どろろ


手塚治虫原作のマンガを実写映画化。雑誌連載時にリアルタイムで読んでいた気がしてたが、連載開始の1967年はまだ小学3年生。リアルタイムじゃなかったのかもしれない。テレビアニメ(1969年)はリアルタイムで見ていたように思う。でもこのころの手塚マンガはあまり好きでなかった。

亮佑の合格祝いとして無理して封切日に映画を見た。一言で言うとこれはテレビドラマだ。映画的映像作品ではないとの印象。

ストーリーを丁寧に追いかける説明的な映画。丁寧に説明しすぎてカットが冴えない、切れがない。脚本的にも後半の展開が間延びしてダレた。しかし、それは編集でなんとか補えたのではないか。つまり編集の詰めが甘いということか。

電通は日本のエンターテイメントが変わると宣伝しているが、妖怪との決闘シーンは、日曜朝のテレビ番組のスーパー戦隊シリーズのようなで、笑えた。唯一楽しめたシーンだ。BGMのスパニッシュギターも軽快でよい。

妖怪の声は「幻魔大戦」や「帝都物語」なんかを思い出させるステレオタイプ。いかにも悪霊といった感じ。

アニメ映画「攻殻機動隊」で描かれたシーンが映画「マトリックス」で採用されるなど日本アニメの質は高いのに、日本の実写映画のレベルはやっぱりこんなものか。所詮テレビ局が作成したエンターテイメント映画とは、こんなものなのだろうか。

あたかも日本を知らない欧米人がつくった日本の風景というシーンがあった。あとで分かったが、無国籍なアジア的に表現したいという監督の意図のようだが、それを目指していたとしたら成功しているのかもしれない。しかしどうしてわざわざそんなことをする必要があろうか。刀など純粋に日本的なモノがほぼ全体を占めているのに、部分的に他国の要素を取り入れて、敢えて違和感を創出しようとする意図が分からない。純和風にこだわりをもったほうがもっとおどろおどろした妖気を醸し出すことができたようにおもうのだが。

戦闘シーンも中途半端にカンフー的、殺陣も伝統的なチャンバラとちょっと違ってなんか派手すぎる。カンフーにするならもっと徹底してカンフーにしてほしい。

山間部のシーンでは、日本的でない風景だったが、ロケ地はニュージーランドらしい。「ロードオブザリング」や「ナルニア国物語」と同じロケ地だと宣伝してようだが、比べる対象とのレベル差が大きすぎて、はずかしい。とはいっても、このロケは成功しているように思う。

冒頭のシーンで醍醐が僧侶を切るシーンがあるが、それを最後に再び台詞つきで使い回すのは冗長で蛇足。映像的には、CM前後に同じシーンを重複して流すとか、前回の続きのシーンを重複して流すとか、テレビ番組で多用されている様な押しつけがましさがある。それより、なにより、我が子の身体を悪霊に差し出して天下を取りたいと願った男が、最後には妙に人間じみてしまった演出が理解できない。何が彼(醍醐)の心をそこまで動かさしめたのか。ダースベーダーが死ぬ間際にアナキンに戻るのに比べても、単純すぎて、納得できない。

そういえば冒頭の酒場のシーンは、スターウォーズの酒場のシーンに似てた。無国籍的という点でも。しかし踊り子の肌の露出度や髪型は、まるで現代。同様に、柴咲コウ演じるどろろがどうも時代劇ぽくないと思っていたのだが、たぶん眉毛を今風にきれいに整えているからでは?

子どもたちは大はしゃぎでよろこんでたから、良しとするか。


土 - 1 月 27, 2007   11:58 午後