お茶事のはなし


お茶事というのは、たくさんの人が招かれてお薄茶をいただくお茶会とはまた違って、
招く方(亭主)と招かれる方(客)が、全部で4〜5人という会のことです。
お料理を出し、お酒を出し、それから濃茶・薄茶と二つのお茶席を用意して
ほんとうに一日がかりで、亭主は走りまわってもてなします。
これこそ「ご馳走」の見本のようです・・^^;
和子さんが写真を送ってくれたので、ちょっとみなさんにもお茶事の雰囲気を・・・。
お茶事には、
夜の長い季節に行う「夜咄(よばなし)の茶事」(冬)とか
朝の六時ごろからはじめる「朝茶事」(夏)なども
あります。
でも、この季節は普通に午前10時半ごろから
はじめます。
やってきたお客さまは、
「寄付」というところで、
お湯をいただき、次の庭の腰掛け待合へ
出ます。
出されるお湯は、季節によって違います。
桜湯であったり、しいたけ茶、またそば茶であったり・・。
季節が感じられるものであればよいのです。
お茶はまだ出ません(笑)
寄付の掛け物・「流しびな」


腰掛け待合、この日はなんと
「水琴窟」(すいきんくつ)のある手水鉢だったそうです。
どういう仕掛けか、詳しいことはわかりませんが、
水が中へ落ちるとそれはそれは涼やかなよい音色が
聞こえるそうな・・・。
この手水鉢で、手・口を清めて、
迎えにこられた亭主に案内されて、
お客様はお茶室に入ります。
3月は、お茶を入れるためのお湯を沸かすところも
上から吊るされた「釣り釜」というのを使います。
ここで、亭主は、この炉の中の炭をかえます。
これを「炭手前」といって、
これも作法があります。
炭をつかむには、上手な箸使いを要求されます。
はなは、ついに覚えられませんでしたが・・^^;
本席の掛物「喫茶去」です。
キッサコと読むそうで、
つくしクン(雑学博士^^;)によると
「禅語。お茶でも飲んで来い。
もともと相手を叱咤する語であるが、
後には、お茶でも召し上がれ、の意に解され、
日常即仏法の境地を示す(^^?)語と誤解された」
ということです。
わかったような、わからんような・・・(^^;
要するに「お茶しましょ♪」の古い言葉でしょう・・・。
お茶を飲むことでいきなり
仏法の世界に入ってしまうというのも
なかなかすごい・・・と、
つくしクンも言っております・・。


さて、ようやくお食事がはじまります。
たくさん食べると、後でお茶が飲めなくなるので(^^ゞ
少しずつです。
これが、お茶の懐石料理です。

向付(むこうつけ)は、イカの黄味あえ、器は九谷焼き。
お味噌汁は、よもぎ麩・カラシのせの白味噌仕立、
ちょっとわかりにくいですが、きざんだふきのとうがのっています。
ご飯は、「一文字」のスタイルにつけるのが決まりです。
山盛り入れてはいけません!
また、お箸も決まりの利休箸。しめらせて使います。
メインの一品、椀盛(わんもり)です。
湯気がほかほかあがっています^^
小鯛の道明寺蒸し桜葉包み。
お茶事では、
熱いものは熱いように、冷たいものは冷たいように
出すのはもちろんですが、
これもほかのものも全部手作り!
インスタントや冷凍モノは、使いません。
はあ〜・・・考えただけで大変そう・・・(笑)

焼物(やきもの)も出します。
この日は、マスの白酒焼。
三月だから、
お雛さまを意識した白酒使いです・・。

左右のお料理は、強肴(しいさかな)。
お酒を勧めるために出します^^
右は、里芋・人参・わらびの炊き合せ、
左は、せり・つくし・菜の花の
ゴマ和えです。

ここまでお料理を出すと、
亭主はご飯とお酒をおいて、
いったんお勝手に下がります。
お客さまどうしが、ご飯とお酒をまわします。
これで終りかと思うでしょう?
ところが、まだまだ・・・・^^;
お勝手で、お客さまのお相伴を(急いで)してきた亭主は、
「箸洗い」(はしあらい)というお湯飲みくらいの器に季節のものを浮かせた汁を出します。
そしてその後・・今度は「八寸」(はっすん)というものを持ってお客さまの前へ行き、
今度は、亭主とお客が、お酒をつぎかわします。

思うのですが、お茶事に参加しようと思ったら、
お酒も強くないとついていけないようです・・・・・・・。

八寸(はっすん)・・
山のもの・そら豆と
海のもの・白魚の甘煮。
やっとお食事も終りです。
最後に、飯釜の底をさらえた「おこげ」の湯に香物をそえたのが出てきます。
昔は、ご飯はお釜で炊くので、おこげもありましたが、今はわざわざおこげを作るのだそうです・・。
それから、懐石のお膳類をすべて下げます。
ご飯を食べて、お酒を飲んで、
満腹〜〜♪ですが、
いよいよ、お茶席のはじまりです。
まずは、縁高(ふちだか)に入れられた
主菓子(おもがし)が
登場です・・。
でも、さすがにお客さまも長時間で疲れますので、
ここでちょっと休憩・・・(^。^;)
中立(なかだち)といって、庭へ出てはじめの腰掛待合で待ちます。
亭主はその間にお茶席の用意にぬかりがないか確かめて、
銅鑼(!)を打ちます。
お客さまは、神妙にその銅鑼を聞き入った後、お茶席に戻ります。
こうしてお濃茶の席が
はじまります。
水差しがおいてあるのは、
業平棚(なりひらだな)。
菱形の棚で、これも三月限定です^^

お濃茶をいただいた後は、
干菓子が出て薄茶席と
なります。

ここまでで、一回のお茶事が
終ります。
午前10時半頃からはじまったお茶事、
薄茶の席が終ったら、だいたい午後の3時ごろです。
いろいろと決まりごとが多く、大変そう〜^^;と思ったのではありませんか?(笑)
でも、お茶事の席は、親しい数人だけで、いわばお茶のフルコースを楽しめる贅沢な場です。
決まりごとも、よく考えると、実に合理的なことばかり・・。
でも、これを見て、お茶事に参加してみたいな・・と思われたあなた^^
・・・・・・「長時間の正座」がクリアできますか・・・? (^^;



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