靴のかかとをぶっち切る


昨夜、深夜11時に帰宅してもまだ起きていた子供たち。亮佑は足の小指をテーピングするために、いろいろ道具を取り出してきた。

包帯やガーゼなどを持ち出してきては袋から出してテーブルの上に店を広げている。衛生的に管理しなければならないこれらのものを、なんら気遣いなく不衛生に放置するのだ。それはすでにママから何度も注意されていた。同じことをまた目の前で繰り返すのでママがまた切れる。「どっからそんなんもってくんのぉ!」

パパはそのなか、帰宅直後の深夜のごはんを食べていたのだが、亮佑がテーピング用のテープをずるずると引き出して遊んでいたので、「はよ、なおしときや」とやさしく注意した(ここが大切。ママが注意していたことを、パパがさらに注意したということ)。

新聞読みながら食事をしていると、晃志が思い出したように、
「そや、パパに電話あった。○○さんが、ママに電話あったこと言っといてって。」
「パパに電話あったん? ママにあったん?」
「パパ」
「なんでママに言っといて、ていうん?」
「しらん」
「最初に誰に代わってっていわれたん?」
「パパ、でもパパまだ帰ってないって」
「そしたら、ママに言っといていったん?」
「うん」
「パパに言っといてっていったんちゃうん?」
「ママ」
「そんときママおったんちゃうん」
「おった」
「なんでママに代わらへんの?」
「ママに言っといてっていったから」
「ママに、て言われたときにママがいるんやったらママに代わりいな」
「わかった」
「でも、ママに言っといて、じゃなくて、言っといて、とだけ言われたんちゃうん?」
「そうかも」
「もうええわ、ちゃんと言われたこと伝えられへんのやったら、留守電にしといて」

最後の台詞は教育的ではないが、先日も仕事の電話を亮佑が受けたのに、誰からか忘れた、ということがあって電話の取り次ぎについては注意したばかりだからだ。まあ、そういうことがあって、ちょっとムッと来ていた。

終えて食器を流しまで持って行って洗い物をしようとしたとき、対面キッチンの反対側で何かが落ちた。

「なんかおちたで」とパパが言うと、
「パパが落とした」と亮佑。
「なんでえな、ここに居るのに、パパのしわざなわけないやん。なにがおちてん?」
「あんなあ...」イスにじっと腰掛けたまま亮佑が答えようとするが、じれったいので落ちた物を確認に行った。

カベに貼ってあった晃志の習字の作品。カベにかけてあった亮佑の財布。カウンターに立てかけてあったA5サイズのカードケース。亮佑はそれをいっこうに拾おうとはしなかった。自分の持ち物がおちているのに拾おうともしない。そのことに腹がたった。

「落ちてるもんは、拾った者のもん」といいつつ冗談で財布をとりあげると、あわてて取り返しにきた。しかし簡単には渡さないパパ。争奪戦が始まった。しかし、ふと気がつくと、亮佑はさきほどのテープをまだ手にしたままだった。しかも、財布を奪おうとしたのでテープは巻きがほどけて亮佑の体をぐるぐる巻くくらいになっていた。

「なにしてんねん、それ!」パパの矛先がそっちに向かった。
「さっきから、片付けろって言ってるやろ!」と頭を小突きまくる。
「包帯とかガーゼとかテープとか、衛生的にしとかなあかんもんを、そうやってあつかったら、もう二度とつかえようなるやろ。そういうことがわからんか。なんかい注意されてんねん。さっさと片付けろ!」ぼかぼかぼかぼかぼかぼかぼかぼかぼか。

この間、我関せずと、いつの間にか床にはいっていた晃志。しょげ返って、半泣きになって、片付け始めた亮佑。しかし、ガーゼの袋のなかに他のものを一緒くたに入れた。それを見たパパが激怒。

「何考えてんねん。ガーゼとそんなもん一緒の袋のなかに入れてどないすんねん。おまえは、物を片付けるってことを知らんのか。出したもんは元の場所に戻すってことや。ガーゼの袋のなかにそんなん入ってんか? そんなもん一緒にいれたらガーゼが使われへんようになるやろ。もっとものを大事しろ。毎日毎日、ものをかたづけるくせがないから、何をどうしたらいいんかわからんのや。食器を洗ったり、洗濯したり、何でも自分でやってみろ。そやないと何したらいいんか分からんのやろ。いつも言われていることがなんでそうせなアカンかぐらい考えられるやろ。なんでもかんでも贅沢につかいやがって。」と一気にまくしたてたら、帰宅時、こどもたちの靴のかかとが踏まれたままになっていたことを思い出した。
「そや、靴のかかとふむなってしょっちゅう言ってるのに、今日はふたりとも靴のかかと踏んだままや。そんなにかかとがいらんのやったら、きっといたる。いつも言ってるやろ、要らんかったら切るからな。」

パパは激怒して、前後の見境なく、踏みつけられてぺちゃんこになっていた靴のかかとをはさみで切り取った。「もうおまえらには二度と靴を買ったらへん。」

今朝、それにきづいたママ。「くつ、こわしたらアカンわ」とパパを非難したので実力行使しないといつまでたっても言うこときかへんやんと反論すると「話にならんわ」。

たしかに、ちょっと反省。

しかるに、もうその直後には「床におとしてる服ひろえ! 毎日毎日いってることがわからんか!」とパパと同じこと言ってる。


土 - 2 月 25, 2006   10:52 午前