【おまけ】
「友樹・・・これ・・・」
「―――なに?ペンダント・・・?」
「ほんまは誕生日に渡す予定やってんけど間に合わんかって・・・」
「おれに・・・?」
「他にだれがおるねん。おまえに決まっとるやろ?ほらっ!」
「これ・・・シルバーだよね?それにここに彫ってある記号みたいなの・・・なに?」
「それな、『守護梵字』っていうらしいわ。生まれた年の干支で決まるらしいねんけど」
「梵字ってあの仏教の?」
「よう知ってるな~」
「雑誌でそういうデザインのものが流行ってるって見たことあるから」
「それ、手彫りやぞ?もちろんおれが丹精込めて彫ったんやけどな。ええ仕事してるやろ?」
「えっ、あんたが?そんな趣味あったんだ」
「いや・・・友樹が誤解したあの従兄弟がな、趣味でやってるねんけど、それが高じてネットで作品売ったりしとるねん。結構評判らしくてな。それでおれも友樹にプレゼントしたくなって、レクチャー受けとってん。思ったよりも難しくて時間かかったけど・・・スタバで会ってたんはその交渉やってん。まさか友樹にあんな誤解受けるとは思わんかったけど」
「―――ごめん・・・」
「でも、よう考えたらあれってヤキモチ妬いてくれたんやもんな、喜ぶべきことか!」
「も、もういいって!忘れろって!そうやって揶揄うから―――」
「まあまあ。とにかく・・・身につけてくれたらうれしい・・・その梵字はな、『キリーク』て読むらしい」
「キリーク?」
「特に苦難厄難から守ってくれるんやて。一種のお守りやな」
「―――ありがとう・・・大事にする・・・」
「なんかさ、シルバーって何だかんだと世話焼けるやん?放っといたら黒ずんできたり。せやけど、どんどんなじんでくるねんな。かまえばかまうぼどに。なんか友樹みたいで、おれ好きやねんな~」
「・・・それって、褒めてるの?」
「当たり前やん。磨けば磨くほど味が出て・・・友樹みたいっていうか、おれらの関係もそんな風になったらええなって。ほんまはプラチナものとかも考えてんで?でもシルバーに落ち着いた・・・」
「うん・・・おれもシルバー好きだから・・・」
「来年はもうちょい凝った細工ができるように―――」
「いいよ。これ一個で十分」
「でも、やっぱり雑いし」
「いいの!それにさ・・・」
「ん?」
「・・・あの従弟さんかわいいし・・・親戚だって聞いてもおれ・・・ヤなんだ、信用してないわけじゃないけど・・・」
「友樹ぃ~~~!」
「もうっ、家の前でベタベタするなって!こんなとこリカに見られたら―――」
「見~ちゃった!」
「リ、リカッ!」
「やっぱナマは違うもんだね~うん、なかなか似合ってるよおにいちゃんたち。でもリカはやっぱり優さんたちが好きだけど」
「今は負けてるかしれんけど、今に見ときや、あいつら以上にらぶらぶなったるしな」
「だからっ、離せって!」
「さっきい頑張ってね。お兄ちゃんオク手だからさ」
「おう、まかしとき。ほなな、リカちん。ほなな、友樹っ♥♥♡♥♥」
「―――さっきいやるじゃん?ベロチューナマで見ちゃった!・・・お兄ちゃん・・・?お兄ちゃ~ん?」
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