鉄コン筋クリート


先日、本屋で真っ赤な装丁の「鉄コン筋クリートAll in One」なるタイトルをみつけて、にやり。

小学生に上がるころには、鉄筋コンクリート造の5階建て共同住宅に住んでいた。今ではRC造と呼んでいるが、当時、通称テッコンキンクリート。音の響きから、鉄筋コンクリートそのものでもあり、何の違和感ももっていなかった。

見つけた本はマンガ。作者は松本大洋。



松本大洋は映画「ピンポン」をみて、その原作者ということを知ったが、原作は読んでいない。でもその画風は知っていた。独特の画風には好き嫌いがあるだろうが、荒削りのタッチの中に、なんとなく大友克洋を思わせる緻密さが入り交じった不思議な世界だ。

本屋では、ビニールカバーで覆われていて中味が確認できない。立ち読み防止のためにマンガ本をビニールで覆うのはいったいどこの本屋が始めたのだろう。すっかりそこらじゅうに定着してしまって、普段マンガを読まない者が、中味を確認して買うということが出来なくなってしまった。これではインターネットで買物するのと変わらない。むしろインターネットでは中味をある程度みることができるうようになってきた。漫画本はどうか知らないが。

でもタイトルと作者に惹かれて、買ってしまった。

暴力が横行するどろどろとした世界で、生き抜こうとする少年たちには、何か「コインロッカーベイビーズ」(内容はすっかり忘れてしまった)を思い出せる。しかし、やっぱり「ピンポン」の原作者なんだと思う。シロとクロの関係は、スマイルとペコにも通じている(ただし「ピンポン」は原作を読んでない)。

守っていると思っていた者が、実は見守られていたほうだった。なおかつそれは表裏一体を成す。

哀愁があっていい。粋がっていても、人はすべて一人では生きていけないわけで、誰かに見守られていたいのだろうか。


日 - 12 月 24, 2006   11:07 午前