ダヴィンチ・コードをビデオで観た


小説を読んだのはいつだったか忘れた。映画が公開された時点で観に行きたかったが、実現しなかった。ようやくビデオで観る機会を得た。詳細をわすれていたので、映画を楽しむことができた。

ルーブル美術館での殺人事件の犯人と目されたラングドン教授と捜査官の一人でありながら殺された男の孫にあたる女性ソフィーとの真相究明のドラマ。ソフィーがラングドン教授に話しかけるときの呼び名が、「教授」という肩書きから名前と変化しているところに、二人の人間関係の変化を読み取れる。

ハラハラドキドキしながら観ることができなかったのは、あらすじを予め知っているからだ。しかし小説にはあった詳細が省かれているところがどこなのか分からない(忘れた)ので、映画のストーリー展開自体は破綻なく観ることができた。誰が悪者かさえ忘れていたりして、話の展開におどろいたが、それは初めて映画で観る人にとっても、どんでんがえしの連続という意味でおもいろいところだろう。

でももっとスケールの大きい話のようだった気もするが、なんとなく矮小化しているような気がしないでもない。ウエストミンスター寺院でのCGは、宇宙スケールに発展するが、それはちょっと意味がちがう。また、この映画にふさわしくないCGだった。蛇足におもう。

また、小説を読んでいたときは映画的展開と思えたシーンの入れ替わりが、映画では当たり前のように思えた。当然と言えば当然なのかもしれない。

ダヴィンチの絵に書かれた謎は、最後の晩餐のみ。ダヴィンチ・コードの表紙はモナリザだし、もっとダヴィンチの絵についての解説がほしいと思った。それでも、最後の晩餐をCGで分析していくところは、とても分かりやすかった。

エピローグの意味がわからなかった。ルーブル美術館の地下深くにマリアの墓があってどうなるというのだろう。

トム・ハンクスはやっぱり良い演技をする。この映画のためなのだろうか、痩せたせいで知的に見える。ソフィー役のオドレイ・トトゥ は、なんとなく「オーシャンズ12」のキャサリン・ゼタ= ジョーンズに似ている? フランスが舞台だし、役が似ているせいもあるかな。しかも黒髪で、キリストの末裔にもふさわしい面立ち。フランス語なまりの英語もいいかんじだった。

シラス役のポール・ペタニーは、「ブレードランナー」のロイ役のルドガー・ハウアーをもう少しスリムにした感じで、内に秘めた心情を表情と動作で表すところもルドガー・ハウアーに似ているように思う。

「ブレードランナー」では、ロイの命が切れて、鳩が空に飛んで行くシーンがあるが、あれは狂気に溢れたアンドロイドのロイが死を迎える瞬間に到達した人間性の表現だ。シラスの描かれ方はどことなくロイに似ていて、最後に自分を育ててくれた神父を自ら殺してしまった絶望から死に至るが、その瞬間に報われているように思え、ロイの死のシーンとダブった。


日 - 10 月 7, 2007   02:20 午前