Are you happy?


そのさん





おれは、速攻自室に戻った。



おれ、どうすればいい?全部脱いでベッドで待ってるのか?それとも・・・・・・



おれは、初めて抱かれるバージン女のように悩んだ。こんなことは初めてなんだ!いつだって、おれが優を誘い、ここに連れてくるか、先に優がベッドに入っているかなんだ。
どうも調子が狂う。何か、枕元にいろいろ用意したりしている自分がおかしい。
ベッドに腰かけていると、ガチャッとドアが開き、優が入ってきてそこでまた驚いた!
優は、パジャマの上着しか着ていなかったから!パンツははいていたけど。
まあ、どうせ、脱ぐんだから・・・それにしても、色っぽすぎるぞ!
優は、腰かけるおれの膝をまたいで、おれの膝にすわり、腕を首にまわしてきた。



「先輩・・・キスして・・・・・・?」



風呂で上気した赤く染まった頬が、少し潤んだ瞳が、身体から漂う石鹸の香りが、おれの理性を奪った。



「何度だってしてやる・・・」



狂ったようにくちびるを貪る。身体を入れ替えて、ベッドに優を押し倒し、上からのしかかった。
ひとしきり、くちびるを味わい、一旦離すと、息を荒げながら、優が次へと誘う。
「先輩・・・して・・・?早くぅ・・・・・・」
愛する人に甘えた声でねだられ、理性を保てるオトコがいれば、おれはお目にかかりたい。
「優・・・今日の優、積極的だね・・・どうした?」
「こんなぼくは、嫌いですか?」
下から、おれの瞳を真っ直ぐ見つめる。
「おれが優を嫌うわけないじゃん。おれは、どんな優だって大好きだ・・・」
その言葉に安心したのだろうか?
「じゃあ、ぼくをキモチよくしてくれる?いっぱいいっぱい愛して、キモチよくしてくれる・・・?」



優・・・おまえが悪いんだぞ?おまえが誘ったんだぞ?傷つけるつもりはないけど・・・覚悟しろよ?



「ああ、優・・・最高にキモチよくしてあげるよ?感じさせてあげる・・・だから優も素直になれよ?」
おれは、再び、くちびるを重ね、優のパジャマのボタンに手をかけた。
今日のおれは、抑えが効かない。優の感じる場所を執拗に責め続ける。
そして、今日の優は、いつもより大胆に反応した。

くちびるを胸に這わせると、待っていたかのように、背中を反らせ、胸を突き出す。
それに気をよくしたおれは、舌で感じるところを突いてやった。
「・・・んっ、あああっ・・・・」
素直に声をあげる。いつもなら、恥ずかしくて、くちびるを噛んで、我慢しているだろうに。
胸からくちびるを移動させようとすると、「やだっ!もっと・・・」とねだる。
「優はほんとに、ココをさわられるのが好きなんだな・・・」
今度は、指と舌の両方で、愛撫してやった。
「ああぁ・・・っア・・・」
身をよじり、おれの頭を押さえつけ、その快感を伝えようとする。
手を下半身にのばすと、すでに先走りの滴で濡れていた。
おれは、自分の下半身を優のソレに擦りつけた。



今さらながらに思う。おれは、優に何もされなくても、優のキモチよさそうな声を聞いているだけで、イッてしまいそうになる。
今まで、何回か、身体を重ねたけれど、優の手がおれ自身にふれたことはない。

優も、おれの愛撫に翻弄され、そこまで出来ないでいるが、おれは優にふれてもらわなくてもいいとさえ思っている。
おれも、いろんな本で勉強したが、みな、好きな人にさわってもらえてうれしいと言う。だが、おれはそうは思っちゃいない。
おれが、優にさわれて、優をキモチよくさせて、感じさせて、それでいいのだ。

もちろん、最後は、優の中でイカせてもらうのだが・・・・・
「せんぱ・・・もう・・・・・・」
優が解放を促した。おれは、身体を移動し、優自身に手をのばした。
「せんぱい・・・イキたい・・・・・・」



おおっ!そんなにしてほしいのか!待ってろ優!



おれの意気込みを尻目に、2.・3回扱くと、「ああっ」と声を上げ、おれの手の中ではじけた。
身体全体で息をする優の顔を見ようと、身体を離そうとするおれを、優は離さなかった。



「今度は、先輩がほしい・・・な?」



そうかそうか!いくらだってやるよ!



「優、今度はおれを感じるんだよ?」



優の白濁で濡れた指を、後孔に這わせた。
違和感に腰をくねらせる。しかし、その違和感がいつしか快感にかわるのだ。
イイところを指が擦るたびに声をあげ、おれの指を締めつける。自然と脚が開かれる。
それだけで、おれ自身も容量を増していく。
指を増やしながらも、優のイイ声を聞きたいから、おれはソコを攻め続けた。



「先輩・・・指じゃなくて・・・挿れて・・・?」



おいおい!優、挿れてくれだなんて!いつもなら絶対に言いそうにない言葉だ。



「優、じゃあ挿れるからね」



目いっぱい脚を開かせ、腰を進めた。



「・・・・んん・・・・あぁ・・・・」



眉根を寄せる優の顔が扇情的で、おれをますます駆り立てるが、優に痛い思いはさせたくない。
ゆっくり、静かに、慣れるのを待つ。



「先輩・・・もう・・大丈夫・・・動いて・・・?」
「動くよ・・・?」
おれは、ゆっくり腰を使った。
「ああ・・・はっ・・・」
その声に煽られ、動きを少し早めた。
「アアっ!」
イイところにあたったのか、ひときわ大きな声と同時に、ギュッと締めつけられ持っていかれそうになる。
「優、ココ感じる?」
ソコを突くように、抜き差しを繰り返す。
「あっ、ソコっ、イイっ、ああっ、」
おれの動きに合わせて、もれるいやらしい声。
「優、もっと聞かせて?もっとおれに伝えて?」
「もっと・・・ソコ・・・して?アッ、もっと!ソコっ!イイっ!」
優が、もっとと言っている!ソコがいいと主張している!これに答えなきゃオトコがすたる!
おれは、さらに激しく突きたてた。
「あっ・・・イイ・・・せんぱ・・・キモチい・・・んんっ」
甘い声にそろそろおれも限界だ。優の勃ちあがったモノを扱きはじめた。
前と後ろのポイントを攻められ、優はさらに喘ぎ声を高める。
「あぁっ・・・もう・・・せんぱ・・イク・・・・あああっ」
優は、再びおれの手の中に吐精し、それと同時に締めつけられたおれも、優のなかに吐き出した。
ふたりの荒げた吐息だけが、部屋に響いている。
おれは、優の身体の上から、横に移動した。
「先輩・・・すごいキモチよかった・・・先輩は?」
「おれも・・・すごい感じた。優の中は、とろとろで熱くて、キモチいい」



ん?これって、いつもと逆の会話のような気が・・・やはり、優のペースなのか?



いつもの優なら、終わったあとは、恥ずかしそうに、おれの胸に擦り寄って・・・・・・
優が舌を絡めてくる。おれの口腔を舐めまわす。



何?もう一回したいのか?
いつもなら・・・



はっと気がついた。





おれ・・・ずっと、ふたりの優を比べてる・・・・・・





舌を絡められながら、懐かしくなった。
おれが舌を差し入れると、恥ずかしそうに、遠慮気味におれにふれる優。
おれの愛撫に、感じながらも恥ずかしそうにくちびるを噛む優。
キモチいいと素直に言えず、やだとかやめてと言いながらも一生懸命それを伝えようとする優。
終わったあと、決まったように感想を聞くおれに、照れながらも正直に答える優。
そして。
何度も何度も、「好き」「大好き」を繰りかえし、おれに幸せをくれる優。





でも。





今日は、一度も言わなかったよな・・・?





「もっと」とか「ソコがいい」とか、いつもおれが優に言わせたい言葉を、自分から積極的に発したくせに。
今日の優は、おれが、望んでいた行為をしてくれた。
なのに、「大好き」と言ってもらえなかっただけで、どうしてこんなに心にぽっかり穴が空いたようになるんだろう?
性欲は満たされたはずなのに!





おれも、今日は優に「愛してる」と言ってないな・・・・・・





おれは、優から、くちびるを離した。
「せんぱい・・・?」
優を抱きしめ、髪をなでながら言った。
「優・・・もういいから・・・ゆっくり休め・・・・・・」








「―――んぱい?」



身体を揺すられて、ぱちっと目が覚めた。目が覚めたってことは・・・・・・
がばっと起き上がる。ここは・・・リビングじゃんか!
「先輩、起こしてしまってごめんなさい。風邪引いちゃうから・・・」
「―――おれ・・・」
「ぼくが、ぐずぐずろうそくを探してたから・・・待たせちゃって・・・・・・」
そうだ!優がケーキを取りに行って、おれ、それを待ってて・・・
「優、ケーキは?」
「――先輩があまりに気持ちよさそうに眠ってるから、明日でいいかと冷蔵庫にしまいました」
時計を見ると、もう0時をまわっている。今からケーキも食べられないか・・・
「優、悪い。せっかく作ってくれたのに・・・」
「いいです!くさるものじゃないし・・・明日食べましょうね?」
にこっと笑う優を引き寄せ、抱きしめた。
「せ、せんぱいっ」
抱きしめるだけで、びくっと身体を震わす優。
「ホンモノだ・・・おれはやっぱこっちがいい・・・・・・」
どっちも優なんだけど・・・どんな優も大好きだって言ったけど・・・・・・
「ホンモノって・・・なんですか?」
その質問に答えず、顔を上げた優のくちびるをふさいだ。
「・・・・・・さっきの続きですか・・・?なら、部屋で―――」
「優、明日学校だろ?」
そうだ、残念ながら、明日は普通に学校があるのだ。
「だけど・・・今日は先輩のお誕生日だから・・・一回くらいなら大丈夫です・・・」
恥ずかしいのだろう。おれの胸に頬を摺り寄せた。
おれだって、さっきまではそう思っていた。夜は長いなんて思っていた。



だけど・・・



あんな夢を見て、なんだか優に申しわけなくて・・・
誕生日だから、おれの好きにしていいという優。だったらおれの好きにさせてもらおう。
「えっちは週末にできるから。だから、今日は優と一緒に眠りたいな?抱きあって、手をつないで・・・」
優はおれを見上げ、くすっと笑った。
「それじゃ、ぼくが抱きしめてあげますよ。先輩が眠るまで・・・」
ああ!ほんとうに優はかわいい!もう絶対絶対離さない!





おれは、優に何も望まない。望まなくても、たくさんのものをくれるから。
その分、おれも優にたくさんのものをあげたい。優が望まなくても。





優は、おれの髪をかきあげ、左耳を飾るピアスにキスをした。
「これを選ぶ時、とっても迷ったんです。だから、もし先輩が、ずっとそばにいていいと思ってくれるなら、毎年、違うピアスをプレゼントしたいな?」
優・・・それは、ずっとおれのそばにいてもいいってことだよな?
おれは、お返しに、優の頬にキスをした。
「当たり前だろ?これから、おれの誕生日を祝ってくれるのは、優・・・おまえだけだ。優以外、いらない」
「ぼくだって、先輩以外いらない・・・」

優がおれをぎゅっと抱きしめる。そのぬくもりをずっと感じていたいが、続きは部屋に移動してからにしよう。優は明日学校があるのだから、おれの胸の中で、安らかに眠らせてやろう。
「優、素敵な誕生日をありがとう。来年の優の誕生日、楽しみにしておけよ?」
「期待しています」
「優・・・愛してる。今も、これからも、ずっと・・・」
さっき言えなかったことを、心を込めて口にする。
「ぼくも・・・先輩が大好きです。今も、これからも、ずっと・・・」
もう日付が変わってしまったけれど、忘れられない誕生日になりそうだ。
人生の幕を下ろすまで、おれは優と何回誕生日を迎えることができるだろうか・・・?
優はおれにいくつピアスをくれるだろうか?
やっと二十歳になったばかりなのに、そんなことを考えるのはおかしいか・・・・・・
来年の優の誕生日も、素敵なものにしないとな・・・今からとても楽しみだ。



                                                  おしまい




                                                                       










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