こんな鳥

サザナミインコは、普段あまり大きな声では鳴きません。ブーブー、プイプイと、静かに呟いていることが多いです。しかし、姿の見えない仲間を確認するときや、縄張りを主張するとき、危険を知らせるときなどには、結構大きな声を出します。声自体が小さいわけではなく、出そうと思えば出せる鳥です。

サザナミインコの普段の動作で、あまり激しい動きは見られません。同サイズの中型インコたちに見るような俊敏さとは、一味違った動きを見せてくれます。イメージはスローロリスに似ています。エサの食べ方も、一粒一粒をもぐもぐとよく潰して食べます。鳥が水を飲むとき、一度口に含んだ水は、頭をやや高めに持ち上げ、喉を伸ばして流し込むようにして飲みます。サザナミインコは水に口を付けて、そのままペロペロ舐めるようにした後、ごにょごにょと口を動かして飲みます。水を食べる、という表現が似合います。
また水をよく飲みます。喉が渇くのか、エサを流し込んでいるのか、その辺は分かりませんが、他のインコに比べて水っぽい便をします。軟便で、九官鳥の便とよく似ています。

移動は、カゴの端から端へ飛び回ることはなく、枝の上を二本の足で、わし、わし、と掴むようにしながら、枝と平行に歩きます。サザナミインコの前傾姿勢は、細い枝の上でも起用に歩き、更に小走りだってできてしまいます。たまに枝から落っこちてしまうこともありますが、それでもヨチヨチとよく歩きます。体全体の筋肉は、他のインコに比べやや柔らかいような印象を受けますが、モモの筋肉は分厚くなっています。上手に(?)歩ける体で空も飛べる鳥とは、なかなかオールグラウンドにできています。

しかしながら、この子たちは飛ぶのが下手だと言われています。私もその通りだと思います。胴体の割には翼の広がりが小さくこじんまりとしていて、長距離を長く飛行するには向いてないように思えます。しかしその羽軸は太くしっかりしており、一旦飛びだすととても力強く羽ばたきます。そのためか、カゴの中では翼のコントロールがしにくいようで、目標とする着地点が小さいとうまく止まれないようです。カゴ内で突発的に翼を使うと、突撃するようにぶつかってしまうことがあります。翼の微調整が苦手なのも、歩く方に力を入れた鳥ならではかもしれません。

サザナミがひどく警戒すると、飛び回らずに硬直したように動かなくなって、じっと相手を見据えます。このとき緊張がピークに達すると、いきなりパニックを起こしたように暴れだし、ぶつかりまくります。十分に驚いた後は、またそろりそろりと行動を開始します。行動全部がのそのそとしたイメージでのんびりと見えても、感覚は繊細で臆病な鳥だと思います。

サザナミインコは、主に木の葉に囲まれた生活をしていると言われます。
我が家のサザナミインコも、太陽が煌々とした場所より、木陰ほどの明るさの場所を好んでいます。へたに日向へ出してしまうと、体をピンと立て、胸を張った体勢をとって、少々しんどそうに息をします。日向ぼっこをさせるときは、必ず影になる部分が必要だと思います。暑すぎても寒すぎても弱ってしまう鳥です。
我が家では、新聞紙にたっぷり水を含ませ、カゴの半分が日陰になるように上へ被せます。新聞紙が風に飛ばされにくく、保湿も兼ねています。真夏には、フン切り網の下のトレーを洗って、薄く水を張ってやる場合もあります。
またサザナミインコは、何かと身を隠せるような場所を探そうとします。うまく表現できないのですが、それは、体全部がすっぽりはまってしまうような所ほどでもなく、何か物陰に隠れるような、自分を目立たなくさせる程度の場所があれば安心するようです。

サザナミインコたちは、ペアはもちろん、親子、兄弟、友達、みんなで仲良く過ごします。たまにケンカもしますが、相手にキズを負わすほど激しいものはまだ見たことがありません。オスどうしで固めても、平和にコミュニケーションをとります。非常に寂しがりやで、一羽で飼っているとスズメやヒヨドリの遠鳴きにも頻繁に反応します。群れを探すときの声は、高すぎず低すぎずの、とてもよく通る音を力一杯出します。さほど大きな体ではないのに、よくここまで音を出せるものだと感心します。それなのに、仲間といるときの声は小さく囁き程度しか聞かれません。普段のサザナミインコたちは、おとなしく優しい性格なのだろうと思わずにはいられません。群れを構成するのに、ずい分適した性質であると思っています。







カゴの中でのサザナミインコを観察。
エサの食べ方、水の飲み方、些細な動きにもそれっぽさが見られます。
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