2003.11月 はなのほろ酔い小部屋
今日のお話・・・レッドデータ?の町の職人さんのこと![]() いきなり、この写真は、何ですか?と思われたことでしょう。 これは、私の勤めている会社で作っている金属部品です。 あまり、普段、目にすることのない、 出来立てホヤホヤの、いわば「ネジ」の親戚のようなもの。 製品に組み込まれて、これ単独で人の目に触れることはまずありません。 けれども、この製品ができるまでには、 まず、金属の材料をあらかたの形に削りだし、 さらに完成形に近い形にし、 穴を明け、ネジを切り、 強度を高めるために焼入れをして、最後に錆びないようにメッキをし、という いくつもの工程を経ています。 そして、出来上がった製品には、 髪の毛一本の太さは、日本人で約0.08ミリと言われていますが、 それよりもまだ細かい単位で 精度を要求されることもあります。 そして、驚くべきことは、 いわゆる町工場の職人さんたちは、 その髪の毛一本より細いその単位を 経験と勘で、削りだしてしまえる人がいるのです! もちろん、彼らは、無形文化財でも何でもありません。 昔、私が子供のころ、 日本は「高度成長時代」と呼ばれ、重工業が盛んでした。 4大工業地帯だの、太平洋ベルト地帯だの、と地理の時間に習い、 日本の第二次産業は、右上がりにその業績を伸ばしていくものと思われていました。 けれど、時が流れ、今では、第二次産業からどんどん第三次産業へと 産業の中心は移りつつあるようです。 私には経済の難しい流れなどはわかりません。 でも、日本の高度成長期を支えたこうした町の職人さんたちが 不景気のいちばん皺寄せをかぶって、 必死で頑張っているのは、毎日のように見ています。 毎年、年末が近づくと「廃業のお知らせ」が何通か、会社に舞い込みます。 長年やってきたその仕事は、芸事ではなく、日本の伝統産業でもなく、 ただ、町工場でモノを作ってきた職人というだけ。 トキやニホンオオカミや或いは地域の生態系は、レッドデータ種として 保護され、人の関心を呼んでいますが、 長い年月、その仕事にだけ携わり、ほとんど名人芸のような仕事ができる、 そんな職人さんもまた、町のレッドデータだ・・と時々、私は思います・・・・ |