ブラックレインSAYURIの口直しに、日本人がたくさん出てくるアメリカ映画を観たくなったので、選んだのがこれ。大阪ロケが有名なリドリー・スコット監督の1989年公開作品。ロケ当時、天満橋(大阪府庁の近く)で働いていたので、マイケル・ダグラスが来る! と大騒ぎだったのを思い出す。ロケだけあって,生の日本風景を見ることができる。しかも大阪、神戸といった身近なところ。しかし、20年経ってすでに失われた景色もあるので懐かしい映像。
久しぶりに見た。光(電飾や照明)に溢れる大阪が美しい。
映画のなかでの日本人は基本的に英語を理解しないものとして日本語を話す。英語と日本語が入り交じっていて、臨場感がある。 アメリカ本国で横領の疑惑をもたれるような異端児的の刑事が、米国から護送してきた日本人殺人犯を取り逃がし、日本で再逮捕しようとするドラマ。自分流の捜査を展開しようとするが、日本の警察に阻まれる。ここは日本だ。現実の日本では日本のやり方がある。わけの分からない国であっても、日本であることを、ロケ地での風景がしっかりと認識させてくれる。 リドリー・スコット監督は『ブレードランナー』で漢字のネオン看板が溢れる街並みを未来世界として描いたが、この『ブラックレイン』でもそれを流用。正しい漢字を使っているのは、これは現実社会だからということだろう。または漢字を学習したのかな。それでも、その場に不似合いな字(諸行無常とか)だったり意味不明な字があったりするが、それはご愛嬌としよう。大量の自転車通勤シーンも中国とまちがえてるのは明らかだが、あれは工場内ということで… ブラックレインとは黒い雨。つまり敗戦を経験したかどうかが日本人を二分しているという話。黒い雨を旧来の日本人の反米感情の象徴としている。新しい世代のヤクザが旧世代の親分たちの領域を強引に奪おうとしているのを戦後日本のアメリカナイズにかぶせている。しかし新世代ヤクザも本場ニューヨークのアウトロー刑事の執拗さには辟易する。悪徳刑事の疑惑のあるニューヨークの刑事が心を動かすほどに感銘を受けたのは、ある一人の日本人刑事。組織の一員としてしてしか動かないこの刑事は日本社会の代表ともいえるが、最後には自分の気持ちに忠実に、友情に応えようとして「穴から出る」。 敗戦国への思想的侵略で世界の指導者として君臨しようとしたアメリカも、今や汚職にまみれてしまった(当時)。しかし敗戦国にはいまだにアメリカ流ではない正義が存在している。それを見習うべきだとてでもいうのだろうか。 ブラックレインというタイトルに秘められたいろいろな解釈が可能であろうが、最終的には人と人の交流に国境はないということ。ラストシーンでの高倉健の表情が印象的だった。 |
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カレンダ
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Total entries in this category: Published On: 1 月 24, 2010 01:09 午後 |