掃除機考1(日本製サイクロン式掃除機のウソ)


家電製品は、壊れるときには連鎖反応のように次々と壊れていくという。わが家の家電製品は、それほど連鎖反応はなかったが、結婚(もしくは転居)の時に購入したもので買い替えたものは、冷蔵庫と掃除機と炊飯器。いずれも火急を要する家事必需品で、買替えに当たっては熟考する余裕はなかった。

そしてまた、掃除機を買い替えることにした。掃除機は実は2台目だが、一台目がまるっきりダメになったわけではなく、ホースの破れを補修して今もまだ地下室用に使っている。ところが、その2台目もホースがやぶれて、これまで何度も補修してきた。厄介なのは、ホースには電線が仕込んであるのだ。破れた部分を切り取って配線し直すのを繰り返してきたが、ついにホースが短くなってきた。それに、ヘッド部分もボロボロに割れていて、よくもまあこんな状態で掃除ができるものだというほど痛々しい姿なのだ。

というわけで、今度こそ下調べを十分にしてから買い替えたい。といっても、内心ダイソンの掃除機が欲しいのだが、手がでないので、その代替機をどう見定めるかというところ。

この掃除機(三洋の97年製)を買ったときはまだ日本にはサイクロン式掃除機はなかった。ダイソンの掃除機を知ったのは、この掃除機を買ったあとだった(と思う)。たしかデザイン関係のサイトで見たのが初めて。掃除機の性能よりも、家電製品とは思えない機械的なデザインと配色に驚いた。紫色だったようにも思う(写真はDC05)。そして、掃除機の機能としても、サイクロン式という画期的なアイデアは魅力的だった。吸い取ってビンに溜まったゴミが丸見えで、紙パックを使わずにそのまま捨てることができる。さらに掃除機らしからぬ高い価格設定。Dyson DC05


もちろん、当時の日本製掃除機よりよくゴミを吸い取るというのが売りだったが、こんなに高い掃除機が売れるのかと思った。あれからほぼ10年。あれよあれよという間にダイソン信仰が確立していった。今では大手電気店の店頭にも並んでいる。

はたして、日本の家電メーカーも競ってサイクロン式掃除機を投入してきた。今や掃除機は、紙パック式とサイクロン式に大別されるようになった。

さて、ダイソンか日本製か、日本製ならどのメーカーが良いのか。とにかく掃除機を買い替えるために今どきの掃除機を価格.comでチェック。無理してダイソンを買わずに、2万円程度の紙パック式掃除機で、その場をしのぐほうが得策か、とおもって調べてみると、サイクロン式掃除機には1万円台のものもあるではないか。

そもそも、サイクロン式掃除機とは何だ?

ダイソンの掃除機は、紙パックを使わずにダストボックスに吸引したゴミを溜め込んで、ゴミ捨ては蓋を開けてポイ。掃除機のなかで竜巻のような回転気流(サイクロン)をつくりだしてゴミを遠心分離(?)するので、空気の流れを妨げない、つまり吸引力が落ちないという代物だ。最近のCMでは唯一吸引力が落ちない掃除機と宣伝している。

ところが、日本製のサイクロン式掃除機というのをみてみると、どうも従来の紙パック式掃除機に対して、紙パックの代わりにダストボックスに直接ゴミを溜めてそのまま捨てることができるタイプのことを言うらしい。気流を分離させて大きなゴミはダストボックスで、微細粉塵はフィルターで受けるというのもあるが、気流はサイクロンではない。

なかにはサイクロン式と紙パック式と両方備えた機種もある。機構的にありえないと思うが、要は恒常的にダストボックスを使うか、紙パックにして使い捨てるかの違いだけだ。それって、時代に逆行しているではないか? 

空気はそのダストボックスをゴミといっしょに通過するので、当然排気は紙パック式と変わることがない。

これは、ダイソンの掃除機がダストボックスに吸い取ったゴミをそのまま簡単に捨てることができるという一面のみを捉えて、そこだけ真似ただけに思える。それをもってサイクロン式としているのは、用語の使い方としてウソではないか?

恥ずかしいかな日本の家電メーカー。消費者を騙してないか?

売らんがために表面的なことだけを真似して、しかも名前まで似せている。戦後、欧米に追いつけ追い越せと高度成長を遂げてきた時代の節操のなさと同じものを感じる。

かろうじてダイソンのような回転気流をつかってゴミを遠心分別しているのは、シャープ製だけだった。もっともダイソンはゴミを分離する方法に特許を持っているので、他のメーカーは同じ機構を採用できないのだが、それでもシャープは独自にサイクロンでゴミを遠心分離する機構を考え出した。

しかし、どんな仕組みであれ、掃除機としてきちんと機能するのならば、別にダイソンでなくてもいい。

そもそも、掃除機の性能は何を比較すべきか?

つづく


金 - 5 月 2, 2008   05:57 午前