原子力って何?午後からずっと外で遊んでいた晃志が夕食前に帰宅して、いきなり質問してきた。「原爆ってどうやって爆発するん?」
晃志は昔、ノーベルの伝記(マンガ)を読んで「この本、アルフレッドしか出てこえへん。」といって、皆を笑わせたことがある。ノーベルのフルネームは、アルフレッド・ノーベルだったのだ。
ノーベルがダイナマイトの発明者であることを知っている晃志に、逆に聞いてみた。「ダイナマイトはどうして爆発するん?」 この質問は、数分間に亮佑が質問してきたのとほぼ同じ内容だった。 亮佑は、火をつけた線香でロウソクのロウを溶かそうとしたら消えてしまったので、 「線香の火は、炎がないけど、燃えているのか」と聞いてきた。 「炎がなくても発熱して酸化するのが燃焼といえる。炎がでるのは十分な酸素が供給されて燃焼反応が激しくなって温度が上がったとき。燃焼反応が急激に進行するのが爆発。」(本当かどうか怪しいが…)と説明していると、 「火薬はどうして衝撃を与えると爆発するのか?」ときいてきたのだ。 「そういえば、運動会のピストルも衝撃によって爆発するなあ」と誤魔化したものの、火薬が衝撃によって爆発するのがなぜなのかわからなかった。 「わからん」と匙を投げたところに、晃志が帰ってきて、原爆の爆発のしくみを聞いてきたというわけだ。 ダイナマイトが爆発するしくみは、ちょっと脇へおいておいて、原子爆弾の仕組みが、核分裂エネルギーににあることを説明しはじめた。 物質はすべて元素から成り立っているということを「鋼の錬金術師」の錬金術を例にして説明。錬金術とは、金属元素のなかでもっとも錆にくい金を他の元素からつくりだそうとした試みと説明すると、なぜか納得。 その元素を構成するのが原子核と電子。もっとも軽い元素である水素は、プラスの電荷をもった陽子が原子核で、その周りをマイナス電荷をもった電子が回っている。陽子の質量が圧倒的に重く電子はほとんど質量がない。その次に軽いヘリウムは水素の4倍の重さがあるが、電子は2つ、陽子も2つ。ただし、陽子はプラス同士なので反発しあう。それをくっつける役割を果たすのが、陽子とほぼ同じ重さで電荷をもたない中性子。万有引力の法則で、重たいもの同士がくっつくという性質で、陽子と中性子がそれぞれ2つずつしっかりとくっついている。 と説明していると、晃志はもうどこかに消えていた。 かわって、いっしょに聞いてた亮佑が 「万有引力の法則では、どうして地上の物質同士がくっつかへんの? たとえば、この水筒にこの消しゴムがくっつかないのはなんで?」と聞いてきた。 「それは地球の引力が圧倒的に大きいいのに対して、物質間の引力が小さすぎるから。」 「なら、どうして原子核はくっつくん?」 「ミクロの世界ではニュートン力学では説明できないことが起こっているから」(といいながら、本当かどうか怪しくなってきたパパ)。 「原子核の万有引力の話はニュートン力学の話ではないのか?」 「それは分かりやすく説明するためのたとえ話で、実際にはニュートン力学の世界ではなくて、量子力学という世界の話。こないだノーベル賞を受賞したのはそれを理論的に予測した理論物理学と呼ばれるもの。その理論は長い間かけて実験を続けて実証されてきたので、その理論が評価されたということ。実験には高速加速器という長大な実験装置を使っている。」とかなんとか… 疑問が疑問を生み、パパの知識は追いつかない。 「量子力学は、電場、磁場、重力場を統一的に説明しようとする試み(ほんま?)で、電場と磁場の関係についてはマックスウェルの波動方程式があり、電磁波である光には粒子の性格があるというアインシュタインの理論と発展していった。ちなみに光より速いモノは存在しないというのが今の科学理論。」とかなんとか、 結局、核分裂によるエネルギー放出を利用したのが核爆弾ということは説明しきれなかった。 ところで、先日ノーベル賞を受賞した南部陽一郎は、私が大学受験のころ(約30年前)の物理の問題集(Z会)の量子力学のまとめに、朝永振一郎ととももに名前が出ていたと記憶している。(追記:記憶違い。南部陽一郎ではなくて長岡半太郎) 高校の授業では習っていないことが載っていたので興味深い問題集(=参考書)だった。いま手元にその本がないので確かめようがないが、なんとなく野暮ったい字面の名前に愛着を感じながら、量子力学の最先端を切り開いていく日本の理論物理学者はすごいなあと感心していたような気もする。いまではすっかりそんなこと忘れてしまっている。 081021追記: Z会の物理問題集に名前が出てた日本人の件。なんだかしっくりこないので、やっぱり記憶違いではないかとおもって、けんめいに記憶をたどっていると、原子構造を説明したページに「長岡」姓の人が出ていたようにおもう。「素粒子」と「長岡」で検索して、「長岡半太郎」を突き止めて、記憶違いを確信。 |
リンク
カレンダ
カテゴリ
ツイッター
最新コメント
アーカイブ
XML/RSS Feed
カウンタ
エントリ数
Total entries in this blog:
Total entries in this category: Published On: 1 月 24, 2010 01:09 午後 |