糸により構成される物としては、大きく分けて3種類があります。 「織物」「編物」「組物」です。「織物」は、経糸、緯糸から構成されていて、「編物」はループ ( 注1 )の連続から構成されています。そして、「組物」は、 基本的に経糸のみで作られています。したがって、髪の毛にする「三つ編み」は、 正確には「三つ組」が正しいと言えます。
現在、組紐というと一般的に帯締めや羽織紐に代表されていますが、
昔から帯締めに使われる為にあったのでなく、古くは御経の巻き物の紐や袈裟の紐、
また、お公卿さんの衣装や武士の装束などに多く使われ、特に刀の下げ緒や、
甲冑、弓具、馬具などの武具に多く用いられてきました。
しかし、文明開化の花が咲き始めた明治維新に至って、武家社会が崩壊をしたために
それまで多く使われていたこれら武家社会の紐が、時代の移り変わりにともなって、
新しく帯締め、羽織紐として人々に広く使われるようになりました。
組紐の歴史について簡単な年表を書いてみたので参考にして下さい。
時代 | 代表的な組み方 | 主な組紐の使われ方 |
---|---|---|
縄文時代 | 動物などの皮を裂いて紐状にした物や、 木のツルなどを利用した撚り紐のような物であったと思われる。 | 土器の模様、石器などの結合、食料の結合、他。 |
古墳時代 | 埴輪の紐の部分に色が付いていたのを見ると、すでに紐に染色してあったと思われる。 | 埴輪に見られるように衣装や、武具の一部、 また鏡などの青銅器の装飾として。 |
奈良時代 | 大陸の影響が大きく残っていた。 4つ組、8つ組、笹波組、他。 |
武具、被服、宗教用具、楽器、他。 |
平安時代 | 日本独自の技術が出来上がり、ほぼ現代と同じ組があったと思われる。 | 宗教用具、被服用、他。 |
鎌倉時代 | 武家社会の到来により、強く丈夫な紐が組まれる。 | 武具として多く使用。 |
室町時代 |
日本的な色合いで組まれる事が多くなる。 | 茶道具の装飾として。 |
江戸時代 | 手動式機械の内記台が発明される。 | 商人、庶民が使用する紐。 |
明治以降 | 水力、電力で動く機械が導入され手組みが後退する。 | 軍隊で使用。また、現在の一般的な使い方である帯締めとして。 |
組紐を作る為の作業には次のような工程があります。
1.染色
化学染料や、草木染めで糸を染めます。
2.糸繰り
3.糸合わせ
組む紐の太さや玉数に合わせ、小枠に取った糸何本かを一つにまとめていきます。
4.撚り掛け
合わした糸を八丁 ( はっちょう ) という回転する機械によって撚りを掛けます。
5.経尺
「へいじゃく」と読みます。撚りを掛けた糸を、
帯締め一本分の長さ( 組むと短くなるのでその分考慮して。)にそろえます。
( ぼかし染め、締切り染めは経尺をした後に染色をします。)
6.玉付け
玉( おもり )に経尺した糸を巻きつけ組台にセットします。玉数が多いものは時間がかかります。
7.組み
いろいろな組台で、紐を組みます。
写真は三角台で 「五つ組」 を組んでいるところ。
8.房付け
紐の端を少しほどき、房を付けます。この時同色の糸をたして房を豪華に見せます。
9.ゆのし
房の部分は、ほどいたままだとシワがあるので、水蒸気を当ててシワを伸ばします。
10.仕上げ
商標等のレッテル、品質表示、それに、
房の部分にセロハンを巻いて形を整えます。
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![]() 1−4へ (代表的な手組み組台) |