(8) フィルムネガのデジタル化

チャップリンになって
 1週間ほど要し、フィルムネガのデジタル化を終わらせました。写真の色あせは仕方がありません。まあ、元の35㎜フィルムの劣化に対しては応急処置(?)ができたと考えていいのでしょう。問題点はいろいろありました。
 当方では、1996年(H08/11/04)にCAMEDIA(OLYMPUS 1.8型液晶モニタ付)を購入(※)していますので、フィルムの量は少ないと思えます。しかし、ぶつ切りのもので1本(6コマ)のフィルムで5枚として、フィルム223本分、合計1,115回ほど同じ操作を繰り返したことになります(まるでチャップリンの映画のようです)。ネガフィルム自体はこれまでに年月日順に整理していました。この単純な作業、フィルムをスキャンする毎に、子供の成長・自分の老けてゆく姿、悲喜こもごも、その当時に思いを馳せること、何度もありました。
(※)世界初のデジカメの登場は1975年(昭和50)です。イーストマン・コダック社が製造しました(10,000画素数)。スティーブ・サッソンは入社わずか2年、若干24才の開発でした。他に同年、「Cromemco Cyclops」があるようです。しかし、発売は1990年のDycam社「Dycam Model 1」が初めてのようです。日本では1991年、製品として富士フィルムから「フジックスメモリーカード カメラDS-100」が発売されました。たぶんこれが日本初製品だろうと。よく知られるのは、1995年5月、カシオの「QV-10」です。液晶パネルを搭載し、撮影画像をその場で確認できることが受け入れられました。

一度断念、再起して
 フィルムスキャナ自体(ケンコー KFS-900 CMOSセンサー912万画素)は2011年11月に購入したものです。当初、これはという大事なものを選択し、スキャンしパソコンに保存し、ファイルの名前を変更しと、手の込んだことしていました。後で見ると裏からスキャンしたもので、年月日が逆、もちろん原画も左右が逆になっていることに気が付きました(押しボタン操作で変更可能でした)。それ以来すっかりご無沙汰になってしまいました。スキャナ自体が古くなることも心配していました。
 今回は、裏表に注意し、好みのもの選択せず、ほぼ全部スキャンしました(1枚の写真が約1,750KBのファイルになりました)。「根気が勝負」と、こればかり取り組んで1週間かかりました。1986年から1997年までのおよそ11年間分をスキャンしたことになります。デジカメ購入が1996年8月ですから、この年月を過ぎるとデジカメ利用が多く、フィルムが極端に減少します。ただどうも記憶の片隅に、あのシーン・このシーンがないと気になります。それがビデオにあったりします。『何とビデオの整理もまだだったんだ』
 スキャンと同時進行で、パソコンに年月日のフォルダを作り、そこへ写真ファイルを放り込んでいきます(段取りが悪く、後で、年月日フォルダ名を「年月日+行事」の名前に変更、更に1週間要しました)。

不手際限りなし
 スキャンしていると、色々と自分の不手際が思い浮かびます。ネガフィルムが散逸して足らない、ネガフィルムの紙袋に年月日・場所が入っていない、スキャナに裏表・上下反転機能があったことなど。また、スキャンする毎に、フィルムをスライドホルダーにはさむのですが、フィルムの「歪み」が気になり出します。フィルムの上下の四角い穴に収まるように、ホルダーの上下に連続したポチポチが付いているのですが、フィルムの「伸び縮み」で、ホルダーの小窓部分で凹凸ができるのです。このため若干焦点がずれるようで、スキャンした画像に「ボケ」が発生するようです。途中、スキャナの買い換えも検討しましたが「伸び縮み」に対応したものはないだろうということで、続行。最後までやってしまいました。スキャンした画像は色落ちもあり、「ボケ」もあり、まったく残念な結果です。(写真上は6コマ用、下は4個用のホルダー 35mmフィルムとはネガの幅をいっているようです)
 これかやる方は、富士通やエプソン辺りから多数のコマを一度にスキャンできるものが出ています。これを購入するとよいでしょう。また、ネガを取り出しその本体に向けて、デジカメで写真を撮り、これをパソコンソフトで修正するというのもあります。ネガの背後を白地にする必要があり邪魔くさい部分がありますね。

生きた証や
 苦労して何に使うの! 写真の整理で、すぐに引き出し見られるようにするのです。数十年間の写真をすぐに見られるのは、あまり「有り難く思えない」部分もあるようです。重く分厚い写真帳を、どこからともなく出してくるところに「有り難さ」を感じるのでしょう。収めた所を忘れてしまっては有り難くありませんが。子供らが数十年間の成長記録、写真ファイルを見てどのように感じるのか。そのところは彼らに任せます。まあ、深く考えず自己満足のためにやっているのでよろしいかと。自分が生きてきた証(あかし)としてでもよいでしょう。
 その他、当方ではWebサイトに貼り付けるなどの利用法があります。この点、後でもう少し詳しくあげてみます。

容量不足は杞憂に
 これまで、1996年から写真ファイルを保存してきました。ファイルの数が多くなるので保存に困るのではと考えたこともあります。職場と自宅で共通のノートパソコンを使用していると、圧縮をかけたり、パスワードを用いたりして保存していました。ノートが起動しなくなり、パスワード不明となり数ヶ月分の写真ファイルを失ったこともあります。それ以来、パスワードをかけるのは止め、あっちこっちに写真ファイルを保存しています。どれが最新の保存状況のものか、わからなくなったりします。しかし、当初の容量不足の心配は、ストレージが進歩を遂げ、杞憂となりました。フィルム240本分は(フィルム240本×24コマ×2000KB=11,520,000KB≒11,5GB)12GBもあれば十分です。

 [写真1枚 ファイルの大きさの記録]
 ・デジカメ写真1枚
  CAMEDIA C-800L 81万画素     → 50~181KB   1996年ごろ
  CAMEDIA C-900 ZOOM 134万画素 → 185~385KB  1998年ごろ
  CAMEDIA C-3030 ZOOM 334万画素 → 430~560KB  2000年ごろ
  Cyber-shot DSC-WX1 1000万画素 → 950~1310KB 2007年ごろ
  iPhone 7  1,200万画素      → 2400~4,400KB 現在
 ・フィルムをスキャン 写真1枚
  ケンコー KFS-900 でスキャン  → 1,750~1,850KB
 ※デジカメには画質(低画質、高画質)を切り替えるものあり、C-3030 からは高画質でほぼ撮っている。すべてjpgファイル1つの値です。

映像の画素とは
 初期のデジカメとiPhone 7を比較しますと、1枚の写真ファイルで181KBと4,500KBとで、約25倍の記憶容量の差となります。 しかし画素数について、上記の81万画素はCMOSセンサーの値、134万画素は有効総画素数とか、iPhone 7では「 6枚構成のレンズで1,200万画素」とかいい、イマイチよくわかりません。
 一方、モニタの画素は、液晶のRed赤、Green緑、Blue青の光る点からなり、三つのまとまりを「1ピクセル」という。このRGBそれぞれの点の諧調(色の濃淡)が256通りあり、この三つ混合ですべての色(256×256×256≒1.6×107通りの色)が表示できる。このまとまりが「画素」でありピクセルである。我々にとってRGBの三つの光点が近すぎて識別できず色づいて見える。
 いま仮に、上記の81,134,1000,1200万画素というものが、同じ基準で示されたものであるとし、これをパソコンの表示面積で考えると、モニタで写真の画素数と表示面積は比例することになります。
 これはテレビの画素も同じです。画素の大きさを小さくすることは技術的にも限界があるので、テレビの総画素が拡大を続けると、これに比例してテレビ画面が大きくなります。そのため美しい映像の、4K、8Kテレビは大きなテレビになります。

 次に、「写真ファイル大きさ」と「モニタでの表示面積の大きさ」を考えます。

(1)81万画素と1200万画素の数字を使う
 81画素とは81ピクセルで、1,200画素なら1,200ピクセルである。81画素の縦横が9ピクセルであれば、1,200画素の縦横は35ピクセルである(35×35=1,225)。35÷9=3.88 つまり一辺の長さが3.9倍になる。
(2)181KBと4400KBの数字を使う
 ファイルの大きさと表示面積は、「比例するだろう」として、
 181は13.5×13.5(=182.25)、4400は66.5×66.5(=4422.25)で、66.5÷13.5=4.925 つまり一辺の長さが4.9倍になる。

 以上(1)(2)から、初期のデジカメとiPhone7 を比較して、表示面積が格段に大きくなることはいえるが、数値(3.9倍や4.9倍)は妥当とは言い切れない(白黒のBMPファイルならいい切れるが)。保存ファイルの大きさ(KBで示す)は圧縮されているから、画像の大きさとの比較で単純に言い切れるものでない((1),(2)は何のための議論か。いや正直、縦横の一辺が10倍ぐらいと思っていました。圧縮が絡んでいます)。

ファイルの圧縮とは
 次に、圧縮とはどういうものか、1例を示します。
画像が黒白9個からなる画像(画像の大きさは同じ)がある。これが縦横それぞれ白「0」と黒「1」の信号からなることを考える。これに圧縮をかけるとどうなるか示す。

   ①縦横3個の点(画像) 9 ーーー 全部「0」
                  1列目    000
                  2列目    000
                  3列目    000
   ②縦横3個の点(画像) 9 ーーー 4個が「1」で残り5個が「0」
                  1列目    010
                  2列目    101
                  3列目    010
 これをCPUが処理する場合、データは直線的に処理される。つまり、1列目2列目3列目の順に、
 ①は『000000000』で、これを圧縮すると『全部0』です、という報告になる。
 ②では『010101010』で、これは圧縮できない。報告では『010101010』となる。
 9個という情報量でありながら、①の場合はファイルが小さくなった。同じ情報量であってもファイルの大きさが違うということです(言い換えれば、同じ100KBのファイルでも、圧縮が絡むとモニタで表示される面積が違うということです)。

 実際の写真画像では、同色の部分が大きく占めると、ファイルの大きさは小さくなる。①②同じ圧縮をかけたが①ではその効果が現れたわけです。同じiPhone 7 で写真を撮っても、ファイルの大きさ(2,400KB~4,400KB)がまばらであるのは、以上の理由のためである。

 ところで、Webサイトで用いる写真ファイルの大きさは、どれほどがよいでしょうか。写真ファイルをHTMLファイルへの埋め込みでは、ファイル全体が大きくならないように、またWebサイトでは鮮明な画質はいらないから、圧縮ファイルの「jpg(ジェーペグ)」や「gif(ジフ)」で、50KBぐらいであるように思えます。