第4回 マジェスティック

★★★★

 

また★4つかよ〜と思うかもしれませんが、ロードオブザリングよりはこちらのほうが好み上ですね
ただ、人に勧めるときに同じ感性で見る人は少ないだろうと思うとこうなってしまいますね。
以下は結構ネタバレが入りますので、まっさらにしてみたい人は読まないほうが賢明です。

ストーリーは、記憶を失ったハリウッドのB級脚本家が、戦死した青年と間違われて・・・というストーリー
舞台は「古き良き」アメリカの1950年代という設定ですね。

何が良かったって戦死した青年の父で、ジムキャリー演じるピートを息子と信じ喜ぶハリートリンブル役の
マーティンランドーでしょう!このおじいちゃんを見るだけでも2000円くらいの価値あるでしょうね。
非常に愚直に、純粋に、そして優しさと愛情に満ちたおそらく脚本以上にすばらしい演技だったと思います。
ジムキャリー、完全に喰われてしまってましたね(笑)ま、それはキャリアの差ということで・・・

映画全体が何と2.5時間あるそうです。実際そんな長さを全く感じないのですが。とにかく淡々と進んでいきます
そしてラストに少し盛り上がりがあって、最後はハッピーエンドです(あ、すいません言ってしまいました)
同じフランクダラボン監督作品の「グリーンマイル」では超自然的な超能力がでてきますが、このお話では
そういったファンタジックな要素は出てきません。ゆえに人間がそのままなせるワザで結末を迎えます。
非常に感動的なのですがやはりインパクトにかけてしまいます。それがこの映画の「なんかイマイチ」といわれてる
理由だと思うんですね。。。でも、この映画はそうでないとダメなんですよね。

この映画の舞台は「古き良き」アメリカの50年代、映画の中でも映画が出てきて、当時の名作(??)が出てきます
この監督自身が相当50年代の映画に思い入れがあるらしく、グリーンマイルでも、最後のほうで「映画が見たい」
ということで、白黒の映画を看守が囚人に見せて、それでものすごく涙を誘うシーンがありましたよね。あれも
50年代の「古き良き」映画が出されてました。本当に好きなんだなぁと思えますよね。
今回のこの「マジェスティック」もその「古き良き」50年代の映画そのものを作りたかったのだと思うんですよね。

映画の序盤でマーティンランドーが「映画とは??」を語るシーンがあります。私はそのシーンでかなり感動しました
映画館には役者という「神々」がいて、そのエンターテイメントに人々は足を運び感動する・・・・・テレビにはない
そのファクターが映画がすばらしい所以だ。みたいな感じのこと。それが監督のまず伝えたいことなんでしょうね。
そしてそれを忠実に具現化しているのが50年代の「古き良き」映画でありそのときの「神々」だったのでしょう。
だから敢えて監督も脚本も劇的な要素を排除し、「古き良き」映画つくりを徹底したのがこの映画なんですね。
事実この主人公のイメージもジェイムススチュワートだそうですしね。

映画の序盤でピートの初めての脚本の映画が上映されるシーンがあります。その映画が後にピートの記憶を
呼び覚ますきっかけになるので、そう意味ではかなりキーになるんですが。それだけではないと思うんですね。
その映画はヒロインが悪い異教徒に襲われてかっこいい主人公が苦戦しながら親玉を倒す。といういかにも
なお話なんですね。ただ、これがこの映画そのものの形を現していると思うんです。「映画とはこうあるべきだ」みたいな。

その映画の途中で映写室で倒れるマーティンランドーが死の寸前にジムキャリーに問い掛けた言葉は
「あの映画の結末はどうなった?」

「善玉が勝つよ」

「そうか、映画はやっぱりそうじゃなきゃダメだ」

これもダラボンのこの映画の「古き良き」結末を暗示する形だと思うんですよね。

この「マジェスティック」の結末もピートの書いた映画の結末も同じハッピーエンド、逆にピートの脚本にあれやこれやと
劇的な要素をつけたがる顔の見えないハリウッドのスタッフが最初と最後のシーンで出てくるのですが
あれは、おそらく現代の映画界への警鐘だと思うんですね。

「そんな馬鹿馬鹿しいことばっかりやってると、本当の感動が見えなくなっちまうぞ!これを見てみろ!!」

的なメッセージが込められているような気がしてなりません。。。。。

この映画を見て「あっさりしすぎてるなぁ」とか「なんかお決まりのパターンだなぁ」と思った人がいたとしたら
もしかしたらこの辟易するような案を提示して感動している「顔の見えないハリウッドスタッフ」と同じ感覚になりつつある
のかもしれませんね。。。

これからスターウォーズエピソード2やMIB2などなどの注目作も出てきます
あるいは最近はダンサーインザダークやJSAみたいに「なぜだ〜〜〜〜〜〜!!!!」みたいな終わり方の映画も多いですが
それらを見た後にでもビデオで見ていただければ少しすっきりできると思います。

あ、最後になんですが、この映画のタイトルにもなっている「MAJESTIC」なんですが、町の映画館の名前なんですね
ただ、それを日本語訳をされた方が「威風堂々」と訳されてたんです。これも映画館自体が「威風堂々」としたものであり
この映画も「威風堂々」と観客に小細工なしで見せる映画だというニュアンスを込めて(感じて??)のものなのかな?
と思ったりもしました。

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