平成19年11 戻る



   

衆参捩れ現象に加え、不祥事が相次ぐわが国の政治政情は混沌としているが、11月1日でテロ対策特措法(給油関連法)は時間切れとなった。
新法を粛々と衆院で審議を進めて参院に送り、否決されれば差し戻して再可決すれば良いのである。
それが出来ないというのなら何をかいわんやで、解散総選挙しかないではないか。参院選では惨敗したが、この問題が重要だというのなら、堂々とこの問題で民意を問えばよいのである。
どちらが仕掛けたかなどは大した問題ではなく、なぜこの時機に大連立の話が出てくるのか。
唯一つ言えることは、自衛隊の海外派遣に関する「恒久法」に関して、自・民が基本的に歩み寄れる雰囲気になったようだが、それなら、それを契機に政策協議に入ればよいのであって、直ちに大連立とは話が唐突に過ぎる。
話の過程で公明党との連立は維持するといったそうだが、それなら、まさしく大政翼賛会である。その場にいない者にも、こんな話が実現する訳はないことはわかり切っているではないか。
現在の自公連立でもそうだが、技術論的に連立は選挙の際の候補者調整が至難であり、特に大連立の場合は現行選挙制度を根本的に改正する覚悟をしなければ容易に出来るものではない。

11月4日の日曜日に、突然小沢一郎民主党代表の辞任のニュースが飛び込んできた。
何を考えているのか! 訳の分からない出来事に驚くとともに、先の安倍総理の突然の辞任劇が脳裏を駆けめぐった。
大事な時期に、突然辞任するのが流行っているのか、などとふざけておれないが、前回の辞任劇もふざけていたが、それよりも今回の辞任の理由が陳腐であると思った。
小沢一郎の辞任会見や、その後の話を総合すると、福田康夫が呼びかけた大連立構想を党内に持ち帰り役員会に諮ったところ、全員が反対をしたので自分に対する不信任と捉え辞任することにしたとのことだが、これでは福田総理からの話を諮ったことにはならず、小沢自身の考えだから不信任と捉えたことになるのではないか。小沢は大連立を肯定していたことになるが、民主党の中で小沢一郎ただ一人が、どう考えても不可能な大連立を考えていたとすれば、彼の政治感覚は完全にズレており、党首としての資質は無いと思わざるを得ない。この話は福田首相から持ちかけられたことになっているようだが、福田はこの点に関して微妙な物言いをしているが、そんなことより小沢がマスコミの報道を強く批判しているのは何を意味するのだろうか。

彼は党代表でありながら、いかに党内での話し合いの重要性や、コンセンサスの醸成を軽んじていたかが窺われ、所詮は独りよがりで傲慢な人間だと思った。

またまたニュースが飛び込んできた。辞任を撤回するとのことだが、そんなことをしたって党内における求心力は失せ、不協和音が高まることは必至である。
そうなれば小沢は、13人か17人かは分からないが小沢信奉者を引き連れて離党するような気がしてならない。
この時機が何時来るのか、大いに興味と関心のあるところである。

民主党の茶番劇によって自民党が国会運営の主導権を握ったかに見えるが、もう一つ気がかりなことは防衛省の不祥事である。

証人喚問を聞いていたが接待漬けは認めていたが、山田洋行への便宜供与は無いと明言していたが、どうもこのままで終りそうにない。
日本の防衛予算は5兆円で、装備費だけで1兆5千億円である。装備品の購入に際して昨年度は75%が随意契約で、一昨年、一昨昨年は共に100%であることが明らかにされたが、もしこの防衛費関連で疑惑が明るみにでれば政権崩壊は避けられないだろう。

早晩、解散総選挙は避けられないだろうが、せめて福田政権が来年度予算編成までは責任を持ってやる気概を持って欲しいものである。

(文中敬称略)
平成19年11月5日
松 室  猛

                             

                 



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