月経の実態とその指導に関して 〜自分の体を知り、コントロールしていく力を養う〜 1,はじめに 富田林市は、大阪府の南東部に位置し、金剛山系を背景に自然の豊かな地域と振興住宅地からなる約人口12万6千人の市です。市内には、小学校16校、中学校8校あります。養護教諭部会は、毎月小中合同または、校種別で開いており、情報交換や研修会を行っています。 今回、中学校の情報交換の中で、「月経痛を訴えて保健室へ来室する生徒がいるがどう対応しているか。」と言う話が出てきました。多くの場合は、ベットで寝かせて安静にさせたり、「生理は病気ではないから様子をみましょう。」と言って経過をみて安心するようよう指導していた。しかし、中には、激しい痛みや貧血を伴う生徒もおり、学業や日常生活に支障をきたす場合も珍しくない。それらの生徒に個々に対応していく中で、月経に対して否定的イメージを抱き、不確かな認識のまま過ごしている生徒が多いことに気づいた。そこで、養護教諭部会では、個別指導・集団指導において適切な対応・指導や援助が行えるよう研究を進めていくことにした。 2,取り組みの内容 (1)実態調査について まず、生徒たちが月経をどのように捉えているのか、また、月経痛で具体的にどのような症状があるのかなどの実態を把握し、月経痛を訴える生徒に、より適切な対応・指導ができるようアンケート調査を実施した。 対象は、市内8中学校、全学年の女子生徒。回答数は1785名、92%の回答率。 実施時期は、2001年2月中旬〜3月上旬。 (2)アンケート結果 「月経に関するアンケート結果と考察」をご覧下さい。 (3)アンケート結果の考察について 月経痛を訴えて来室する生徒に、より適切な対応・指導・援助ができるように今回の研究テーマを選んだが、アンケート結果から以下のようなことがわかった。 @初経を迎えた時の肯定的イメージや否定的イメージは、初経を迎えたときの親の反応に影響される可能性があり、現在もそのまま月経に対してのイージとなっていること。 A初経年齢が低年齢化しており、小学校で6割、中学校で4割の生徒が初経を迎えている。中学生では、多くは1年生時に初経を迎えていること。 このことを踏まえ、今後の課題としては、ア、早い段階から(小学校4年生ころ)医学的、科学的な初経指導が必要であること。イ、小学校との連携をはかり、指導内容を交流し継続した月経指導を行なうこと。ウ、親の反応や対応のあり方から、家庭での指導も大切でり、保護者への情報提供も必要であること。以上の3点が考えられます。 3,取り組みの経過 このアンケート結果より、養護教諭自身が、月経に関しての医学的知識をより深めつつ以下のようなことを行った。 @富田林府民健康プラザの協力を得ながらの研修会を数回持った。アンケート結果の分析と医学的見地からのお話し、また、A中学校での3年生対象に行われた、富田林府民健康プラザによる「思春期の性に関する講演会」に参加した。 A生徒たちの疑問に分かりやすく答える個別資料として「生理」についてのQ&Aを作成した。 アンケートの自由記述覧に書かれた質問や疑問を4項目に大別しプリントを作成した。 B市の養護教諭部会で、小・中連携の月経指導のあり方について検討した。小学校での現状を聞き、中学1年生時での初潮指導の重要性を痛感した。 C集団指導として保健指導案を作成し、各学校で作成したものを持ち寄り検討した。B校では保健指導案に基づき実際に保健指導を実施している。明治池中学校の1年生(14年度入学生)の授業後の感想でも、性を前向きに受け止めていきたいという感想が多かった。今後、指導案もそれぞれの学校の実態に合わせ検討を重ねていきたい。 に行った授業後の生徒感想 D保護者への情報提供については、保健だよりや懇談会、ホームページなどで啓蒙をはかっていきたい。 4,提言 月経は、体の発するメッセージであり、自分の体について知り、コントロールできることを学ぶためにも、月経に対する症状や日常的な対応の仕方など、生徒が知りたい情報を提供していくことが大切である。そのためにも、集団・個別指導における効果的な指導内容を工夫し、月経への不安が解消され将来に渡って希望の見いだせる指導となるように今後も継続して取り組んでいきたいと思う。 |