ポート・ヒル(The Port Hill)

  
 ポート・ヒルは、クライストチャーチの市内から南方向に連なる標高500m程度の山で、市内から良く見える。この山はリトルトン(Lyttelton)火山の外輪山の一部で、雨が少なく乾燥した地域にある。観光では、マウント・キャベンディッシ (Mt Cavendish)の ゴンドラ(Gondola)に乗って景色を眺めるか、ポート・ヒルを縦断するドライブ゙ウェイを車で走るのが普通だが、歩いてみると、その良さがさらに分かる。良く整備されたウォ―キング・トラックがあり、天気が良ければ、遠くニュージーランド・アルプスの山や、クライストチャーチの街が見え、反対の方向には海と湾を見下ろしながらのウォーキングができる。色々コースがあるが、歩いた2つのコースを紹介する。
  山は茶色、湾の色はトルコ石、海は緑、空は透き通った青、ふわっと浮かぶ白い雲、遠くにはアルプスの雪山。低い山だが、360度の景色とその色合いのすばらしさを楽しめる。
 車があれば、 サミット・ロード(Summit Road)やゴッドリー・ヘッド・ロード (Godley Head Road) を走り、要所要所のウォーキング・トラック を歩くのも良いと思う。ゴンドラで登ったら、少し時間を割いて周りを歩いてみよう。少し足を伸ばせば、また違った景色が楽しめるに違いない。

インターネット情報
 *リンク
・Christchurch市のホームページ、ウォーキング情報・地図・ガイド(英):Port Hills
・ウォーキング情報(英) :DOC, Godley Head Walking Tracks
・ウォーキング情報(英) :Sumner to Taylors Mistake, Godley Head, Creter Rim Walkway

現地で入手する情報
左の「The Port Hill」 というパンフレットが役に立つ。地図付きのコースガイド゙が載っている。クライストチャーチのビジターセンターか、シティー・ホール(City Hall:市役所)のパンフレット置き場(たしか2階の通路)で無料で手に入る。もし無ければDOCのオフィースで$1.00で買える(何故かここは有料)。
 コースに入ってしまえば、このパンフレットだけでも良いが、サムナー(Sumner)からスカボロー・ヘッドをたどる場合は、道路からウォーキングコースに入るポイントや住宅地を抜ける道がわかりにくいので、前記「Walk Way」ガイドブックの中にあるスカボロー・ヘッドの詳細図を見ると、助けになる。



@スカボロー・ヘッド(Scarborough Head)−ゴッドリー・ヘッド
  (
Godley Head) -エバンス・パス (Evans Pass) コース

 クライストチャーチ市内から南を見て、山の一番左端(東側)の部分を歩くのがこのコース。海にせり出した海岸線にそって、ゆるいアップダウンを繰り返す美しいコース。 
 木が殆ど無いタソック(Tussock:丈が少しある草原状態)の山で、コースの何処からでも展望がきく。晴れた日であれば、ゴッドリー・ヘッドを過ぎてから見下ろすリトルトン・ハーバー(Lyttelton Harbour)の海は、一面にトルコ石を敷き詰めたような色で、上から見下ろすと、船がまるで空中に浮いているように見えた。このコースはニュージーランドに着いて始めて歩いた日だったが、ニュージーランドを歩こうと決めて正解!と思った日でもあった。


コースの状況
 コースは整備されており、安心して歩ける。上り口近くのスカボロー・ヘッド付近では、何も持たないジョギングのお姉さんがすいすいと抜いて行くのを見ると、ザックを背負って歩くほどの所ではないという感じもするが、低い山と言っても、コース全般に遮るものが何も無いので、強風時には注意が必要だし、気温もぐーんと下がる時があるので、防寒や雨具など、通常のデイウォークの用意はしていったほうが良い。

登り口までの交通 
 Scarborough Headの登山口には、市中心から、30番か31番のSumner 行きのバスに
   乗
り、終点下車
 *Evans Pass への登山口は同じバスで、終点手前のケイブ・ロック( Cave Rock )近くの
   バ
ス停。
   (バスは番号が同じでも逆方向があるので、行先に注意)
   (片道約20〜30分かかるが料金は何処まで乗っても$2.00)。

歩いた日: 2002年10月22日

コース  
 Scarborough Road 登山口ー(40min)Scarborough Head−(1h)Taylors Mistake−(1.5h)
Godley Head Car Parkー(1h)Breeze Col−(40min)Livingstone Col−(1h)Evans Passー
(1h10min)Sumner / Total 約20km 7h 

バスを降りたネイランド・ストリート(Nayland St)の道を山に向かって真っ直ぐ歩くと、スカボロー・ロード(Scarborough Rd)に出る。これを左に曲がり道沿いに進み、U字カーブを曲がった直ぐの所に山に向かって登る小道がある。ここでジョギングのお姉さんと一緒になりジグザグの道を登る。登った所は何と小さな住宅街。道を親切に教えてくれて彼女は真っ直の道を走っていく。私達は、左に曲がりスカボロー・ウォーク(表示があったと思う)を進むと、直ぐにスカボロー・ヘッドに出る。

 快晴で、北に遠くアルプスの峰、近くにクライストチャーチの町、東は太平洋の海、南にこれから歩くゴッドリー・ヘッドの岬が見える。地平線と水平線近くにたなびく雲の形がはっきり見え、空がやけに大きく広く感じる。
 崖上の海岸線にそって歩く。海鳥が崖を飛び交う。しばらく行くと、さっきのジョギングのお姉さんが戻ってきてすれ違い挨拶して走り去る。彼女にとってこのコースは走る所らしい。
崖の上か
テイラーズ・ミステイク(Tailors Mistake)の静かで綺麗な海岸が見え出したあたりで、満潮時に歩く上の道と、干潮時の下の道に分かれる。丁度干潮時で、波打ち際の砂浜を歩くことができた。 
Tailors Mistakeの海岸
 砂浜を過ぎ上の写真に見える岩の上の道を海岸に沿って暫く歩く。今までぽつぽつ有った住宅も、ここからは全くなくなり、快適な道が続く。約1時間ほど過ぎた所から、ゴッドリー・ヘッドのピークに向かって登り始める。
振り返ると、対岸に歩いてきたスカボロー・ヘッドが良く見える。
Godley Head からのScarborough Head
 登りきると、ゴッドリー・ヘッドの駐車場。車が止まっていてちょっと雰囲気が壊れるが、トイレがあり、休憩。
 道は外海から湾の内側に向かって岸壁の上に沿って歩く。次第に、湾の内側が見え出し、湾の出口と会わせ180度の展望となる。湾の水の色が乳緑青色といったら良いのか、写真の色とも少し違う。この色はやはり行って見るしかない。
   Lyttelton Harbour
←湾の外に向かって
  湾の内に向かって→

 途中ブリーズ・コル( Breeze Col)とリビングストン・コル(Livingstone Col)で車道と近接する
が、それ以外はトラックから車道が全く見えないように作られていて、気にならない。
Breeze Col の手前

湾の景色を堪能したころ、Evans Passにでる。ここで車道をまたぎ、長い下りに入る。
この道はマルチユース・トラック(MultiuseTrack)になっていて、マウンティンバイクも通る。今までの道は歩き専用だったが、この道はで自転車も通るので、注意が必要。
Multiuse Track,
所々、エニシダや八重桜などの花の中を歩く。

 家が見えてウェイクフィールド・アベニュー(Wakefield Ave.)の車道に出るが、ウォーキング用の道は車道の横にキッチリと作られている。途中ロックガーデンのように土手に、花が咲いていて結構綺麗だ。
 ニュージーランドに着いて始めてのウォーキングで疲れたが、楽しめるコースであった。

トンネル:ゴッドリー・ヘッドから リトルトン・ハーバー側にジグザグに下りると、海面に近い高さの所に、長さ110mのトンネルがあとのこと。帰りの時間が心配でスキップしたが、往復1時間程度で行けるらしい。




A サイン・オブ・ザ・キウイ(Sign of the Kiwi )- ラパ キ・ロック
       (Rapaki Rock) - ブリドル・パス(Bridle Path) コース
    
 クライストチャーチの市街から見ると山の中央付近に一際高いテレビ塔が見える。目を左にやると山肌の上に大きな岩が見える。歩く範囲はだいたいこの間で、ポート・ヒルのほぼ中心にあたる。ゴッドリー・ヘッド近辺とは違い、海から少し離れて歩くが、絶えずクライストチャーチの街とリトルトン・ハーバーの湾を表と後ろに交互に見ながら歩く。リトルトン・ハーバーは、回りを山で囲まれており、所々に火山性の大きな岩が突き出ている。ここが外輪山であることが良く分かる。


コースの状況
 良く整備されたコースで、安心して歩ける。マウンティンバイクの道が近接してあるので、迷い込まないように注意が必要。自動車道も近くを走るが、峠の一部でのみ合流するだけで、歩く道からはほとんど見えないように作られていて、気にならない。

登り口までの交通
  *サイン・オブ・ザ・タカヘ(Sign of the Takahe) へは シティー・センター(City Center)から
    10番のヘアーウッド(Harewood)/(カシメアCashmere)行きのバスに乗り、終点下車
  *Bridle Path は City Center からバス28番で Lyttelton/Rapaki行きに乗り、Gondola 乗
    り場下車
    (バスは同じ番号でも、反対方向があるので、行先に注意)

歩いた日  2003年2月20日

コース
 Sign of the Takahe -(1h10min) Sign of the Kiwi -(40min)西に往復ー (3h10min) Bridle
 Path -(30min) Gondola乗り場 / Total 約13km 5h30min

  観光客が沢山訪れるサイン・オブ・ザ・タカヘ(Sign of theTakahe) からビクトリア・パーク(Victoria Park)にそってなだらかな道を歩く。暫くするとビシター・センター(Visitor Centre)の建物に出る。無人だったが、有料のパンフレットは、お金をボックスに入れて、もらう仕組みになっている。これから先は暫く林になっていて、視界がなく、マウンティンバイクの道と交錯した所でウォーキングの道を見失い、行きつ戻りつを何度か繰り返しやっと歩道を見つける。歩道は一番右側を取れば迷わず行けるようだ。途中ジョギングをしている人に何度か会う。
 車の音が聞こえて直ぐ、サイン・オブ・ザ・キウイ(Sign of the Kiwi)の休憩所に着く。目の前に湾の乳緑青色の海が見え、対岸にバンクス・オブ・ぺニンシュラ(Banks of Peninsula)の山が連なって見える。湾の奥のほうが山の陰で見えないので、西へ20分ほど歩く。高くはないが カス・ピーク(Cass Peak 546m) の尖った特異な山が見える。スケッチを描く。
Sign of the Kiwi から西に20分ほど歩いた所
から 、Lyttelton Harbourの奥、 スケッチ
 

 サイン・オブ・ザ・キウイに戻り、ゴドリー・パスに向かい東方向に歩く。シュガーローフ(Sugarloaf)のTV塔の山を巻いて湾を見下ろしながら歩く。天気は良いが、少し風が出てきた。所々にブッシュ状の林があるが、ほとんどが草状の禿山。ブッシュに入ると、賑やかに色々な小鳥が出迎えてくれる。
マウント・バーモン (Mt Vermon)の山を右に見たあたりから、湾と反対側の北方向が開け、遠くアルプスの白い山の連なりが見える。10月や11月頃に比べると、大分雪の白さが少なくなった感じだ。
 前方にラパキ・ロック(Rapaki Rock) の大きな岩山が現われ、ロッククライミングをしている人の声が反響して聞こえてくる。これを右に見て進む。
Rapaki Rock
  ここからは、何度か車道に出ては、歩道に入ることを繰り返す。左前にキャッスル・ロック(Casle Rock)の岩が見え始めると、その先に、太平洋が大きく広がる。フォエール・ウォッチングで有名な カイコウラ(Kaikoura) の方まで見える。キャッスル・ロックを過ぎると反対側のリトルトンの港の全景を見下ろすことができる。前に行った時には、さびれた港町といった感じだったが、上から見ると綺麗な町だ。
 ゴンドラの頂上駅が見え、ブリドル・パス(Bridle Path)の峠に着く。尾根歩きの道はまだ先に続きゴッドリー・ヘッド へと向っているが、私達はここより下りる。
 峠は、南からの風がものすごい勢いで通りすぎる。服がバタバタと音を立て、押されて走るように北側の下山道に入る。時々車道を走る車が、吹き飛ばされないか心配になる。この強風の中を、マウンティンバイクを押し、風に逆らい登ってくる女性がいる。何とも力強い。
 ブリドル・パスのこの道は、かって、港とクライストチャーチを結ぶ唯一の道で、記念する碑が所々立っており、当時峠を越えた人が休んだ石作りのベンチも残っている。私も休もうと座ってみたが冷たくて堅い。痔を患った痛い過去を思い出し、急いで立った。
 ゴンドラ乗り場に着き、洗面所で顔を洗い、バスを待つ。



Mt. Herbert へ進む