映画ナルニア国物語 第一章


晃志を連れて観に行ったので、当然日本語版。予想通り原作の物語をほぼ忠実に再現している。物語の密度として2時間くらいの映画するのにちょうどいいということだろう。その点ハリーポッターとちがって、映画だけを見た人が物語がよくわからないということはない。

冒頭の空襲シーン。防空壕にかくれようとする母と四人の兄弟姉妹。原作にはない。そこで兄弟の性格を描こうとした目的がまるわかり。しかし、このシーンの挿入によって、疎開しなければならない理由もこのシーンで充分理解できる。さらにナルニア国物語全体と現実世界との対比がより明確になった。けれど空襲に逃げ惑う家族の陰鬱な雰囲気がずっと印象にのこり、どうしても現実社会にひっぱられる感じがする。ナルニアにいても現実が気になる。

その理由はもうひとつあって、疎開先でお世話になる教授の登場があまりに遅いということ。子どもたちが疎開先に到着してから、は、陰険そうな家政婦にあっただけ。ルーシーがはじめてナルニアに行くまでの間、ルーシーは決して安堵していない。母親と分かれた不安な気持ちのままナルニアに行っている。他の兄弟とて同じ。ルーシーがいくら訴えても信じないのは無理ないだろう。

しかしナルニアは果たしてそういう国だったのだろうか。

あとからひょこっと登場する白髪の教授。教授がなにかタンスの秘密をしっているような素振りでナルニアのことを聞きたがるのは、布石か? しかしこの物語には不要だろう。原作のように到着したその日のうちに子どもたちに気に入られる風変わりなおじいさんとして描いておけば十分のように思う。そうでないと、子どもたちが疎開先で心を解き放ってナルニアにいくことができなかったのではないか。

それから、戦いのシーンが長い。エンターテーメントに仕上げるためには必要なのかもしれないが、どうみてもロードオブザリング。「ナルニアのために、アスランのために」と戦いに挑むピーターは、まるで「フロドのために!」と叫びながら戦闘を開始するフラゴルンのよう。逆に、アスランが援軍にきてからは、あっけないくらい。描写はまるでアラゴルン率いる死の谷の亡霊軍のようだった。

「どうしてアスランは去って行ったん?」と晃志が聞く。
「アラゴルンが王になって、フロドの役目(指輪をこわす)が終わったんと同じちゃうか。役目を終えると去っていくもんや。」

それにしても、巧みなCGにおどろく。動物たちが喋るシーンは当然CGでしょ?
ルーシーはめっちゃかわいい。いい演技してます。

そうそう、亮佑が何だかわからなかった、エドマンドが魔女からもらったお菓子は、ターキッシュ・デライトっていってた。しらべてみたら、トルコのお菓子でロクムというものらしい。ターキッシュ・デライトは英語名。翻訳本ではプリンだったが、プリンでもない。



土 - 4 月 22, 2006   05:58 午後