レッドコード&ニューラック療法
                                


 SETという名前はあまり聞かれた方はないと思いますが、これはスリング(吊 り具)を使った身体機能訓練器具です。よく牽引(引っ張る、伸ばす)という名 前は聞かれたことはあると思いますが、これは吊られるといった方があったってい ます。ある程度は牽引効果もありますが、基本はスリング(吊り)です。どうい った感じかというと、吊られることで身体の重力が無くなり、丁度水に浮かんだ感 じに似ています。これを使って何が出来るかというと、水治療法の如く様々な訓 練治療が可能となります。特に高齢で身体能力が低下した方に対して、寝たまま で機能訓練が可能です。仰向けで寝た状態で頭と腰と下肢を吊る状態(背中は ベッドについたまま)です。私たちはこれを基本形と呼んでいます。この状態で 機能訓練を行うと、例えば腰部脊柱管狭窄症の方で、長く歩けない、運動が上 手く行えない方でも、結構簡単に運動が出来るようになります。私たちの目指す リハビリテーションはそんな所にあります。決して難しいトレーニングではありま せん、もし、何らかの原因で運動が出来にくくなっておられる方は当院で一度体 験されてみては如何ですか?

 2006年日本臨床整形外科学会発表演題
     PDFファイル−→2006年日本臨床整形外科学会発表演題.pdf
                    2006年日本臨床整形外科学会 発表原稿.jtd



 S-E-Tの臨床応用は、特定な患者の特定な訓練を行うものではありませ
ん。運動ツールの1つであり、スリングの部位、スリングの高さを任意に調節
することで患者個々の体型、能力にあわせた最適な訓練環境が設定できま
す。
1.患者の痛みの軽減
2.早期からの自動運動
3.リラクゼーション、筋収縮の減少
4.抵抗ゼロから最大負荷まで
5.セラピストの負担の軽減

              日本SET研究会ホームページより

リハビリテーションにおいてオーバーヘッドフレーム等を利用したスリングは、 第一次世界大戦後の戦傷者やポリオ患者を中心に理学療法の治療手技とし て使用されました。当初はスリング(吊り帯び)を使用する事により重力を除 去することが大きな目的として使用されていました。後にこのスリングを利用 して骨折後の治療・背柱のモビライゼーション・痙性のある神経筋疾患の弛 緩運動等、様々な疾患に対する独自性のある治療方法が考案されました。ま た、現在スリングを使用し、小筋群(ローカルマッスル)を刺激することにより 生体の安定化を促す研究もなされております。
 この様に単純な吊るという動作の中から様々な治療方法の可能性を全世 界のセラピストが独創的に考案しております。我が国でも大幅な医療・福祉制 度改革に伴い医療・福祉の現場も多く変貌を遂げなければならない中、リハ ビリテーション医療を担う医師・各セラピストの責任と期待は大きく膨らんでお ります。従って今後、益々臨床現場では独創性・個別性のある治療プログラ ムを要求されます。 この度我々はスリングセラピー先進国であるノルウェー 王国の後援を得て、我が国でもスリングを用いた理学療法に関する研究と実 践を行う事を目的とした研究会を発足することになりました。単に整形疾患の 訓練としてスリングを使用するだけではなく、脳血管障害、小児疾患、呼吸疾 患、スポーツリハビリテーション等の幅広い分野でのスリング使用による治療 アプローチ方法を創造し、従来おろそかになりがちだった手の感触を取り戻 し、画一的な訓練プログラムではなく患者ごとの細かい治療プログラムの実 施を臨床現場で実践することを目的としております。またスリングセラピーの 先進国であるノルウェー王国との学術交流と全国的な規模でのセミナーを通 じてアクティブな理学療法、プロフェッショナルな手法を習得し理学療法の技 術を高めていきたいと考えております。
帝京平成大学 健康メディカル学部 教授医学博士 青木 主税
日本SET研究会ホームページより

 
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