スチームボーイ


ファン待望の大友克洋のアニメ映画。昨年の夏に公開されたが、劇場には観に行けなかった。先日、DVDを借りてようやく観る事ができた。

大友克洋といえば「アキラ」。映画的構図の連続する劇画に夢中になり、それがそのまま映画化されたときは感動したものだ。「スチームボーイ」は産業革命時代のイギリス、ロンドンを舞台にした冒険活劇ということで、子供といっしょに楽しめる作品として期待した。

冒頭、昔の東宝の怪獣映画を思い出すようなシーン。おそらく映画の後半ごろになってその位置づけがわかる物語の始まり部分。しかし、これから始まる物語をここから予想するのが難しい。ちょっと退屈そうという印象が強い。それに、暗い画面が分かりにくい。もう少し明るく描いてもいいのでは?

全体を通して光彩の描き方が注意深い。産業革命時代、イギリスの空はどんよりとくすんで、街も石炭の煤煙に覆われてくすんでいたのだろう。そういう雰囲気がよく伝わってくる。ロンドンの町並み、ロンドン博のクリスタル・パレス(水晶宮)など、背景の描き込みも見事だ。明暗部の描き分けも素晴らしく、明るい日差しの場面では色彩もきれいだ。しかし、暗い分は彩度も明度も低く、わかりづらい。娯楽アニメとしては、暗い場面をそのまま暗く描くのはどうか。

冒険活劇としては、主人公の自宅が襲われるあたりから、それらしくなっていって最後までその勢いで押しまくる。蒸気機関をつかったいろんな発明品がつぎつぎと登場しては破壊されていくあたりは、とても楽しい。なんとなく「ラピュタ」を思い出す。

そうえば、スチーム城は「動く城」といっしょ?


水 - 11 月 30, 2005   04:29 午前