二等辺三角形の面積


晃志の算数をみてあげた。三角形の面積は、底辺×高さ÷2。なぜそうなるかは直角三角形と長方形で教える。ところが晃志はまだ長方形の面積の求め方を知らなかった。

既に習ったことは何かを知っていないと教えられない。でも習ったけど忘れていることも多い。習ったこと自体を忘れていることさえある。いずれにしても、いま知っていることは何か、というところから始めないといけないわけだ。

ところが、こんなことくらいは既に知っているハズとおもって教えていると、「なんでこんなことがわからへんねん!」と激怒することになってしまう。そう、またやってしまったのだ。

まずはじめに、大きな長方形の一角が小さい長方形に欠けたものの面積を求める問題。晃志はその図に線を引いて2つの長方形に分けた。ところが、2つの長方形の辺の長さを計算できなかった。このとき、気づけばよかったのだが、適切な補助線を引くことができたのでそれに満足してしまった。

つぎに、正方形の頂点一つと他の二辺上にある点を結んでできた三角形の面積を求める問題。その三角形の周りには、正方形の他の三つの頂点を含んだ直角三角形が3つできる。その直角三角形をみつけられば解ける。

ところが晃志は三角形の面積の求め方を知らなかったのだ。三角形の面積どころか、長方形・正方形の面積の求め方さえも知らなかった。知らないことを前提に話をされても、何をいっているかわからないのが当たり前だろう。しかし晃志は、教えてもらっている最中に、それはまだ知らないということを言わない。

もっとも、図形の問題の前に計算問題をやっていて、二桁の掛け算の筆算の仕方を間違えて、大目玉くらったあとなので、萎縮していたのかもしれないが。

二桁の掛け算の筆算だって、つい先日みてやったときは、ちゃんとやっていた。筆算の途中で、次の位に1上がるってことを忘れ勝ちになるので、筆算の時は計算した過程をすべて書け、と教えた。すると今日はそのとおりにしてたのに、それを記入する縦の列をまちがえていたし、掛け合わせるべき数字も抜かしているのがあった。

先日は出来てたのを知っているから、なんやこの筆算は! とすでに怒号になっていた。

同じ調子で、図形の問題。どれもその問題自身を覚えておくべき基本問題なのに、晃志の解答はでたらめ。正方形の面積が求められないのだ! 

「面積ならったんちゃうんか?」「まだ」「さっき解いてたやん」「……」

とにかく、まだ習っていないことがわかったので、小学校の教科書をもちだして四角形の面積から順に、できるだけやさしく説明して、ようやく面積問題を解くことが出来た。安堵して、次の問題をみて唖然。私が解けないのだ!

頂点30度の二等辺三角形(等しい辺の長さは18cm)の面積を求めよ。

ン? 底辺はどれ? 高さはどれ? どしらたいい?

怒鳴ってた手前、この問題が分からないなんて言うのはかっこわるい。食器を洗っていたカミさんにさえ聞けない。冷や汗たらたら。

「この問題飛ばして、つぎに行こう。こっちのほうが分かりやすい。」

もすこし冷静になってれば、わかったかもしれないが、そのときはどう考えても分からなかったのだ。ちょっとはずかしい。かなり、はずかしい。

むかし、大学受験のとき、共通一次試験(いまの大学センター入試)の数学で、三角形の面積を2で割るのを忘れたために20〜30点くらい損したことを思い出した。


日 - 12 月 31, 2006   11:50 午後