(相変わらず元気のいい奴・・・) 深々と溜息をつくコナンに蘭が気がついた。 「あら、コナンくん。お帰りなさい」 「なにしてんの?なんかの劇?」 「劇なんかじゃないわ!キッドさまよ!」 ハ?とコナンは園子の顔を見上げる。 キッドさまだあ?それって、もしかしなくても、あのキッドのことかよ・・・ 「怪盗キッドから予告状が届いたんだと」 自分のデスクに座った小五郎が、あまり関心のない顔で答える。 「園子姉ちゃんの所に予告状がきたの?」 「そうなのよ!あさってから米花博物館でビクトリア王朝展が開かれるんだけど、そこにうちのパパが知人から譲り受けたという、王朝ゆかりの宝石が展示されることになってんの」 「それをキッドが狙ってる?」 「決まってるでしょ!ウチの宝石が一番高価なんだから!」 おいおい・・・・ 「予告状にはなんて書いてあったの?」 「え・・・と、この素晴らしい時に招待された紳士淑女が全て揃った時、選ばれし、時の魔術師がゲーム開始を宣言しに参上する・・だったかしら?」 さすがキッドさま!素敵な文句よねえ、と園子は感激する。 が、コナンは、どこがだよ?と思いっきり鼻の頭に皺をよせた。 (いつもながら、キザな言い回しだぜ。いったい何が言いてえんだ?) 確かにキッドの予告状だが、しかしそれには日時が指定されていない。 ゲームだと? 「ふざけた野郎だぜ。盗みをゲームと一緒にしてやがんだ」 そう吐き捨てるように言った小五郎の言葉に、コナンは首を傾げる。 確かに予告状や、警察を翻弄するキッドの手口はゲーム感覚と言えなくもないが。 「それでね。明日一般公開の前に、特別に招待した人たちに宝石を見せることになってるんだけど」 園子は、ハイと蘭に白い封筒を手渡した。 「何に?」 「決まってるでしょう。明日の招待状。ぜひとも、毛利のおじさまにキッドさまを捕まえてもらいたいのよ」 コナンは引きつった笑みをうかべた。 (園子の野郎・・まだ諦めてねえのかよ・・) 園子の魂胆など見え見えである。 このミーハー娘は結局キッドに会いたいのだ。 これまで何度か機会がありながら、会うことができなかったことがよほど悔しかったのだろう。もはや、執念ともいえるかもしれない。 園子なら、父親の宝石をオトリにしてでもキッドに会おうとするかもしれない。 (・・ったく) 園子も園子だが、名探偵のおじさまなら絶対にキッドさまを捕まえられるわとおだてられ、その気になっているおっちゃんもおっちゃんだ。 ホント、大丈夫かよ? 今回の予告状は、なんか胡散臭いぞ? 「ねえ、園子姉ちゃん。キッドの予告状は今どこにあるの?」 「え?さあ・・警察が持ってるんじゃない」 「ふ〜ん」 まあ、あとで目暮警部に連絡とってみっか。
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