DLL(Dynamic Link Library)

前田稔(Maeda Minoru)の超初心者のプログラム入門

DLL の考察

1. DLL とは実行時に動的にリンクされるライブラリで、DLL こそが Windows System の骨格を構成するプログラム群なのです。
   Windows の System フォルダーを開いてみて下さい。DLL が山のように格納されています。
   DLL を開発しているのは Microsooft だけではありません。
   多くの Heavy User が様々なプログラムを開発して、誰もが自由に使えるように提供してくれています。
   DLL が使えるようになると、一挙に多くの協力者を得ることになり、何故か「とってもプログラムがうまくなった」ような気がします。 ＼(^o^)／
   所が最近では Win32 の頃に比べて DLL も複雑怪奇になり一筋縄では行きません。
   そこで改めて DLL に付いて考察することにしました。
   
   
2. DLL を複雑にしている原因には、次のことが関係します。
   
   • 「マネージドモードとアンマネージドモード(Win32)」が混在しています。
     Win32 では「関数を登録」するのが基本でしたが、マネージドでは「Class を登録」します。
     (どちらのモードを使っても、関数も Class も登録出来るようです。 ヽ(^^ ) )
     Class を登録した場合と、関数を登録した場合とでは、C# のプログラミング方法が異なります。
     また Win32 で作成した DLL は C# に直接組み込むことが出来ないので、マネージドモードでラップします。
     
   • マネージドモードでは、三種類の Object Class が存在します。
     
     • normal object class(Normal Mode)
       従来の C++ 仕様でプログラミングするモードです。
       「Class を登録」することも「関数を登録」することも可能です。
       このモードで作成した DLL は Win32 と同じ要領で呼び出します。
       
     • ref object class(Ref Mode)
       マネージドモードの標準的なモードで、C# から呼び出し易い形式です。
       Win32 をラップするとき、この形式を使うのが最良です。
       
     • value object class(Value Mode)
       ref Mode に準じるようですが、私は軽くテストしただけです。
       
   • マネージドモードの環境では、言語間で DLL を相互に利用することが可能です。
     (VB に関しては「お腹が一杯」で他のページに譲ります)
     
     • C++(Win32) の DLL
       昔ながらの Win32 で作成した DLL です。
       C++/CLI には組み込めますが、他の言語には直接組み込めないようです。
       
     • CLI(normal mode) の DLL
       従来の C++ 仕様でプログラミングするモードです。
       マネージドモードで「Classも関数も登録」することが出来る Mode です。
       
     • CLI(ref mode) の DLL
       マネージドモードの標準的なモードで、C# から呼び出し易い形式です。
       
     • CLI(value mode) の DLL
       ref Mode に準じるようですが、軽くテストしただけです。
       
     • C# の DLL
       「Class を登録」した DLL を C++/CLI から簡単に呼び出すことが出来ます。
       
     • VB の DLL
       VB に関しては「お腹が一杯」で他のページに譲ります。
       
   • 言語間で DLL を相互に利用するとなると、文字コードや string の扱いも問題です。
     文字セットは、原則的に「Unicode 文字セットを使用する」を使う事にします。
     string は C++/CLI と C# では互換性があるようです。
     C++/CLI で Unicode を使うときは、設定が必要です。
     
   • また「プラットフォームターゲット(G):」も関係してきます。
     プラットフォームターゲットとは「Any CPU, x86, x64」の選択です。
     コンパイルのモードと DLL のモードが一致しないと、実行時に次のエラーが表示されます。
     

     ファイルまたはアセンブリ 'Hello, Version=1.0.4506.15656, Culture=neutral, PublicKeyToken=null'、 またはその依存関係の 1 つが読み込めませんでした。 間違ったフォーマットのプログラムを読み込もうとしました。

     [プロジェクト(P)][Console のプロパティ(P)][ビルド][プラットホームターゲット(G)] から選択します。
     Any CPU では実行環境に合わせて、x86 では 32 ビットで、x64 では 64 ビットでコンパイルされます。
     
   • DLL 作成のとき「Visual Studio のプロジェクト」を使うか、「コマンドプロンプトから作成」するかも問題です。
     また DLL を組み込んで実行するときも同様です。
     コマンドプロンプトのとき、コンパイル＆リンク共に多くのスイッチ(パラメータ)があり、その使い方や組み合わせが問題です。
     私も Hello.dll で幾つかの組み合わせを試してみましたが、C++/CLI では OK でも C# から呼び出すことは出来ませんでした。
     
   
   
3. もう一つ厄介なのが DLL のウイルス対策です。
   自分のマシンで「開発・使用」している限りでは問題無いのですが、他人が作成した DLL を使うときは、インストール権限が必要です。
   リンカーは、アセンブリ マニフェストに公開キーを挿入し、秘密キーを使用して最後のアセンブリに署名します。
   詳細は /KEYFILE を参照して下さい。
   
   
4. マシンの構成やＶＣのバージョンによって操作方法の違いや、場合によっては動作しないことも考えられます。
   DLL は Windows7(32ビットモード) ＆ Visual Studio .NET2005 ＆ DirectX November2008 の組み合わせでテストします。
   また一部 Windows7(32ビットモード) ＆ Visual C++ 2010 Express ＆ DirectX June 2010 の組み合わせで動かします。
   .NET Framework のバージョンも関係してくるかも知れません。
   詳細は .NET Frameworkのバージョンを確認する方法 を参照して下さい。
   私のマシンを調べた所、次のように表示されました。
   

   .NET Framework 2.0 Service Pack 2 がインストール済みです 　日本語Language Pack（Service Pack 2）がインストール済みです .NET Framework 3.0 Service Pack 2 がインストール済みです 　日本語Language Pack（Service Pack 2）がインストール済みです .NET Framework 3.5 Service Pack 1 がインストール済みです 　日本語Language Pack（Service Pack 1）がインストール済みです .NET Framework 4 （フル版）がインストール済みです 　日本語Language Packがインストール済みです

   
   
5. 組み合わせが膨大で検証も大変ですが、徐々に進めて行きたいと思っています。 (^_^;)
   最初は最も分かり易い C# の DLL から勉強を始めて下さい。
   
   • Ｃ＃ Hello DLL
     "Ｃ＃ Hello DLL" を印字する Class を登録した DLL を作成します。
     
   • C# GcmLcm.dll
     GCM と LCM を計算する Class を登録した DLL を作成します。
     
   • こよみ DLL
     年月日を入力すると、曜日と経過日数を計算する Class を登録した DLL を提供します。
     
   
   
6. Win32 DLL を使ったプログラムは 超初心者のプログラム入門(Ｃ言語 Windows) 「DLL(Dynamic Link Library)」に掲載しています。
   また DLL を使った「じゃんけんバトルゲーム」や「オセロバトルゲーム」も掲載しています。
   

超初心者のプログラム入門(C/C++)