平等院と源氏物語ミュージアム(その2:宇治平等院)


源氏物語千年紀の今年、宇治市源氏物語ミュージアムと平等院に家族で行ってきた。はずかしながらこの歳になって平等院は初めてだった。気候がよいこの時期は、ゆっくりぶらぶらと散策するのもいい。家を出るのが遅かったので、宇治に着いたのは1時頃だった。

さっそくお昼を食べたいところ。

「どこで食べるん?」と晃志。
「橋を渡ったところに食べるところがあるんちゃううか」
「それって弁慶?」
「???」
「まえ、清水寺行ったときに食べた、おそば屋さんやん」

そういえば、あのときは五条橋の東詰のそば屋に入った。NHKの大河ドラマで義経をやっていたときだから、もうずいぶん前のことだ。店の屋号まで覚えているとはたいしたものだ。よっぽど印象深かったのだろう。地理的条件が、東山と鴨川と五条大橋を思い出させたのかもしれない。宇治橋を渡りながら、京都の観光名所は山と川と橋がセットになっていることを感じる。とくに宇治は、五条というより、嵐山に似ている。

宇治橋を渡りきったら、そこはもう平等院の表参道入口。そこでNHKラジオが生放送番組の街頭インタビューをしていた。事前に口頭でアンケートに応えて、その内容によってはそのまま番組に生出演できるかもしれない、という触れ込みだった。他の観光客がアンケートに応えてるのを横目でみながら、紫式部像の前で記念写真。

うどんかそばか丼ご飯ものが食べたかった。前調べをして来なかったので、美味そうな店はないものかと見渡して、もっと先に行ってみようとしたが、子どもたちはどうしてもすぐ近くにあるに店に目がいってしまうようだ。結局甘党の店で、茶そば定食を食べた。そばはそば屋で喰いたかった。食べたあと、参道を行くと、美味そうなそば屋は他にあった。残念。

平等院の前までくると、拝観チケットを買い求める長蛇の列。整理していた係員に他の客がどのくらいかかるのかと尋ねていた。5分もするとひけます、という。妙な答え方だった。ひけますというのは、行列がなくなるという意味だろう。係員からすると、混雑している状態は5分くらいでなくなるという経験があったのだろうか。たまたま行列が長いときに出くわしたようだ。しかし係員のいうとおり、5分くらいで山門をくぐることができた。

入場券を買い求める時、ママが大人2枚、中学生1枚、小学生1枚というと、言い終えると同時に売り場の人は即座に1900円だと答えていた。最近、暗算が遅くなったので、こんなことでも感動してしまう。

藤棚の前で記念写真。今年は花のつきがよくなかったらしい。

鳳凰堂を正面にみるべくして池の周りを順路にそって歩いていると、NHKラジオの取材班がこんなところにもいた。それをやりすごして正面にでると、あとからゆっくり歩いていたママと子どもたちは、しっかりとインタビューされていた。こういのが大好きなのはママ。あとで聞くと、源氏物語を読んだことがあるかどうか、その感想ということだったらしい。おもしろい話が聞けたら、その場でラジオ出演となったハズだが、スタップの興味を引く回答はできなかったようだ。

正面に見る鳳凰堂。その場に立って、一昨年、学生がビデオコンテスト応募作品として作成した「10円玉がくれた時間」を思い出す。

鳳凰堂の中に入るには別途拝観料が必要だが、いま発券しているのは90分あとのチケットというから、今回は見合わせた。

ゆっくりと池の周りをまわって、鳳翔堂に向う。それはRC造の博物館だった。丘陵部分に半地下に埋め込まれた幅2.5メートルほどのトンネルのような入口を入ると、十数メートル奥の天井が高くなっていてトップライトの光が落ちてきている。ずっと以前、学生に感動した建築空間を述べよといったときに、平等院と答えた学生がいた。どんなところが良かったかとさらに聞くと、細く暗い廊下の向こうにトップライトの光が射しているのがよかったといった。平等院の鳳凰堂のこととばかり思っていたが、鳳翔堂の入口部分の廊下のことだったのだ。

このミュージアムは良く出来ていた。順路にしたがってそのまま歩いて行くうちに自然と展示物に目がむいていく。唯一、出土した瓦を展示している部分で動線が重なって流れが止まった。しかし通路から開けた空間へとつながる空間構成の妙がいい。最後に木造雲中供養菩薩像の空間に出たときには、開放感にあふれると同時に、仏像が雲に乗って漂っている様がいかにも楽しげで、ずっとそこに居たくなる空間であった。

出口をでるとCGによる鳳凰堂の解説ビデオが上映されていた。色彩の再現が鮮やかだった。これはCGでしか表現できないだろう。つい見入ってしまった。亮佑と晃志はたいくつしてきて、CGさえ見ないで、座ってまっていた。

そこを出ると、鳳凰堂の裏側。さきほどのCGとは異なり、塗りはほとんど剥がれ落ちている。ママは小学6年生のときに来たというが、そのときはもっと全体に朱が残っていたという。

もう少しゆっくり佇んでいたかったが、時間があまりない。平等院をあとして、源氏物語ミュージアムに向う。

つづく


土 - 5 月 3, 2008   11:11 午後