過激なデート 中編


 

 電波の入りやすい場所までバイクを走らせた。

 

 何はともあれ、それが一番重要。

 

 工藤邸もバッチリOKなんだけど、あっちこっちに視線があるし。

 特にお隣にバレた日には、一体どんな目にあうんだか・・・。

 素直に『デート』と白状しても、絶対にきいちゃもらえない。

 

 ま、そんなんはおいといて。

 

 

「無駄なんだけどなぁ」

 

 何処に行ってても俺にはバレバレだってのに、くつりと快斗は笑って愛用のモバイルを携帯に繋いで操作を開始。

 探すのは勿論、愛しい人。

 勝手に突然、姿を消してしまった人のことなんだけど・・・。

 

「あれ?」

 

 もっと広範囲なわけ?

 この周辺は網羅してんだし、何処まで広げたら良いんだか?

 ひやりとした思いに快斗は首を振って、全国地図を表示してみた。

 

 点滅する一点、それを見た快斗は思わず十字を切った。

 

「過激すぎない?」

 

 まぁ、なんて新ちゃんらしいのか。

 本当に飽きさせないお方だよ、彼は。 

 持って出て行ったのは携帯とあっても小銭だけのはずだ、あの状況から判断すれば。

 

 となると、導き出せる答え等決まる。

 

「んの野郎〜」

 

 良い度胸じゃねーか、仕返ししてやる。

 仕返ししてやる・・・は良いとして、問題は新ちゃんだよね。

 

 あれほどお願いしていたのに、俺の女王様は白馬鹿と手を切ってくれなかったのか。

 便利だと漏らしていたからなぁ、きっと移動の足として活用してんだろうなぁ。

 

 だからって簡単に新一は落とせないぜ、白馬鹿。

 

 

「大阪に何しに行くんだか」

 

 意図があるはずなんだけど、一体なんなんだかなぁ。

 計り兼ねるんだけど、今は後回しにしなきゃいけないことなんだけどなぁ。

 ものすごーく気になるんですけど。

 

「後で新一に吐かせようか」

 

 それは決定だよなぁ、さて。

 大阪に乗り込むべきだよなぁ、こっちに戻ってくるのを待ってられねーしぃ。

 時間がかかってしまうのが難点なのだがなぁ、大阪から動かない保障も皆無なんだけど。

 

「西の服部が居るしなぁ」

 

 だから、居続ける可能性がとても高い、高すぎる。

 

「しゃーないっ!」

 

 このまま行くか!

 

 決断後は早かった、モバイルを片付けてバイクに跨る。

 そのままアクセルを吹かし、強行すべく発進した。

 

 

 

 

 

「早いもんだなぁ」

 

 あっと言う間に着いた気もするがと、新一は賑わう街中を見つめ感心する。

 大阪に辿り着き、新一はものめずらしさも手伝ってしきりに辺りを見渡していた。

 その隣にはしっかりと白馬が歓喜の笑みを浮かべて立っている、嬉しくて仕方ないらしい。

 

「当然ですよ、工藤君」

 

 最短距離を突っ切って来たんですからと白馬が胸を張った、運転手への指示は細やかだった。

 当然ながら、衛星の情報受信をしながらだった・・・その賜物である。

 

「じゃぁ・・・」

 

 時間が時間だからどうするかなぁ、なんか小腹が空いたらしいし。

 思案する新一に白馬は考えをまとめて言い放つ、これだと思い込んでだ。

 そう、此処は大阪なのだ。

 ならば、決まっている・・・。

 

「お好み焼きでもいかがですか?」

 

 この先にあるんですよ。

 

「は?」

 

 何?

 

「美味しいお店があるんですよ」

 

 是非とも、いかがです?

 お勧めランキングTOPに常時名前を連ねているところですから。

 

「お好み焼きぃ?お前は真面目に言ってんのかよ?」

 

 昼まっからお好み焼きぃ?

 

「勿論ですとも、大阪と言えばお好み焼きに決まっているでしょう!」

 

 そのために大阪に来たんじゃないのですか?

 

 白馬の言葉を理解するのに、新一は数秒かかった。

 だが、下した言葉は簡潔で。

 

「そんなに食いたければ、てめーが一人で食え」

 

 俺はパス。

 んじゃな、さんきゅう。

 

 言葉と拒絶、そして踵を返して、新一は鮮やかに人ごみの中に消えていった。

 

 

 伸ばされた白馬の手は宙を握るだけで、新一には届かなかった。

 言われた言葉を理解できずに、戸惑った事が遅れをとった理由であろう。

 

 

「・・・工藤君は、僕の理性を試すつもりだったのですか?」

 

 

 甘いですよ、僕の中の思いはそんな程度じゃ消えませんからっ!!!

 次の電話を心からお待ちしてますとも、そしてリベンジを!!! 

 

 懲りない白馬であった。

 

 

 

 

「さーてと・・・」

 

 これから、どーすっかなぁ。

 このまま快斗が来るのをただ待っているって言うのも、暇だよな。

 今はどの辺りなんだろーなぁ・・・。

 

「発信機でもつけとけば良かったか?」

 

 センサーでもしとけば、スリリングだったのに。

 咄嗟過ぎて、細かい仕掛けまで出来なかった。

 どうせなら、もっと楽しい内容にしたかったのに。 

 取り出した携帯の電池を確認して、簡単なメールを作成して二つ送った。

 一つは快斗へ、もう一つは・・・。 

 うん、これで仕込みはいいはず。

 

 

 

 

「・・・はいはい、しておきますよ」 

 

 本当に、行ったのね。

 なら、ちゃんとしておいてあげないと・・・。

 

 <過激なデート>をすると言い切った彼は、提案をしていった。

 まぁ、タダで受ける気もなかったから。

 条件を出したのに・・・本当に突飛なことを言った筈なのに・・・あきれるわよ。

 

 偽名で抑えておいたほうが・・・いいのよね?

 ま、楽しいから良いのかしら。

 

 電話に出た受付嬢に、哀はにこやかに切り出した。

 

 

 

  

      続く     7月6日   

 

連日でお話を頂けてビックリですけど嬉しいです〜v
さて白馬くんをアッシーにして大阪に来た新ちゃんだけど
快ちゃんが追っかけてくると信じてる所が愛vですねえ〜v
快ちゃんだけでなく、新ちゃんも想ってるとこがベスト!
しかし・・快ちゃんキレかけ?楽しんでそうだけど。
次は平ちゃんも出てくるもかな?
哀ちゃんも絡んでるみたいだし、後編が楽しみですね♪

麻希利

                          


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