平成9年3月    戻る  

「従軍慰安婦問題を考える」
[日韓基本条約]
  1965年(昭和40年)12月11日、13年間に及ぶ交渉の結果、締結。それに伴い、日韓両国ともに反対運動がおこる。条約は自民党と民社だけで議決。他の政党は強行採決だとして退場。
  正式名称 「財産および請求権に関する問題解決ならびに経済協力に関する日本国と大韓民国との協定」
  第2条 「両締結国およびその国民の権利および利益ならびにその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されることになることを確認する」
  その結果−無償借款3億ドル、低利融資2億ドル、民間借款3億ドル、計8億ドル、当時のレートで2,880億円、貨幣価値換算で約6倍の1兆7,280億円支払った。
◎日韓両国で国家間の賠償責任が無いことの国際法上の根拠

[論点]

〔強制連行があったか否かが最大の論点。〕
 ○平成4年1月に宮沢内閣の加藤紘一官房長官(第1次)は「軍の関与」を認め「胸の詰まる思いがする」と謝罪
 ○平成5年8月に宮沢内閣の河野洋平官房長官(第2次)は「残された書類に基づいて政府の調査の結果、いろんな角度から調査してみると、そういう事実は確かにあった」と談話発表。
 ×平成9年3月9日産経新聞で談話文書作成者である石原信雄元官房副長官は強制連行を認めたくだりは政府調査から導き出されたものではなく、発表の直前に韓国で行った元慰安婦16人からの聞き取り調査に基づく一方的被害証言によるもの」と談話を発表。〜あたかも歴史的事実として一人歩き〜
 ×河野発言の「残された資料」は公開されていない。石原発言では政府資料に強制連行を裏付ける資料はない。
 ○韓国政府は92年7月に「日本政府による慰安婦の強制連行はあった」と報告書を公表。この報告書の根拠とされているのは、吉田清治著「私の戦争犯罪・朝鮮人強制連行」の本であると「現代コリア」西岡力編集長が「改革者」8月号の論文で発表。
 ×「昭和史の謎を追う」の著者、秦邦彦氏が現地調査をした結果「韓国・済州島で女刈りをした」という吉田証言は全くのデタラメであり、済州島の地元紙「済州新聞」の女性記者、許栄善氏は独自調査の結果89年8月14日付の紙上で吉田証言はでっち上げだと断定。後日、吉田氏もフィクションと認めた。
 「関東軍の後方担当参謀が強制連行にあたった」とする他の著書についても「事実無根」と加藤正夫氏が「現代コリア」に発表。また、河野発言の根拠の一つとされている韓国挺身隊問題対策協議会・挺身隊研究会編『証言集1』によれば元慰安婦40人の聞き取り調査で強制連行があったとする証言は一つもない。

☆ ニュースキャスター「桜井よしこ」さんの発言をめぐり大論争おきる。 
 桜井よしこさんはジャーナリストとして「自分が調べた結果、証拠となる資料はなかった、もし強制連行を裏付けする資料があるのなら示し、事実関係を明確にした上で議論すべきである」と発言したが、その発言が不穏当だとして神奈川県教委をはじめ既に依頼を受けていた講演がキャンセルされる出来事が相次いだ。
→言論封殺以外の何物でもない暴挙である

慰安婦問題に対する日本の対応
☆「女性のためのアジア平和国民基金−原文兵衛理事長」1995年7月設立
元慰安婦への償いとして民間基金を通じて女性の人権保護の事業を行うために設立された財団。
内容:一時金200万円と300万相当の医療サービスの提供・・橋本総理の「お詫びの手紙」を添えて韓国側は日本政府による個人補償を求めており支給を凍結するように要求−日本の支援団体も同調
☆ 従軍慰安婦への償い金の支給に関してコメント発表(1996年
10月3日)
「償い金の受取は、裁判を通じて日本政府に補償を求める権利を妨げるものではない」との内容の見解をまとめ、支給事業を行っているアジア女性基金に示した。
☆ 償い金の受取を拒んでいる元慰安婦や支援者の一部に「受け取ってしまえば、裁判で日本政府の責任を問うことができなくなる」との警戒感があることを考慮したもので、基金ではこの見解を元慰安婦に示すことで、受け取りを促したいとしている。 政府はこれまで個人が裁判に訴える権利の存在は認めながらも「賠償問題は法的に解決済み」として、政府による補償はできないとの立場を示してきた。

『橋本総理のお詫びの手紙』(全文)
 拝 啓 このたび、政府と国民が協力して進めている「女性のためのアジア平和国民基金」を通じ元慰安婦の方々へのわが国の国民的な償いが行われるに際し、私の気持ちを表明させていただきます。いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は日本国の総理大臣として改めて、数多くの苦痛を経験され、身心にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げます。我々は過去から過去の重みからも未来への責任からも逃げる訳にはまいりません。わが国としては、道義的な責任を痛感しつつお詫びと反省の気持ちを踏まえ、過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳にかかわる諸問題に積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。末筆ながら、皆様方のこれからの人生が安らかなものとなりますよう、心からお祈りしております。

敬  具


平成8年(1996年)

                                 日本国内閣総理大臣 橋本 龍太郎 


〔慰安婦問題に対する閣僚級の発言について〕
奥野誠亮代議士(96年6月4日)
「募集されて参加した商行為。強制連行などあり得ない」河野発言について「国の関与を認める話をしているが、軍の関与はなかった」と発言。
梶山静六官房長官(97年1月24日)
 慰安婦問題について、今、声高に言っている人達は、その時代背景を習っていない。公娼制度があったことも知らない。従軍慰安婦と言っても我々より上の年代の人は驚かない。多くは貧しくて金のためだったんだろう。戦地に行くと加給金がもらえたし、徴用、徴発もがあったんだ。背景も知らずにそういうことだけを教えるのはどうかと思う」
江藤隆美代議士
植民地時代に悪いことばかりしたのではない。良いこともした。〔オフレコ発言〕
 ☆上記のコメントはいずれも事実を言ったものと理解するが、この問題に係わる人達への過大すぎる配慮から、大変大きな話題になり閣僚辞任をはじめ総理が謝罪するなどに発展した。特に、江藤発言については日刊紙の記者がわざわざ外国に通報して国際問題になるような煽動行為があったのは理解に苦しむところである。


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