第1回 「愛知万博ドイツ館・BIONISについて」

日時:2005年4月23日(土)15:00〜16:30
場所:兵庫学校厚生会館
講師:愛知万博ドイツ館館長 インカ・ピットシャイト(Inka Pittscheidt)
通訳:柳原初樹(NPO法人神戸日独協会専務理事・甲南大学助教授)

(1)第1回は、3月25日に開幕した愛知万博のドイツ館長インカ・ピットシャイト女史(Inka Pittscheidt)の講演である。ドイツ連邦経済省は、ドイツ館の企画運営をケルンメッセ社(Koelnmesse GmbH)に委託しており、会社のホームページでグループリーダー(Gruppenleiterin)と紹介されている彼女は、これまで、世界各国で、海外見本市の開催を担当してきたそうだ。
(2)さて、残念ながら、私は、まだ愛知万博には行っていないが、ピットシャイト女史によれば、ドイツ館は、ビオニス(BIONIS:バイオロジーとテクニックを合わせた造語)をテーマに、自然と技術の共生のあり方、言い換えれば、自然の叡智をいかに技術に応用し、自然から何を学ぶことができるのか、そのような精神で、Made in Germanyのハイテクや環境技術を紹介している。
また、単に知識を展示するだけでなく、若い人達も楽しめるようエンターテイメントにも力を入れ、水滴の形をした乗り物ドロップ(定員6名)が全長300mの軌道上を走行し、映像を通してビオニスを紹介している。途中、リリエンタール(Otto Lilienthal)のグライダーの紹介や、ノイシュヴァンシュタイン城、ケルン大聖堂、第三エネルギーとして注目されている風力発電など、ドイツ各地の風景も現れる。これらの映像は、ベルリンの有名なバーベルスベルグスタジオ(STUDIO BABELSBERG)で作られたそうだ。
(3)ビオニスの事例としては、サメの皮膚構造を流体工学から水着に応用した技術、蓮の葉の自主浄化作用を建物表面の汚れ防止に応用したナノテクノロジー技術、フクロウが獲物を獲る能力を応用した音響カメラの技術、コウモリが持つ超音波の認知能力を応用した技術、猛禽類の滑らかな滑空を飛行機に応用した技術、短い翼のガチョウの飛行を飛行機に応用した技術、生物の骨の構造を自動車の設計に応用した技術など、様々な事例が紹介されているそうだ。
(4)ところで、今回の愛知万博では、ドイツ館とフランス館が同じ建物の中にあり、両国が、政治的にも経済的にも親密な関係にあることをアピールしている。それを表すかのように、ドイツのケラー大統領とフランスのシラク大統領が、互いに相手国のパビリオンを訪問し、両国のナショナルデーも、ドイツが4月13日、フランスが翌14日と、連続して開催された。
(5)講演の最後に、参加者全員に、ドイツ館のピンバッジのプレゼントがあった。ドイツ館の待ち時間は1時間程度だそうだが、会期中に、ぜひ行ってみたいパビリオンである。