ジブリアニメの棒読み声優たち


ポニョの感想として声優が棒読みだと批判したが、実はジブリのアニメはごく初期のものを除いて、最近のアニメの声優陣は棒読みが多く、げんなりすることが多い。

有名な俳優を起用して話題性を重視する一方で、作品として、キャラクターの声に命を吹き込む努力を怠っているように思う。近年の宮崎アニメを画面を観ずに音声だけ聞いてみると、ラジオドラマとは比較にならないくらいヒドい。

で、ふと思いだしたのは、不確かだが、宮崎駿が手塚治虫を批判していたこと。

手塚は鉄腕アトムのテレビアニメ制作時に破格の契約料で受注したために、制作コスト削減のためにいろいろな工夫を凝らした。のちにそれが日本のテレビアニメの手法と定着してしまった。アニメは低料金で作成できるという誤解を与えてしまった。手塚はディズニーアニメをみてそれを理想としたはずなのに、テレビアニメの低コスト化を実現したためにそれが定着し、アニメ業界の低賃金化を押し進め、アニメの技術的進化を遅らせた、と宮崎駿は批判していたと思う。

しかし、手塚が日本にアニメを普及させ、定着させ、独自のアニメ文化を築き上げていく礎をつくったことにはまちがいない。

その土壌で宮崎はアニメの表現技術を磨いた。そしてそれは世界に冠たる宮崎アニメとして、最高の地位を獲得した。しかし、宮崎が手塚を批判するなら、もう一方で、アニメ制作を取り巻く環境の改善、つまりアニメーターや声優などアニメ制作現場に正当な報酬が払えるように改善していくのは宮崎の責任だろう。

ところが、宮崎はアニメ映画の手描きにこだわりながらも、その制作費を棒読みしかできない有名タレントに費やした。それによって、アニメ声優は活躍の場を奪われ、ひいてはアニメ業界全体の人材不足と低迷化につながっていくと思われる。


土 - 8 月 23, 2008   05:21 午前