兄弟喧嘩


夫婦喧嘩は犬も喰わないというが、兄弟喧嘩ってどうなんだろう。

今朝、地下室で仕事してたら、さっきまで騒がしかった子どもたちが急に静かになった。

ママは今日は外でお仕事。

上がって行くと、晃志が亮佑の勉強部屋のドアをこじ開けようとしていた。
パパ「なにしてんの?」
晃志「亮佑があけてくれへんねん」
亮佑「でもナイフはやめろよな」
見ると晃志は左手に果物ナイフを持っていた。
パパ「なんでそんなん持ってんの? そんなん持ってきたらどうなると思うん?」
晃志「怪我しるところを亮佑がおもいっきり叩いてきたら…」
パパ「怪我して死ぬかもしれへんで? そんなん持ってきたらあかんやん」

晃志はパパを見上げると、見る見る間に目にいっぱいの涙がたまってきて、ナイフを手にしたままうなだれた。我に返って、とんでもないことをしている自分に気づいたのだ。

晃志をそのままにして、台所で亮佑に事情をきいた。

「メリーちゃん(晃志がお気に入りの羊の枕)を取ろうとしたら、つねってきたので、殴り返した。」
「それでわざと傷口をねらったん?」
「めちゃくちゃやったんで、怪我してるところにあたって知らんかった。」
「そんなむやみになぐっていいん? 逆に晃志がナイフをむやみに振り回したらどうなると思う? それを取り上げようとしてもみくちゃになったら、逆に晃志に刺さるかもしれへんで。どうすんの?」
「…」
「それは誰が悪いん? 亮佑が晃志に嫌がらせせえへんかったら、晃志もつねって来ないし、ナイフも持ち出せへんかったんちゃうか?
結局自分にかえってくんねんて。」
「…」
「毎日同じことくりかえしているんちゃうん? こうしたらこうなるってなことくらい、予測できるやろ? 人の嫌がることしたら、結果どうなるかってことくらい、想像しいなあ。」
「…」

そのあと、晃志にも話をした。まだ泣いていた。
「亮佑がメリーちゃんとろうとしたから、ベッドからひきづり下ろそうとしたら、足でみぞおちを蹴られたんで、カッとなって仕返ししたら、マメできてた足踏まれて、突き指してた指をそらされて、めちゃくちゃされて、部屋に逃げ込んでドアあけへんから、ナイフもってきたらあけるとおもった。」
(ヤブの中やな、こまかいところが、それぞれちがう)
「ナイフでおどそうとしたんやな。でもそのとき亮佑がドアから飛び出てきたどうなる? 晃志にその気がなくてもナイフが亮佑に刺さるかもしれへんで。そしたら晃志がどんだけ言訳しても、亮佑に怪我させたことだけが事実としてのこって、晃志は犯罪者になるで。そしたらもう家にかえってこられへんで。そうってもいいんか。」
「いやや」
「ほなもうナイフなんかもちだしたらあかんな」
「…」無言でうなずく。

やれやれ。


土 - 8 月 4, 2007   10:11 午前