BMW M54 & S54



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BMWストレート6の魅力

それは既に言い尽くされた感があるが、高回転域におけるスムーズな吹け上がりと、演出された吸気サウンド
さらには高密度感のあるエンジン回転フィールにつきる。


ボア径から来るガサツさが隠せない4シリンダーや、高回転域で水平方向の慣性振動を起こす宿命を背負ったV6
または、ピックアップ性能を犠牲にしてでも高級感を追い求めるV8では得ることのできない官能空間。
それがBMWストレート6のエクスタシーである。

多くのメーカーが合理化、流用性、居住性を重視してV6へひた走る時代にあって、直6に固執し巨額の開発費を注いだBMW。
その理由は、 各シリンダーをクランク角120度ごとに点火させ、吸排気時間をすべてのシリンダーで同等に保つことによって
理論的にゼロ振動を可能にできるのは直6だけだからである。
その歴史は1970年代のM20系エンジンからから始まる。

そして、80年代には、主要パーツに鍛造部品を惜しみなく投入し ”シルキーシックス”という冠を得た。

ところがライバルを意識して実用性に傾いた90年代には、M52のアルミブロック化によって直6路線を再度宣言したものの
雑誌などでは 「カタログスペックだけでは語れない」 などと絶対値の低さを揶揄された時代もあった。

しかしその後、M54では、ダブルVANOSやMS43によるDME(Digital Motor Electronics)を世界に先駆けて採用し、
数値上でも名実ともに高性能エンジンを完成させた。
それが20世紀最後の年、2000年であった。

また、このころまでの車台は、まだスチールフレームが主流であり、
M54がE46・E39・E53などのシャーシと奏でるシンフォニーは類まれな官能的サウンドを生み出し
BMWの歴代ストレート6の中で、最もBMWらしい車を輩出したのである。

21世紀になっても、常に新技術を導入しつづけるBMWであるが
多くの車台がアルミ化してしまった今日、往年のビッグブロックを彷彿とさせる官能サンウンドは出せなくなったと感じている。
そんな世紀末の一瞬に実現した”M系スモールブロックの最終形:M54”とそれを搭載したモデルたち。

マグネシウム合金ブロックやバルブトロニック、直噴+ツインターボなど、新世代の技術が生み出す数値にはかなわない。
しかし、N54が N52で得た技術を捨ててアルミブロックに回帰し、84 X 89.6のボア&ストロークを採用した理由を考えると
M54の基本設計の普遍性が感じられる昨今である。

新車でM54を搭載する最後のモデル:E53(X5)がまもなく終焉を迎えるが

その価値を後世まで残すことを願ってやまない
(2006年12月現在)


Model Capacity Bore Stroke Output Torque Coments
226S 2171cc 80 X 72 170ps(125kW) 21.4kg(210Nm) 中期・後期のE46:320iなどに搭載されたM54の最小パッケージ。ショートストロークとコンロッドレシオの優位性で吹け上がりの軽さではシリーズ中、随一であるが 排気量のハンディからパワー不足は否めない。個人的にはこのエンジンにツインパラレルターボを付けて230psあたりにすればベストとも思われる。
256S 2493cc 84 X 75 192ps(141kW) 25.0kg(245Nm) 中期・後期E46、後期E39など多くのモデルに搭載された優等生。ボアピッチ91mmのスモールブロックにあって理想的なボア&ストロークを採用しレスポンスに優れ、吹け上がりもシャープそのもの。E46のシャーシにはベストチョイスであったと思われる。
306S 2979cc 84 X 89.6 231ps(170kW) 30.6kg(300Nm) 中期・後期E46、後期E39、後期Z3、E53(X5)など多くのモデルに搭載されたM54の大排気量版。ストロークの長さから軽快感は多少削がれるが、低回転域からフラットに湧き上がるトルクと、6000rpm以上でのパワーの伸びは珠玉の作品。尚且つバブルVANOSによって経済性をも実現させているところは名器たる所以であろう。E39、E53などにベストフィット。
326S4 3245cc 87 X 91 343ps(252kW) 37.2kg(365NM) 2007年1月現在、現M3、現Z4Mなどに搭載されるM54のチューンアップ版:S54。その使命より鋳鉄ブロックと吸気ファンネルが採用され、圧縮比は11.5。 隣のシリンダーとの間隔が4mmと限界に達したボア径と、91mmのロングストロークは無理矢理回している感もあるが、その速さは多くの実績が物語る。


226S 256S 306S 326S4


アルミ化されてしまったE60のエンジンフレーム



その他のエンジンの特性