取り残された文化ホール


長浜市民会館は、長浜駅からバスで10分、徒歩なら30分かかる、国道8号線沿いにあった。タクシーにのって行ったが、駅からだと市役所を超えてさらに2倍くらいの距離がある。かなり不便、国道沿いとはいえ,辺鄙なところ。かろうじて隣地にコンビニがあるのが救いかも。

途中タクシーの中で、それらしき建物に出くわしたが、そのまま通過していく。市民なんとか、って書いてあったように思うが、市民会館ではなかったようだ。

大きな豆腐型(直方体)の建物で外壁は黒っぽいタイル張り。正面中央付近に星形を思わせるようにデザインされた、コンクリート打放しのスロープとそれを支える2本の斜めの柱が、どーんと存在感を示している。

正面につけてもらったが、そこはピロティ。駐車場っぽくて、いわゆる文化ホールの正面玄関ぽくない。そしてホールの入口がどこかわからない。これじゃ、人来ないよ。いきなり、そう思わせる雰囲気が建物に漂っていた。

デザイン的には昭和40年代のものか。タイル張りの外壁が、どことなく懐かしさを感じる。ピロティ部分は梁もむき出しで、その柱と梁には木目がはいっていた。たぶん、建設当時としては結構贅沢な作りだったと思う。

入口は、ピロティの半ばにあったが、事務所(文化スポーツ振興事業団)の入口のほうが奇麗に改修されていて、どっちがメインの入口かわからない。目的の会議室は、入口はいってすぐの階段をのぼった2階にあった。階段はそのまま3階に続いており、どうやらその上がホールのロビーになっているようだ。

それにしても、照明が暗い。手入れが行き届いていない。会議室の壁は汚れ放題、天井もシミだらけで、一部はがれている。しかし、オーケストラのコンサートなどは催されているようで、事務所には関西フィルのコンサートのポスターが貼ってあったりする。

ホールのロビーまでは階段しかない。しかも狭い。何人収容できるかしらないが、これでは防災面で不安が残る。エレベータがない。どうやら、外のスロープがメインのアプローチのようだ。しかし、その幅は二人がようやく並んで歩ける程度。せますぎる。今となっては、ホールの設計として、あまり良くないというか、学生がこんな設計してきたら許さない。

結構丁寧に建てられているのに、もったいない。現代風に改修してもうすこし上手く使いこなせないものか。たぶん耐震補強にお金がかかるんだろうなあ。

ネットで建設時期と設計者をしらべてみたが、他の団体がつくった文化ホールのサイト(あ〜とねっと・しが )で、ようやく1965年11月設立 ということがわかった。座席数881だった。こういう情報が、市民会館の公式ページ に掲載されていないこと自体が、かなしい。もちろん、設計は誰かわからない。

そうそう、館内には定礎があったが年月は刻まれてなかった。また建設資金への寄付者が銅板にきざまれていたが、それにも日付ははいっていなかった。竣工当時の写真(現在の駐車場は土のまま)があったが、それにも日付ははいっていない。いろいろなものが古めかしくて、なんだかタイムマシンにのって過去にきたような錯覚におちいったが、トイレだけは奇麗に改修されていた。

長浜は、黒壁スクエアの取り組みがいろいろ評価されているが、こんな文化施設を放置しているところをみると、黒壁スクエアもなんだかまやかしっぽく思えてきた。


土 - 6 月 30, 2007   11:13 午後