三大ファンタジー


10月のはじめ、ゲド戦記を古本で揃えた。6巻セットで6000円。第一巻『影との戦い』以外は図書館で借りて読んだのだが、はやり手元に置いておきたい名作だ。大人にとってはもう少し扱いやすい小型の新版がでているが、とくに子どもたちのためにも挿絵の入ったハードカバー版がほしかった。その独特の挿絵とともにゲド戦記の世界観があると思うからだ。

結局、第一巻を重複して所有することになったが、それでもその購入価格を含めても新品でそろえるより安かったので、良しとする。ところがまだ読み返していない。というのも、その少しあとに『指輪物語』新約文庫版を9巻セットも古本屋で買ったからだ。1500円だった。

『指輪物語』もハードカバー版が欲しかったが、ブームが去ったせいか、店頭にはもうセットでは並んでいない。あったとしても、いくら古本とはいえハードカバー版なら1500円では1冊か、せいぜい2冊しか買えないだろう。まだ読んでいない指輪物語の世界に浸るには、まずこのくらいの投資して、あとからハードカバーで揃えても惜しくないと思った。

これで、わが家にもようやく三大ファンタジーが全部揃った。

おっと、wikipediaによれば、三大ファンタジーというのは日本だけの独自用法らしい。『指輪物語』と『ナルニア国ものがたり』が傑作ファンタジーの双璧で、3つめはというと、『はてしない物語』でも『ハリーポッター』でも『ゲド戦記』でもいいらしい。たしかに岩波書店のサイトでは『ゲド戦記』を傑作ファンタジーと称しているだけだ。三大ファンタジーとは称していないものの、『ゲド戦記』を『指輪物語』『ナルニア国ものがたり』とならび称されるファンタジー文学の傑作としているのはジブリのサイトだっだ。まんまと騙されていたわけだ。

しかし、それにしても、うちにはまだ『はてしない物語』がない。『モモ』も欲しい。

『ハリーポッター』は面白いけど、世界三大ファンタジーと言われると?な気がする。主人公周辺であまりにも多くの人が死にすぎるからだ。

それはさておき、私が小学生高学年の頃、『坊ちゃん』『我が輩は猫である』などを読んだことがある。偕成社の少年少女版ハードカバー(赤いカバー)を親父が買ってくれたが、坊ちゃんも猫もあまりおもしろく読み進められなかった記憶がある。何度も冒頭から読み直しては数ページで挫折した。おかけで、猫も坊ちゃんも冒頭を覚えた。たぶん、ちゃんとまともに最後まで読んだのは中学生以降だ。

あのころ、『指輪物語』や『ナルニア国ものがたり』に出会いたかった。もっとも私の周辺でもこれらのファンタジーにふれていた友人はいなかった。せいぜいルパン、ホームズ、少年探偵団、トムソーヤだった。

というわけで、子どものためと言いながら、半分以上自分が読みたいために買ったようなもんだ。


火 - 10 月 24, 2006   02:56 午前