夏休み自由研究


今年もまた夏休み自由研究のしめきりがやってきた。結局親が手伝うことになるけど、みんなそうなんだろうか。

そもそも自由研究というのは、夏休みという長期間の間に時間をかけてまとめることを期待して出されている宿題だが、子供たち自身にとって夏休みとは遊びほうける期間であって、宿題や勉強をする期間ではないのだ。だから「宿題しいや」というと必ず不機嫌になり、ときとして家財を壊しかねないほどの悪態をつく。

そんな子供たちと四六時中接するママは、夏休みが大嫌いだ。早く学校が始まってほしい。ママは夏休み当初にスケジュールを立てて、余裕を持って宿題をやり終えさせようするのだが、彼らには夏休みの宿題も自由研究もやる意欲がないものだから遅々として進まない。この時期になると決まってママは半狂乱になる。当然、パパも同じように怒鳴りだすから、ますますやる気がなくなる。素直にママのいうとおりにしていれば、万事うまくいくように考えられているのだが...

今年も夏休み当初から自由研究は何するの? と言い続けてきたが、晃志がテーマを決めたのは8月も半ばを過ぎてから。晃志が得意とするギリシャ神話をまとめることにした。晃志にギリシア神話を語らせると、話がつきない。里中満智子の「ギシシャ神話」全8巻を何度も読んでいるからだ。しかし本の扱いが手荒いし、読みっぱなしで床に放置してあったりするので、本の帯はボロボロ、カバーも破れて、付録のポストカードも折れ曲がっている。マンガといえども本は本、もっと丁寧に扱えと何度叱ったことか。しかし、晃志のようにその内容をしっかり習得していると、多少手荒く扱ってもよしとするか。

さてギリシャ神話だが、どうやってまとめるかが難しい。単に系図だけでは面白くないしので、当初、遊戯王カードのようなものをつくってはどうかと提案したら、大いに賛成した。冷静に考えると、カードの図柄を描くだけの力量は晃志にはない。そこで、まず下書きとして「晃志が知っていることをすべてノートに書き出してみてみ」といって大学ノートを1冊わたした。見開き2ページにひとりの神を割当て、左側に絵、右側に文を書くように言って、神の名を連ねていく。オリュンポス12神のほかに誰と誰とか言い出すと、パパの知らない名前がどんどん出てくるのには感心した。

ところが、この下書きがいっこうに進まなかった。もう夏休みも残すところ4日となった28日、ノートを与えた初日に書き込んだ分以降、ほとんど何も増えてなかった。これでは何もできない。系図を書き写すだけでもこの子にとっては大変な作業なんだからそれだけいいの、というママの進言もあったが、さすがに系図だけではなんのことかさっぱりわからにゃん。B5ノート見開きのページ内容をA5サイズに縮小し、文字はもちろん大きいままで分量がうんと少なくなるようなフォーマットをつくって、いきなり清書として作り上げることにした。

清書していくと、ママの予言どおり、晃志は、系図がまったく書けないことが分かった。仕方なしに、系図の枠をつくってやって、それを写させることにしたが、それでもまっすぐな線が引けない。ああ、なんともなさけない。それでもなんとか系図を書き終え、神々のカードの文字部分も書き終え、残すところ挿絵のみとなって迎えた29日月曜日。「夕刻までに完成すれば回転寿司につれてってあげる」とのママの言葉に奮起する晃志。どうにか間に合わせることができた。

しかし宿題はこれだけではなかった。壁新聞と笛の練習を残していたのだ。これはもうパパは知らない。

一方、亮佑は歴史上の有名科学者をまとめるという。しかも、晃志よりたちが悪いのは、当初晃志と同じギリシャ神話で勝負するといっておきながら、土曜日にママと相談して急遽変更したのだ。なんでも塾で歴史上の有名人の勉強をしたので、簡単にまとめられるというのだが、日曜日の朝からずっとパソコンの前に座ってて、ノーベルの写真を1枚ワープロに張り付けて、アルフレッド・ノーベルと書いただけ。昼食後、痺れを切らしたパパが、どんな人たちのことを、どんな項目で、どのようなレイアウトでまとめるつもりか? と問いつめると、なーんにも決まっていなかった。

そこで有名な科学者ということで的を絞りリストアップさせた。亮佑の好みもあるが、たった6人。それでは自由研究にならんやろう、と言うと、ママが最低5人と言ったと反論する。また、ママのせいにする亮佑だが、とにかく少ない枚数で逃げ通す魂胆だ。いくらなんでも少なすぎるから12人くらいは書きなさいといって、さらにリストアップさせた。

つぎに、それぞれについて何を書くかということだが、それを全く考えてなかったようだから、いったいどうやって日曜日中にまとめあげるつもりだったのだろう。ママが音楽の教材につかっている音楽家カードのようなものを作りたいらしい。そこでママの音楽家カードを拝借して来て、何が書いてあるか調べさせた。ただし、亮佑は科学者なので、音楽家がたくさん作曲しているのと異なり、たいてい有名な業績は1つか2つくらいだ。そこで、有名な業績をその人の「キーワード」としてあげて、その業績の内容をわかりやすく簡単に説明するということになった。

結局、書き込む項目のフォーマットを作ってやったら、その後は亮佑ひとりで人物図鑑をしらべて書き上げたので、まあ許してやろう。それにしても枚数少なすぎのような気もする。50人くらいあったら結構みんなおどろくとおもうけどな。


水 - 8 月 31, 2005   02:48 午前