ネットでテレビ番組をみたい


普段テレビを観ない生活になっているので、北京オリンピックは結局ほどんと観なかった。それでも気になる競技の映像は観たいと思うので、ネットで映像を探してみたが、IOCは日本向けには競技映像を配信していなかった。ネットでの公式映像はNHKのニュース映像くらいしか見つからなかった。放映権の問題で国ごとに対応が異なるようだ。

このネット時代にテレビでしかオリンピックを観ることができないのは、アマチュアスポーツ精神に反するのではないか。(他の国ではネットで配信してたようだ)

IOCが映像の放映権をネタに商売するなら、ネットでは個人を対象として有償配信して商売してもいいのではないだろうか。デジタルハイビジョンの映像をそのままネットでリアルタイム配信できるわけではないので、テレビの映像と差別化は可能だ。画質や音質は悪くてもネットで「観たい」という人は多いに違いない。

動画再生や保存方式の普及に関しては、画質ではなくて利便性と経済性が大きな要因を占めている。古くはビデオテープのβとVHSに象徴される。近年ではYouTubeの成功がそれを物語っている。iTunesストアによる動画配信は、iPodによる再生を基準(低画質)にしていても売れている。

膨大な競技数をすべてテレビで放映するのは無理だろうが、ネット配信なら可能だろう。費用をかけずに画質を落として、たとえばWebカメラの映像でもいいから配信してほしい。配信サーバーの負荷の課題は残るけど、ネットではリアルタイム配信を限定すればなんとかなりそうな気もする。

いっぽう、テレビの利点はなんといっても生放送だ。競技の様子をリアルタイムで伝えてくれるところにある。高校野球もオリンピックも、テレビを就けっぱなしにしていると、その場にいる雰囲気が自宅に再現される。集中して観ててもいいし、ながら仕事をしててもいい。いずれにしても現場にいる人たちと同時間に同じ体験を共有できるという満足感がある。

しかし普段、日中に仕事をしている人が北京オリンピックの映像を観るのは、帰宅後、夜7時頃からのオリンピック特番やニュース番組しかない。テレビしかない人はそれを見逃すとオリンピックの映像を観たくても観れない。だから予約録画しておいてあとから観るのが普通だろう。

昔のビデオテープ時代とちがって、最近のハードディスクレコーダーでは番組録画が終了していなくても後追い再生ができるので、帰宅後にすぐはじめから観ることができる。これはほぼリアルタイムでテレビを観ていることに近い。

録音し終わった番組を後から再生して観る場合、リアルタイム性には欠けるが、放映時間に関係なく、好きな時間に観ることができる。ニュースで軽く結果だけみたあとに競技を見直すということもできる。競技結果を先に知ったあとで観るのは興醒めだが、それはニュースを見ないなど、ある程度自分で制御できる問題だ。もちろん映画やドラマなどニュース性のない番組は、録画のほうが落ち着いて鑑賞できるメリットがある。そこで気に入った映像は、ついネットにおいて公開したくなる。著作権の問題を抜きにすると、これは自然な成り行きだ。

だから、ネットに映像をおくということは、個人で録画した映像の保管場所が共用のサーバーにあるということ。

話題性の高いテレビ映像はすぐにYouTubeにアップされている。

もちろん著作権許諾は得ていない映像は、すぐに削除される。しかし、見逃した映像を観たいという人は多いようで、削除されるまでのアクセス数だけでも膨大だったりする。違法コピーがアップされるたび著作権者は削除依頼をだし、アップされては削除を繰り返すいたちごっこが続いている。

そんなYouTubeのメリットに気づいたのか、ユニバーサルレコードは新作プロモーションビデオ(PV)をYouTubeで公式配信することにしたそうだ。自社のサイトでのみ閲覧できるようにしているより、閲覧数は伸びるだろうし、YouTubeに配信を移管したほうがサーバー負荷も減る。YouTubeで配信しているPVは解像度や音声品質を低くしているので、音楽や映像が気にったら正規購入するだろう。その傾向はiTunesでの音楽や映像の有料配信が受け入れられていることからも明らかだろう。

ちなみにNHKはYouTubeの映像を削除するのに躍起になっている。いろいろ問題はあるのはわかるが、NHK自身は頻繁に再放送を繰り返している.。古い番組ではなくて、最近の番組をすぐ再放送する。こんなに再放送ばかりで番組編成している放送局は他にないのではないか。それに古い番組は、NHKアーカイブスで閲覧できる。ネットでもそれらを実現してもおかしくないような気がする。

CATVなどの有線放送局がインターネット事業を展開しているんだから、その逆、つまり従来のテレビ局もネットで映像配信しても、そろそろいいのではないかと思う。モリエモンは、そこんとこに風穴開けたかったんだと思うけど、既得権の壁は厚かったということなんだろう。


土 - 8 月 30, 2008   04:50 午後