷(Val de Moiry)
左アニヴィエの谷につながる

アニヴィエ(Anniviers)の谷の「花の村・グリメンツ(Grimentz)」に着いた翌日、アニヴィエの山を一望にできるロック・ドルジヴァル(Roc d'Orzival 2853m)に登った。
この山を選んだのは、次の日からの山歩き行程を山頂から眺めて、だいたいの地形を知っておきたいと思ったからだった。

予想通り、ピークからの展望は抜群で、南側に広がる4000m峰群のパノラマをはじめ、深く入り込んだ谷や峠の様子を遠望でき、明日から歩く地形の凡そをつかむことができた。

北から西の方向を見ると、高原状の斜面が広がり、シエール(Sierre) やシオン(Sion)の町だろうか、家々が米粒のように見えた。

歩いた日; 2006年7月19日
コース:
Bendolla -(25min)第1分岐標識 -(25min)第2分岐標識 -(45min)尾根 -(40min)Roc d'orzival頂上-(1h15min)第1分岐標識 -(15min)Benndolla
[合計時間; 3h45min 標高差;723m
最高標高; 2853m]


ベンドーラのゴンドラ駅から
ロック・ドルジヴァルを望む

一番高く見えるのは尾根の一部で、
ピークはそのすぐ左のコブ


グリメンツの村の一番奥(バスの終点)にゴンドラ乗り場がある。ゴンドラは1時間に一本ぐらいの運転間隔なので、予め発車時間を調べてから行った方が良い。
560m程を一気に上がってベンドーラ(Bendolla)の頂上駅に着く。朝はレストランが閉まっていて、トイレが何処にもなかった。
周りに広い牧場が広がり左上に角を生やしたような奇妙なベック・ド・ボソン(Becs de Bosson 3149m)が聳え、右にはこれから登るロック・ドルジヴァル(2853m)の頂上が見える。

ベンドーラの駅を後にして最初は牧場の中の緩やかな広い登りを進む。暫く行くと標識があり右に入る。

斜面を斜めに暫く歩くと牛がトレイルの上で休憩中。全然道を開ける様子がないので、恐る恐る迂回。出発したベンドーラの駅が下に見える。
小屋を左に見て更に登ると広い砂利道にでる。分かりにくいが他にトレイルが無さそうなので、砂利道を進む。

牛さん達がトレイルを塞ぐ、迂回 ベンドーラの駅を振り返る。
中央の山はヴァイスホルン


左に曲がる所で標識があり右に入る。ここからは元の細いトレイルになり、登りが少しきつくなる。暫く登ると、パッと前が開けて小さな池の前に出る。ちょっと休むのに良いところ。石がゴロゴロ転がる急斜面の上にラック・ドルジヴァルのピークが大きく見え出す。
道は一旦山とは反対向きに草付の急斜面を登り小さな尾根筋に出て暫くは平坦なトレイルを進む。途中少しだがエーデルワイスの花が見られた。左から登ってくるトレイルと合流した後、広い砂利道になり、蛇行して鞍部に向かう。

ロック・ドルジヴァルの頂上


鞍部に出てから尾根筋を右に頂上に向かう。ケルンが立っているところが頂上だが岩が重なっていて休みにくい。その先に少し行くと、ゆっくりできるスペースがある。

360度の展望だ。特に南東から南にかけてが凄い。ツィナール・ロートホルンとその右前に二つ耳を持つベッソ(Besso 3678m)も見える。右には、ダン・ブランシュが大きく見える。良く見るとダン・ブランシュの左肩に少し雲がかかっているがマッターホルンの頭も顔を出している。右手に少し離れてダン・デラン(Dent d'Herens 4171m)、その手前にはモワリ湖(Lac de Moiry)、その左上にはソルボア峠(Col de Sorebois 2896m)の凹みも見える。
明日から谷の奥深く入り、山に近づき、峠を越えるんだなーと思うと、エキサイトする気持ちと大変だなーという気持ちが交じり合って、少し落ち着かない気分になった。

ツィナール・ロートホルン(右)と
ベッソ(右端の黒っぽい山)
中央ダン・ブランシュ、左肩にマッターホルン、
右端にダン・デラン、手前はモワリ湖


ベック・ド・ボソン


目を少し右に移すと、直ぐ近くに、怪奇な形をしたベック・ド・ボソンのピークが大きく見える。ちょうど雲の下で真っ黒に見え、余計に奇妙だ。

サン・リュック(St.Luc)付近の斜面


北西を見ると、サン・リュックの村やベラ・トーラの山が見え、北を見ると、眼下に意外と近くローヌ川沿いの町と、その北側の広い高原状の斜面が見える。
ゆっくりと展望を楽しんで下山した。

帰りは登ってきた道から右に入り違ったトレイルを歩いたが、もう1つ変化に乏しいと感じた。登りにこのトレイルを使うのはちょっと退屈しそうな感じがします。

帰りも牛がトレイルを塞ぎ、しかも登りのときよりもっと沢山の牛で、迂回するのが大変でした。私達と殆ど同時に下山を始めたスコットランドの二人連れが、少し遅れてゴンドラ乗り場に着いたので、「ヤー」と挨拶したら、「凄い交通渋滞に会ってねー」と遅いのを牛のせいにしていた。






グリメンツ(Grimentz)の村

インターネット情報; Grimentz(英)

鉄道の走るシエール(Sierre)の駅からバスに乗り右側に切れ落ちたアニヴィエの谷を遡って先ずヴィソワ(Vissoie)の村に着きます。ここでバスを乗り換え、ヘアピンカーブを折り返しながら上りついたところがグリメンツです。谷あいの急斜面の狭い土地に家が固まって建ち、古い民家をまるごと保存している村です。乱暴に一口で言えば、町並み保存の宿場町・馬込、妻籠の村を少し小さくしたような感じです。

しかし、そこはスイス、家の作りはどっしりとしたログハウスのような造りで、どの家の軒下やベランダにもゼラニュームやペチニアの花が植えられ、日に焼けて黒ずんだ木肌に彩を添えています。土産売り家もさほど多くなく、落ち着いた村の雰囲気を保っています。
中には平な石を床下の柱の間に挟んだねずみ返し構造の倉庫や、正倉院と同じく校倉造りの倉庫もあります。
「スイスにも正倉院と同じ構造が」、と少し驚いたのですが、帰ってちょっと調べたら、校倉造りは、日本独特のものではなくて、中国や、朝鮮、北欧、スイス、ロシアなどの木材の豊富なところには古くから見られるそうです。昔どんな繋がりがあったのだろうかと興味を引くところです。
屋根にはスレートのような平板の自然石を並べたものと、木端葺きのように板の小片を積んだものがあるようです。
←ねずみ返しの付いた倉庫(手前の石)

静かな村ですが、毎朝6時には必ず教会の鐘がとてつもない大きな音でカランコロンと長い間鳴り続けます。ゆっくり寝たい方は村はずれのホテルを捜すか別の村をどうぞ(その村も同じかもしれませんが)。

村には銀行はありません。現金受渡機がありますのでクレジットカードで現金化できます。




Aソラボアからプティ・ムンテ小屋経由、グラン・ムンテ小屋に進む