ミルク寒天(牛乳羹)


今年は水無月を自分でつくって食べようと思っていたのだが、ういろのような餅の部分の作り方がよくわからない。レシピを調べていたら、小麦粉(薄力粉)だけだったり、上新粉や白玉粉をまぜたり、くず粉を混ぜたり…

米粉でもちもち感、くず粉で透明感をだすのだろうとおもいつつも、小麦粉だけでつくってみようか、などと思案しているうちに6月も晦日をすぎ、水無月を食べる時期を逸してしまった。(あとでわかったが、外郎(ういろう)生地は和菓子の基本のひとつのようだ)

ふと、キッチンで目についた寒天パウダー。ミルク寒天にあんこをのっけてやると、水無月っぽくないか?

さっそくミルク寒天をつくる。沸騰しかけたミルクに寒天粉を入れてよくかき混ぜていると、すぐに吹きこぼれてしまった。あわてて火を細めて、2分くらいかき混ぜる。その後、砂糖を加えて、よくかき混ぜる。たったそれだけ。

子どもの頃、母がよく牛乳寒をつくってくれた。寒天パウダーなどなかった時代、端で見ていても角寒天を溶かすのが一苦労だったように思える。それにくらべると、超ラクチン料理。

容器にいれて粗熱をとってから、冷蔵庫で冷やす。甘納豆(ほとんど粒あん)が半分くらい沈むように固まりきる前にのせようとおもっていたのに、気づいたときにはもう固まりきっていた。その上にできそこないの甘納豆をのせてみたが、とても水無月には見えない。

ところがミルク寒天が結構やわらくておいしかった。以前、水ようかんをつくったとき(失敗したけど)の水と同じ量のミルクを使ったが、あきらかにミルク寒天のほうがやわらくて口当たりがいい。対して水だけで溶いた水ようかんのほうは、ごりごりした食感だった。同じ寒天粉の量なのに牛乳をつかったほうがやわらかく仕上がる。

淡雪羹みたい。とは、ママの評。

後日、柔らかめのミルク寒天に、粒あんをのせてみると、なかなか見栄えもよくておいしい。

ところで、水無月は、もともと宮中でこの時期(夏越しの祓え)に献上された氷を食べていたのを真似て、氷が手に入らない庶民が、氷に見立てた外郎生地に小豆のあんをのせて、無病息災を願った食べ物。

(小豆あんをのせたのは、もともと小豆が厄よけの食べ物として重宝されていたことにもよるのだろう。小豆のあんこは、単に甘いというだけでなくて、小豆に含まれるタンパク質とか鉄分とかが身体に良いという医食同源にもとづいている。)

だから、水無月を食べるより、粒あんをのせたかき氷のほうが本来の「夏越の祓」に近いではないか。

というわけで、かき氷の上にミルク寒天と粒あんをのせて、練乳とグリーンティー粉末をかけて、宇治金時水無月風。

お手軽な夏の自家製冷菓。


水 - 7 月 30, 2008   12:21 午前