過激なデート 前編


 

 滅多に無いのんびりした一日、きっとゆったりと過ごすのだと思い込んで居た。

 快斗が何か思いつかなければ、間違いなくそう過ごせたのに。

 

「あっ!そーだっぁ」

 そうだ、そうだよ。

 俺ってば。

 

「どーした、急に大声を上げて?」

 びっくりするじゃねーか、耳元で喚くな。

 顔をしかめた新一にも気付かずに快斗は言い放つ、勢いのままに。

 

「新一、デートしよっ!」

 これから。

 

「は?」

 なんだって?

 

「デート、決定〜v準備なんていらないしさぁ。財布だけあれば可能だし」

 ほらほら、行こう。

 しっかりその気になっているらしい快斗に腕を掴まれ、新一は唖然と快斗を見つめた。

 

 何を急に言い始めたのかと思えば、デートぉ?

 

「あ、財布が上だから取ってくるね。待っててね」

 

 軽く押し当てられた感触が嘘なわけはなくて、異義を唱える間もなく身を翻しドアの向こうに消えて行った快斗に溜息しか出ない。

 それでもなんか悔しい、勝手に取り決められてしまった事。

 しかも一方的にだ、この時間の過ごし方は二人で暗黙だったのに。

 数秒悩み、出した結論。

 

「全部、お前の思惑通りになると思うなよ?」

 俺がただなにもせずについてくタマじゃねーのは知ってるはずだよなぁ?

 にやっと笑い新一は上の様子を気にしながら、こっそりと家を抜け出した。

 そう、携帯さえあればどうにかなる。

 別に俺は・・・付き合いのイイ奴との関係を完全に切ったわけではないのだし?

 

 

 わずかな音に快斗が気付きしまったと慌てて階下に舞い戻ってもすでに遅し、逃亡

かと慌てて追い掛けるべく飛び出そうとしたが。

「なに、これっ!」

 ドアが開かないじゃんかぁ!!

 新一っ、性格悪いよぉ〜

 登録番号が違うってどーゆーことなのさぁ!

 あ、違うや。

 外からの場合が変わってない・・・内側からのが異なるって・・・んな発明は博士かよぉ・・・。

 唸る快斗がはたっと携帯の着信に気付いた、メールで新一からである。

 

 <過激なデートをしようぜ?捕まえてみな。そうしたら夜も付き合ってやるぜ? 新一>

 

 目が点である、漏れたのが怪しい笑いなのは仕方ない。

「新一、絶対に捕まえてやるんだからね!」

 そして新一とラブな時間を過ごすんだぁ!

 そのためにはまずはこれをどうにかしないと、と、快斗は登録されやすい番号を探り始めた。

 

 

 

 巻き込みをくらった哀は簡潔に言い切る、勿論、別れてからだが。

 一時的な巻き込みで済んだだけ、良かったといえよう。

「どっちが過激なんだか」

 似たようなモンだわ、二人とも。

 付き合ってられないんだから、ま、一人じゃないし。

「早くしないとお姫様が悪い人達の餌食になってしまうわよ?」

 一体、誰とのデートになるんだか。

 ぽつりと漏らされた言葉は、誰にも聞かれる事なくとけた。

「スリリングな『デート』よね?」

 私なら、ごめんだわ。 

 

 

 

 

「悪いな、急に」

 呼び出してしまってさ。

 大して感情を込めずに言ったはずなのに、なにやら上機嫌に輪をかけた声が返って

きた。

 

「いいえ、工藤君からの呼びだしならば」

 大歓迎ですよと、白馬は握り拳を作る。

 いつもは黒羽君に美味しい所を奪われてますが、今日こそは僕の天下なんですから!

  貴方からの呼び出しならば、どんな場所へでも参上します。 

 

 「白馬、大阪へ行きたいんだが」

 駄目か?

 

「大阪といえば、とてもお勧めのディナーが出来る場所があります!」

 僕の家のシェフには若干劣りますが。

 

「ディナー?俺はタコ焼が食いたいんだが」

 それに、昼前だぞ?

 

「工藤君は完璧な現地主義なんですね、では早速向かいましょう!」

 

 勘違いをしたままの白馬に、新一は顔をしかめて無言であった。

 どう思われていようとも、現地に行ければ良いのである。

 今頃、快斗は何処で何をしているのか。

 それを考えると笑いが漏れる、自然と微笑むのだが。

 ああ、工藤が微笑んでる。

 僕の言葉か、態度が・・・気に入ってもらえたのか?

 絶対に誰にも邪魔させずに、彼に告白をしてもらわなければっ!!

 暴走した白馬の妄想を引き止める者は居なかった。

 

 

 

 

 

「・・・新一との時間差が、単純に見積もって一時間強だよ・・・」

 んー・・・難しかったぁ、頭の運動にはなったっぽいけど。

 コキコキと肩を馴らして快斗は伸びをする、準備運動のつもりだった?

 単なる時間稼ぎにしては、とっても凝っていたんだけど・・・。

 

 にっ。

 快斗は笑い、徐に愛用のバイクのキーを取り出した。

 準備は万端だし、足りないのは新一だけだし。

 

 <過激なデート>とやらを、愉しませてもらいましょ。

 

 

 

 

 

「出て行ったわね・・・」 

 途中でコケなきゃ良いけど・・・アクセル全開で飛ばしていった音よね。

 と言う事は、今までかかっていたの?

 怪盗も落ちたのかしら、それともワザと?

 後で、事の顛末を・・・聞くべきかしら?

 

 でも、あてられるだけよね・・・。

 それは絶対だわと、哀は笑った。

 

 

                         続く    7月5日


40万ヒットのお祝いにpuchanさんから頂きましたvありがとうです〜〜
 もう知らないって方はいないんじゃないかと思える大手サイトの管理人さんです〜v
ご自分のサイトにだけでなく、ホントにたくさんのサイトさんにも作品を書かれていて、
その精力的な創作意欲には頭が下がります。
もう尊敬の一言ですね!そんな方から作品頂けるなんてラッキ〜v
しかもリクエストまでさせて頂いたんですからさらに幸運!
危険なデート・・やっぱりこの二人がデートするとなれば普通じゃすまない!
・・というか、新ちゃん小悪魔〜〜
いや、サスガです。先が気になりまくり・・何企んでんでしょ?
ちなみに麻希利は大阪人ですvお待ちしております、新ちゃん〜〜(笑)

麻希利


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