フランス・ストラスブール市のトラム
A1989年のストラスブール市長選挙は、街の公共交通計画のあり方を問う選挙となった。地下鉄による交通体系を掲げる相手候補に対し、トロットマン女史は、トラム導入を公約に掲げ、選挙戦に勝利した。
B市長に就任したトロットマン女史は、早速、1990年、車の排ガス対策として、市内50km/h、都心部30km/hの速度規制を行った。また、車の都心部通り抜けを禁止し、ループを設けて用のない車の乗り入れを阻止した。
実施日の早朝には、自ら現場に出向き、交通規制の陣頭指揮をとった。一方、公共交通機関を利用する団体を作り、トラム実現のために力を注いだ。
C1992年、最初のトラム路線の工事に着手した。工事に際しては、歩行者空間の拡張を行うとともに、市民が工事現場を見学できるよう工夫し、住民参加の建設を進めた。
また、トラムの建設費は、地下鉄建設費の1/3程度ですむため、その分、建設路線を3倍に伸ばすことができた。
D1994年、トラム路線(A線)の一部が開通した。これに合わせ、郊外には、パークアンドライドの有料駐車場を設置するとともに、都心部では、駐車場の建設を規制した。
トラムの本格運行は翌1995年から始まり、この時にバス路線の見直しも行った。
F1998年、トラムの第2期工事(B線)に着手し、2000年に開通した。2001年〜2002年には、トラム路線を更に延長するための協議会が設けられた。
Gトラムの運営は、ストラスブール交通会社(CTS)に委託している。しかし、運賃は利用しやすいよう単一料金としているため、料金収入の3倍くらいの運営費用がかかる。
そのため、都市共同体CUS(Communaute Urbaine de Strasbourg)からの補助と、交通税(企業に課せられる地方税)や一般税からの補助も行っている。
Aシンポジウム「サスティナブル・シティをめざして−持続可能性と地域再生」
日時:2003年2月22日(土)13:00〜17:00
場所:朝日生命ホール
主催:朝日新聞・朝日21関西スクエア
パネリスト:北川 正恭(三重県知事)、権並 清(滋賀県愛東町長)、木原 勝彬(NPO政策研究所理事長)、カトリーヌ・トロットマン
コーディネーター:植田 和弘(京都大学大学院教授)
なお、このシンポジウムの模様は、2003年3月2日の朝日新聞に掲載。