汝さきに心中(こころのうち)におもえらく われ天にのぼり わが位を神の星の上にあげ 北の極(はて)なる集会(つどい)の山に座し たかき雲洟(くもい)にのぼり 至上者(いとたかきもの)のごとくなるべしと
― 『イザヤ書』 ―
〜prologue〜
「は?宝さがしゲーム?」 「そうなのよ!里見財閥のお屋敷でね、一般人も何人か参加させてやるらしいのよ。」 「へぇ、おもしろそうじゃない。」
昼休み、蘭と新一が雑談していたところへ園子が割り込んできた。
「で?それがどうかしたのか?」 「どうかしたのかじゃないわよ。参加するに決まってるでしょ?」 「・・・・・誰が。」
嫌な予感がする新一はそれでも一応聞いてみる。
「もちろん私と蘭と新一君よ!」
予想通りの園子の答えに新一はため息をつく。
「断る。なんで俺が・・・・。」 「なんでもその隠し場所は難しい暗号で表されてるらしいのよ。新一君がいればそんなの簡単に解けちゃうでしょ?」 「嫌だね。おめぇの誘いはろくなことがねぇ。」 「やあねぇ、もう女装なんてさせないわよ。」 「・・・・・」
ついこの前、新一は同じように園子に誘われたパーティに行き、女装させられて しまった。そのことがあってから園子からの誘いに警戒するようになったのだ。 話を無視する新一に園子はだんだん焦れてくる。
「あ、そ。いいわよ。ねぇ蘭、二人で行きましょうねv里見財閥にはとっても素敵な息子さんがいるのよ。蘭きっと気に入られると思うわよ!他にもかっこいい人たちが来るかもしれないしねvもてるわよ〜きっと!」
「・・・・・」 (園子のやろ〜〜〜!)
「うわぁ〜!素敵なお屋敷!」 「ここならかなりのお宝が見込めそうね。」 (おめぇの家も十分持ってんじゃねぇか・・・・。)
園子の策略(?)にはめられて、結局来てしまった新一は、大騒ぎしている蘭と園子に少し呆れながらもうれしそうな蘭の様子を見て微笑んだ。
集合場所となっていたのは里見家の屋敷裏の庭だった。 そこには色とりどりの花々が咲き乱れ、中央には大きめの池があるきれいなところだった。そこには結構人が集まっていた。みんなゲームの参加者だろう。
「すげ・・・・見事な庭だな。」 「”Heaven’s Garden”そう言われています。」 「え?」
突然声が聞こえてきた。 振り向くと、20代半ばくらいの背の高い男が立っていた。髪も瞳も色素が薄い。 純粋な日本人ではないようだ。
「あら、優人さん。お久しぶり。今日は招待してくれてありがとう。」 「お久しぶりですね、園子さん。」 「ねぇ、園子、この人は?」 「この人が里見家の御曹司、里見優人さんよ。」 「はじめまして、毛利蘭さんと工藤新一君ですね。園子さんから聞いていました。」
にっこりと微笑んだ彼はとてもやさしそうな青年だ。新一と蘭も挨拶を交わした。
「そういえば優人さん、ここにいる人ってみんな参加者なの?」 「ええ。今回のことは父が考え出したことでして。何しろお祭り好きな人ですから。始まるまでまだ時間がありますから、庭をご覧になっていてください。」 「そういえば、先ほどここが”Heaven's Garden”と呼ばれているって言ってましたね。」 「ええ。ここにある花々は祖父の代から集めたものでして。うちの一族はどうも花が好きなようで。集めているうちにこんなに膨大な数になってしまったんです。」 「でも、本当に素敵ですよ。まさに楽園て感じで。」
なかには見たこともないような花もある。そしてそれらの香りがあたりを包んでいた。
「私はまだ準備がありますので失礼しますね。」 「あ、はい。」
優人は屋敷の方へと戻っていった。
「ね?蘭、素敵な人でしょ?4分の1フランス人の血が入ってるんだって!」 「もう、園子ったら・・・。」 「相変わらずだな、おめぇは。」
話しはじめた三人は、優人が一度振り返って新一を見ていたことに気づかなかった。
「わあ!すごいよ、ここの庭!快斗、早く早く!」
後ろの方から甲高い声が聞こえてきた。どうやらまた参加者が増えたらしい。三人はふと声のする方を見た。
「ちょ、ちょっとあの子・・・」 「新一にそっくり・・・・」
先ほどの女の子に腕を引っ張られている少年を見て、蘭も園子も驚く。その少年の顔は新一にそっくりだった。 ふと少年がこちらの方を見て、正確には新一の方を見てにやりと笑った。
(!!あいつは・・・・)
To Be Continued・・・・ 01/12/5
前の「FAKE」にさらに続く話です。今回は新一が”快斗”と出会うお話。 しかし、プロローグ・・・・?なんだか長くなりそうです; すみません、麻希利さま(;▲;) arigatou ありがとうございます、友華さんv |