2001.7月  はなのほろ酔い小部屋


ようこそ、はなの屋根裏へ
天窓からお星さまものぞいてます
少しの間、おしゃべり聞いてね

 

今日のおはなし・・・夢見る頃を過ぎても


「夢見る頃を過ぎても」というのは、
吉田秋生という人の書いたコミックスのタイトルですが、
ちょっとお借りしました(*^^*) 
今回は、寝苦しい夏の夜に、
ファンタジーは、いかが? というお話です。

子どもの頃、よく夏風邪や寝冷えをして熱を出し、
プールへ行く友達の声を聞きながら、
一人で、寝ていました・・・・・
うとうと寝ていると、熱のせいで、さまざまな夢を見ました。

現実と夢とが交錯する夏の午後のひとときは、
まさにファンタジーの世界の入り口に立っているような感覚に
見舞われたものです。
さて、そういった「非現実」に浸れる作品のいくつかを・・・・。
その1 <月の骨>東京創元社刊 創元推理文庫
ジョナサン・キャロル作 浅羽莢子訳

「<まさかり少年>は下の階に住んでた。」という
印象的な書き出しの小説です。
主人公カレンの幸せな現実生活と、
ペプシという名の息子と共に旅をする「夢の世界」
との不思議な交錯。
「日常」がいつのまにか「非日常」へ滑り込んでいく過程が
思わず「ウマイ!」と言ってしまいたくなる
私の大好きな作品です。
ジョナサン・キャロルのものはこの作品の他にも
いくつか訳出されていますが、
これを含めて、いくつかは、
「どこかで登場人物がつながっているシリーズ」になっています。
どれもちょっと読者を思わず「うそぉ〜!」と言わしめる展開の
ブラック・ファンタジー・・・・
お気に召した方は探してみてくださいね^^
そして、訳者・浅羽莢子さんのテンポの良い訳文も
私は大好きです!
海外ミステリものでも、内容問わず、「訳者・浅羽莢子」になっていたら
買って来たものもあるくらいです(^^ゞ
とにかく不思議な夢の話が大好きな人は、必見の一冊ですね! 

ジョナサン・キャロル関連HP

キャロルの公式サイトですが、全編、英語(!)なので、私はまだ
トップページより先に行った事がありません(^^;
でも他にも、検索すれば、根強いキャロルファンのサイトがたくさんでてきますよ♪
その2<陰陽師>白泉社刊 JETS COMICS
夢枕 獏・原作  岡野玲子著作

「ファンシィダンス」で 私を魅了した岡野玲子が
夢枕 獏の原作をコミックにした作品。
狐を母に持つと言われる陰陽師・「安倍晴明」を主人公に
平安の時代の魑魅魍魎・百鬼夜行を、
そのさらりとした絵と、独特の語り口で、見せてくれます。
原作者の夢枕 獏に「岡野は凄い!」と、うならせたと言うこの作品、
全12巻のうち、10巻まで発行されています。
晴明の相方(?)の源博雅が、また高貴な家柄に似ず(?)
朴訥な青年で、そのくせ、楽に秀でているというキャラで
晴明とのコンビが絶妙です^^
そして、菅原道真や祐姫といった怨霊や、
楽器なのに”生きたる者の様にぞある”「玄象」という琵琶など、
どことなく憎めないのも、岡野ワールドの不思議なところですね。
何度も繰りかえし読みたくなってしまうコミックスのひとつです!

岡野玲子関連HP

岡野玲子公式HPです。
陰陽師はじめ、他の作品の紹介、
岡野玲子本人のコメントなど、楽しめます^^
その3<伊平次とわらわ>潮出版社刊
坂田靖子著作

さて、お次は、言わずとしれた坂田ワールドです^^
どれを取り上げても、頭も心もホッとリラックスできる坂田作品ですが
最近のお気に入りはコレです。
墓場のはずれに住んでいる墓守・伊平次と、
「ゆえあってこのような姿をしておる」とのたまう
中納言の姫と名乗る犬のコンビネーションが最高!のお話です。
仕事柄(?)いろいろなモノが見えてしまって、
「おれは、こっち側にいるんだよ・・生きてんだから頼むよ」と
空を仰いでつぶやく伊平次ですが、
どうしてどうして、飄々と、こっち側もあっち側もコミコミで、
暮らしている様子^^
それがなんとも言えない味をかもし出します。
坂田靖子は、自分でも言っているとおり、
平安時代(らしい)設定が好きで、
これ以外にもたくさんの平安(らしい)物の作品があります。

坂田靖子関連HP

坂田靖子公式HPです。
「おまけ箱」には、フリー素材などもあって、
とっても楽しめるサイトです^^
最近、通勤路に図書館や本屋がないということもあって(これは、重要なポイントですよね!)
読書から遠ざかっている、私ですので、
あまり新しい作品には詳しくないのですが、
あといくつかの作品を・・・・

<トールキンの「指輪物語」>
これはもう、ファンタジーの王道ですね^^;
かなり以前に一度凝ったアニメで映画化されましたが、
2002年にはまた三部作で上映されるということで今から楽しみにしています♪

<酒見賢一の「後宮小説」>
中国の架空の王朝を舞台にした小説ですが、これを初めて読んだときにも
その緻密な文章に「仰天!!」という感じでした(^^;
これも以前にアニメになったことがありますが、かなり子供向きになっていて、
原作のそこはかとなく隠微な(?)雰囲気がなくなってしまったのが
ちょっと残念でした・・・。

その他、コミックスでは、佐藤史生(さとうしお)の作品やもちろん萩尾望都の作品が
私は好きです^^


さて、この夏、あなたも、夢とうつつのぎりぎりの境目で浮遊するように
ファンタジーに浸ってみませんか・・・・・・・・・?



戻る