邪王復活 3

 

 う〜んと大きく両手と一緒に身体を伸ばした幽助は、気持ちのいい山の空気を一杯吸い込んだ。

 ひんやりとした空気だが、頭をスッキリさせるには丁度いい。

「ふぇ〜なんか寒いじゃねえか・・!」

 ガシガシと口の中の歯ブラシを動かしていた桑原が、ブルルと身体を震わせる。

「気持ちいいじゃねえか。やっぱ山ん中の空気はサイコーだぜいv」

「ケッ。年寄りくせえこと言ってんじゃねえ」

「てめえこそ背中丸めてんじゃねえよ」

 よっという声と共に幽助は前転バック転、最後に空中で捻りを加えたムーンサルトを綺麗に決めた。

「さあて。朝飯の前に、ちょっくら散歩でも行ってくっかあv」

「へえへえ、行ってこい、行ってこい」

 付き合う気はねえとばかりに、桑原が両手をプラプラさせる。

「幽助!どこ行くの?」

 本堂の濡れ縁に立っていた蛍子が出て行く幽助を見て声をかける。

「散歩!おまえも来っか?」

「えっ、あたしは・・・」

「行っといでよ、蛍子ちゃん。朝食の手伝いはあたしがやっとくからさあ」

 ぼたんが、そう言って蛍子の背を押す。

「でも・・・」

 迷う蛍子にぼたんが、そうだvとポンと手を打った。

「じゃあさ、交代にしようよ。朝はあたし、昼は蛍子ちゃんがやる」

 ねっv

「う・・うん」

 それなら、と蛍子はうなずいた。

 幽助と蛍子の二人を見送ったぼたんは、はぁ〜と深い溜息をついた。

「さあて・・・どうしようかねえ。やっぱり、まだ成り行きを見てるべきかねえ」

「なんの成り行きだって?」

 唐突にかけられたその声にぼたんは飛び上がって驚いた。

 そ〜と振り返って見ると、起きぬけであまり機嫌がよさそうではない静流が腕を組んで立っていた。

「あ・・あは!いたの、静流さん」

「・・・・」

「あっあたし、ちょっとお台所へ行ってきま〜す」

「ぼたんちゃん」

「は・・はい!」

 ドスのきいた低い声で呼ばれたぼたんは、ビクンと身体をこわばらせた。

「コエンマに何を言われてきたんだい」

「えっ・・?な・・なにって・・・・アハッ!なんのことかなあ・・って」

 静流はじーっとぼたんの顔を見つめている。

 実際、ガンを飛ばせば弟の和真など問題じゃないくらい迫力のある静流だった。

 ぼたんは引きつった顔で俯く。

(え〜ん・・コエンマさま〜〜)

 

 

 

昨夜は本当に死ぬ思いで上った石段を幽助と並んでおりた蛍子は、澄み切った空を見上げてふぅ〜と息を吐き出した。

「なんだ、もう疲れたのかよ?」

「違うわよ!いい天気だなあって思っただけ!」

「んー、確かに雲ひとつねえよなあ」

 それに静かだ。

 街中のように朝から車は走ってないし、人とも出会わない。

 道を歩いているのは、幽助と蛍子の二人だけだ。

「ところで、どこ行くの?幽助」

 散歩と言いながら、目的がありそうな歩き方に蛍子が尋ねる。

「ゆうべ聞いた、白蛇をまつっているってえ神社」

 えっ?と蛍子は足を止めた。

「だーってさあ。なんか面白そうじゃん?できたら白蛇の化身ってえ奴を見てみたいしさあ」

「昨日見たじゃない!」

「あれは、んなもんじゃねえよ。単なる使い魔って感じだった」

 そう答えて幽助はスタスタ歩く。

「ちょっと!冗談じゃないわ!そんな不謹慎な目的で行ったりしたらバチがあたるわよ!」

「バチィ?どんなバチがあたるってんだ。だいたい、向こうから現れたんだぜ。挨拶くらいしといてやんなきゃ、な」

 ニヤッと笑う幽助を、蛍子は呆れたように見つめる。

 いまさら驚くことではないが、幽助は相手が誰であろうとおかまいなしなのだ。

 神様も喧嘩相手の不良も同等に認識している幽助には、神様もさぞびっくりだろう。

 神社はすぐに見つかった。

 大きな赤い鳥居がとにかく目立つ。

 また石段というのにはウンザリだが、寺に比べれば数は半分以下なので楽といえば楽だった。

 もっとも、ゲッとなったのは蛍子だけで、幽助はなんということもなかったみたいだが。

 石段をのぼりきってすぐ、二人は無残にも二つに裂けた大木を見た。

「やだ!雷が落ちたのかしら」

「じゃねえの?珍しいこっちゃねえぜ」

 答えて幽助は、ふと見覚えのあるバイクに気づき眉をひそめた。

 黒塗りの大型バイク。

 ナンバーを見ると、あの夜あいつが乗っていたバイクと同じものだった。

(まさか・・・・)

 幽助が顔をしかめた時、社務所と書かれた建物から若い男が出てきた。

 男のすぐ後ろから出てきた神主らしい男が深々と頭を下げる。

(なんだあ?)

 幽助は今度は目をパチパチと瞬かせた。

 男はそんな幽助に気づき、ふっと笑みを漏らす。

 

 

2002/10/17 日記で連載始めます。今週は幽白。

 日記とは名ばかりの、月数回書けばいいとこが情けなかったんですけど、最近よそ様のサイトで日記に連載小説を書かれているのをいろいろ見て、これなら出来るんじゃないかとふと思いまして・・・

 毎日更新はムリでも、週2か週3の割合で更新できるかなあ・・と。

 まずはためしに始めることにしました。

 とはいえ、コナンは企画部屋に連載物をかかえてますし、ここではコナン以外のノベルを書くことにします。

 予定としては書きかけの「幽遊白書」「ガンダムW」。いずれは「赤影」とかもやりたいなあ・・と。

 今週は幽白でやってみます。

 最初の部分は隠し部屋にアップしてたんですが、今回アニメのお部屋に移動しましたので、良かったら読んでみてね。

 

    ****************

 

 う〜んと大きく両手と一緒に身体を伸ばした幽助は、気持ちのいい山の空気を一杯吸い込んだ。

 ひんやりとした空気だが、頭をスッキリさせるには丁度いい。

「ふぇ〜なんか寒いじゃねえか・・!」

 ガシガシと口の中の歯ブラシを動かしていた桑原が、ブルルと身体を震わせる。

「気持ちいいじゃねえか。やっぱ山ん中の空気はサイコーだぜいv」

「ケッ。年寄りくせえこと言ってんじゃねえ」

「てめえこそ背中丸めてんじゃねえよ」

 よっという声と共に幽助は前転バック転、最後に空中で捻りを加えたムーンサルトを綺麗に決めた。

「さあて。朝飯の前に、ちょっくら散歩でも行ってくっかあv」

「へえへえ、行ってこい、行ってこい」

 付き合う気はねえとばかりに、桑原が両手をプラプラさせる。

「幽助!どこ行くの?」

 本堂の濡れ縁に立っていた蛍子が出て行く幽助を見て声をかける。

「散歩!おまえも来っか?」

「えっ、あたしは・・・」

「行っといでよ、蛍子ちゃん。朝食の手伝いはあたしがやっとくからさあ」

 ぼたんが、そう言って蛍子の背を押す。

「でも・・・」

 迷う蛍子にぼたんが、そうだvとポンと手を打った。

「じゃあさ、交代にしようよ。朝はあたし、昼は蛍子ちゃんがやる」

 ねっv

「う・・うん」

 それなら、と蛍子はうなずいた。

 幽助と蛍子の二人を見送ったぼたんは、はぁ〜と深い溜息をついた。

「さあて・・・どうしようかねえ。やっぱり、まだ成り行きを見てるべきかねえ」

「なんの成り行きだって?」

 唐突にかけられたその声にぼたんは飛び上がって驚いた。

 そ〜と振り返って見ると、起きぬけであまり機嫌がよさそうではない静流が腕を組んで立っていた。

「あ・・あは!いたの、静流さん」

「・・・・」

「あっあたし、ちょっとお台所へ行ってきま〜す」

「ぼたんちゃん」

「は・・はい!」

 ドスのきいた低い声で呼ばれたぼたんは、ビクンと身体をこわばらせた。

「コエンマに何を言われてきたんだい」

「えっ・・?な・・なにって・・・・アハッ!なんのことかなあ・・って」

 静流はじーっとぼたんの顔を見つめている。

 実際、ガンを飛ばせば弟の和真など問題じゃないくらい迫力のある静流だった。

 ぼたんは引きつった顔で俯く。

(え〜ん・・コエンマさま〜〜)

 

昨夜は本当に死ぬ思いで上った石段を幽助と並んでおりた蛍子は、澄み切った空を見上げてふぅ〜と息を吐き出した。

「なんだ、もう疲れたのかよ?」

「違うわよ!いい天気だなあって思っただけ!」

「んー、確かに雲ひとつねえよなあ」

 それに静かだ。

 街中のように朝から車は走ってないし、人とも出会わない。

 道を歩いているのは、幽助と蛍子の二人だけだ。

「ところで、どこ行くの?幽助」

 散歩と言いながら、目的がありそうな歩き方に蛍子が尋ねる。

「ゆうべ聞いた、白蛇をまつっているってえ神社」

 えっ?と蛍子は足を止めた。

「だーってさあ。なんか面白そうじゃん?できたら白蛇の化身ってえ奴を見てみたいしさあ」

「昨日見たじゃない!」

「あれは、んなもんじゃねえよ。単なる使い魔って感じだった」

 そう答えて幽助はスタスタ歩く。

「ちょっと!冗談じゃないわ!そんな不謹慎な目的で行ったりしたらバチがあたるわよ!」

「バチィ?どんなバチがあたるってんだ。だいたい、向こうから現れたんだぜ。挨拶くらいしといてやんなきゃ、な」

 ニヤッと笑う幽助を、蛍子は呆れたように見つめる。

 いまさら驚くことではないが、幽助は相手が誰であろうとおかまいなしなのだ。

 神様も喧嘩相手の不良も同等に認識している幽助には、神様もさぞびっくりだろう。

 神社はすぐに見つかった。

 大きな赤い鳥居がとにかく目立つ。

 また石段というのにはウンザリだが、寺に比べれば数は半分以下なので楽といえば楽だった。

 もっとも、ゲッとなったのは蛍子だけで、幽助はなんということもなかったみたいだが。

 石段をのぼりきってすぐ、二人は無残にも二つに裂けた大木を見た。

「やだ!雷が落ちたのかしら」

「じゃねえの?珍しいこっちゃねえぜ」

 答えて幽助は、ふと見覚えのあるバイクに気づき眉をひそめた。

 黒塗りの大型バイク。

 ナンバーを見ると、あの夜あいつが乗っていたバイクと同じものだった。

(まさか・・・・)

 幽助が顔をしかめた時、社務所と書かれた建物から若い男が出てきた。

 男のすぐ後ろから出てきた神主らしい男が深々と頭を下げる。

(なんだあ?)

 幽助は今度は目をパチパチと瞬かせた。

 男はそんな幽助に気づき、ふっと笑みを漏らす。

 

 

2002/10/17 日記で連載始めます。今週は幽白。

 日記とは名ばかりの、月数回書けばいいとこが情けなかったんですけど、最近よそ様のサイトで日記に連載小説を書かれているのをいろいろ見て、これなら出来るんじゃないかとふと思いまして・・・

 毎日更新はムリでも、週2か週3の割合で更新できるかなあ・・と。

 まずはためしに始めることにしました。

 とはいえ、コナンは企画部屋に連載物をかかえてますし、ここではコナン以外のノベルを書くことにします。

 予定としては書きかけの「幽遊白書」「ガンダムW」。いずれは「赤影」とかもやりたいなあ・・と。

 今週は幽白でやってみます。

 最初の部分は隠し部屋にアップしてたんですが、今回アニメのお部屋に移動しましたので、良かったら読んでみてね。

 

    ****************

 

 う〜んと大きく両手と一緒に身体を伸ばした幽助は、気持ちのいい山の空気を一杯吸い込んだ。

 ひんやりとした空気だが、頭をスッキリさせるには丁度いい。

「ふぇ〜なんか寒いじゃねえか・・!」

 ガシガシと口の中の歯ブラシを動かしていた桑原が、ブルルと身体を震わせる。

「気持ちいいじゃねえか。やっぱ山ん中の空気はサイコーだぜいv」

「ケッ。年寄りくせえこと言ってんじゃねえ」

「てめえこそ背中丸めてんじゃねえよ」

 よっという声と共に幽助は前転バック転、最後に空中で捻りを加えたムーンサルトを綺麗に決めた。

「さあて。朝飯の前に、ちょっくら散歩でも行ってくっかあv」

「へえへえ、行ってこい、行ってこい」

 付き合う気はねえとばかりに、桑原が両手をプラプラさせる。

「幽助!どこ行くの?」

 本堂の濡れ縁に立っていた蛍子が出て行く幽助を見て声をかける。

「散歩!おまえも来っか?」

「えっ、あたしは・・・」

「行っといでよ、蛍子ちゃん。朝食の手伝いはあたしがやっとくからさあ」

 ぼたんが、そう言って蛍子の背を押す。

「でも・・・」

 迷う蛍子にぼたんが、そうだvとポンと手を打った。

「じゃあさ、交代にしようよ。朝はあたし、昼は蛍子ちゃんがやる」

 ねっv

「う・・うん」

 それなら、と蛍子はうなずいた。

 幽助と蛍子の二人を見送ったぼたんは、はぁ〜と深い溜息をついた。

「さあて・・・どうしようかねえ。やっぱり、まだ成り行きを見てるべきかねえ」

「なんの成り行きだって?」

 唐突にかけられたその声にぼたんは飛び上がって驚いた。

 そ〜と振り返って見ると、起きぬけであまり機嫌がよさそうではない静流が腕を組んで立っていた。

「あ・・あは!いたの、静流さん」

「・・・・」

「あっあたし、ちょっとお台所へ行ってきま〜す」

「ぼたんちゃん」

「は・・はい!」

 ドスのきいた低い声で呼ばれたぼたんは、ビクンと身体をこわばらせた。

「コエンマに何を言われてきたんだい」

「えっ・・?な・・なにって・・・・アハッ!なんのことかなあ・・って」

 静流はじーっとぼたんの顔を見つめている。

 実際、ガンを飛ばせば弟の和真など問題じゃないくらい迫力のある静流だった。

 ぼたんは引きつった顔で俯く。

(え〜ん・・コエンマさま〜〜)

 

 

 昨夜は本当に死ぬ思いで上った石段を幽助と並んでおりた蛍子は、澄み切った空を見上げてふぅ〜と息を吐き出した。

「なんだ、もう疲れたのかよ?」

「違うわよ!いい天気だなあって思っただけ!」

「んー、確かに雲ひとつねえよなあ」

 それに静かだ。

 街中のように朝から車は走ってないし、人とも出会わない。

 道を歩いているのは、幽助と蛍子の二人だけだ。

「ところで、どこ行くの?幽助」

 散歩と言いながら、目的がありそうな歩き方に蛍子が尋ねる。

「ゆうべ聞いた、白蛇をまつっているってえ神社」

 えっ?と蛍子は足を止めた。

「だーってさあ。なんか面白そうじゃん?できたら白蛇の化身ってえ奴を見てみたいしさあ」

「昨日見たじゃない!」

「あれは、んなもんじゃねえよ。単なる使い魔って感じだった」

 そう答えて幽助はスタスタ歩く。

「ちょっと!冗談じゃないわ!そんな不謹慎な目的で行ったりしたらバチがあたるわよ!」

「バチィ?どんなバチがあたるってんだ。だいたい、向こうから現れたんだぜ。挨拶くらいしといてやんなきゃ、な」

 ニヤッと笑う幽助を、蛍子は呆れたように見つめる。

 いまさら驚くことではないが、幽助は相手が誰であろうとおかまいなしなのだ。

 神様も喧嘩相手の不良も同等に認識している幽助には、神様もさぞびっくりだろう。

 神社はすぐに見つかった。

 大きな赤い鳥居がとにかく目立つ。

 また石段というのにはウンザリだが、寺に比べれば数は半分以下なので楽といえば楽だった。

 もっとも、ゲッとなったのは蛍子だけで、幽助はなんということもなかったみたいだが。

 石段をのぼりきってすぐ、二人は無残にも二つに裂けた大木を見た。

「やだ!雷が落ちたのかしら」

「じゃねえの?珍しいこっちゃねえぜ」

 答えて幽助は、ふと見覚えのあるバイクに気づき眉をひそめた。

 黒塗りの大型バイク。

 ナンバーを見ると、あの夜あいつが乗っていたバイクと同じものだった。

(まさか・・・・)

 幽助が顔をしかめた時、社務所と書かれた建物から若い男が出てきた。

 男のすぐ後ろから出てきた神主らしい男が深々と頭を下げる。

(なんだあ?)

 幽助は今度は目をパチパチと瞬かせた。

 男はそんな幽助に気づき、ふっと笑みを漏らす。

「なんで、てめえがここにいる?」

「それはこっちのセリフだな、幽助。こんな所で何をしている?」

「てめえ!偶然だってえのか!えっ?亜門!」

 亜門は口元に笑みうを浮かべたまま、スッと幽助に向けて白い手を伸ばす。

 それを幽助は、僅かに身を引いて避けた。

「つれない奴だな」

 亜門は苦笑すると、幽助の傍らに立つ蛍子に視線を向ける。 

 整った美しい顔でニッコリと微笑まれた蛍子は頬を赤くした。

 バッ!と幽助は蛍子を後ろに隠すように手を伸ばした。

「てめえ!蛍子に色目なんか使うんじゃねえ!」

「可愛い子だな。おまえの彼女か?」

「うるせえ!」

 幽助は亜門の顔を睨みつける。

 だが、並みのワルならびびってしり込みする幽助の眼光も、亜門には通じないようだった。

 それじゃ、と亜門が神主に向けて軽く頭を下げると、神主もまた「よろしくお願いします」と頭を下げた。

 亜門は自分のバイクにまたがると、手に持ったヘルメットを被った。

「おい!」

「またな、幽助」

 グオン!とエンジンが音をたてると、亜門の乗ったバイクがつい今しがた二人が上ってきた石段に向かって走り出した。

 あっ、と驚いて石段に駆け寄った幽助と蛍子は、亜門のバイクが僅か30センチ余りの幅のスロープを走り降りていくのを目にした。

「すご〜い!」

 蛍子は目をパチクリさせながら感嘆の声を上げる。

 はっきり言って幽助は面白くない。

「あ、ちょっと!」

 幽助は社務所に戻りかけた神主を慌てて呼び止める。

「あいつ何しにここへ来たんだ?」

「あの方とお知り合いですか?」

 さっきの会話からそうとわかったが、どうも共通点が見出せず首を傾げる神主に幽助はムッとする。

 だが、幽助を見る目はいつもの教師や常識のある人間だと思い込んでいる大人たちとような嫌悪の色は浮かんでいなかった。

 それで幽助は機嫌を直し、「昔のちょっとした知り合いだ」と先を促した。

 中年のやや小太りで柔和な顔をした神主は幽助のふてぶてしい態度に気を悪くした風もなく丁寧に答えを返した。

「あの方は(術者)さまです」

 

 

4 につづく

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