不動産コンサルタント


マンション学会ではじめて知ったのだが、一般人の不動産購入にあたって、その内容を投資対象ではなく、あくまでも購入者が居住するという立場にたって客観的に良否を判断してくれる不動産コンサルタントが存在する。

さくら事務所の長島修氏がメインシンポジウムのパネラーに招かれて、その業務内容を紹介していた。

一般に、不動産売買は不動産業者のペースですすめられ、売買契約者がゆっくり落ち着いて物件の内容を評価したり、購入資金計画を立てたりすることが難しい。業者の立場では、どうしても物件優先の売買業務になってしまいがちだからだ。そこで、売買における利害関係から一歩引いた状態で、不動産売買の内容が適切かどうかを客観的に評価するためだけの業務として、不動産コンサルタントが登場する。

いったいそんな業務だけで会社が成り立つのだろうかと心配もしたが、まったく問題なく、あくまでも面談による相談業務は完全予約制で非常に繁盛しているようだ。長島氏は不動産購入のノウハウに関する著作も多い。

マンションはそのストックが500万戸に到達した。これまで中古の一戸建住宅は建物価値よりも土地の評価額が占める割合が大きかったが、新築販売価格においても地価の反映が少ないマンションでは、中古の場合とくに建物そのものや内装など住み心地が評価される時代となってきた。中古マンションをとおして、不動産を投資対象とみるのではなく、居住のための住まいとして正当に評価するという視点が息づいてきたとことだろう。

欧米の中古物件市場では、ていねいに手入れして、長年住み込んだ住宅のほうが評価が高いそうだ。

適切に維持管理されたマンションは、建築後30年を経てもなお、快適な住環境を提供している。適切な維持管理が10年、20年と積み重ねられることによってのみ得られる住み心地というものがある。高経年マンションの住み心地を決める要素は何か。不動産コンサルタントは高経年マンションをどのように評価していくのだろう。


知人が独立して女性だけを対象とした不動産業を始める。あくまでも購入者の立場にたった中古物件の斡旋業だそうだ。日本においてもようやく中古住宅市場が活性化していく気配を感じる。


水 - 5 月 2, 2007   10:48 午後