JR西大路かいわい


グループリビングの調査のために行ったマンションは、JR西大路駅の北西、徒歩約15分のところ。駅は南側にしか改札口がないので、北側には線路をぐぐるトンネルを抜けないと行けない。

その様子を学生がCDLビデオコンテストの作品にまとめていたが、ビデオでみた風景と同じものを目の当たりにすると、なぜかうれしくなった。しかし、京都駅の隣に位置するとは思えない駅前の様子。商店がほとんどない。駅前で喫茶店がひとつしかないとは驚き桃の木サンショのキ。トンネルを抜けた後、そのビデオとは異なる方向に向かう。

1月17日のヒアリング調査につづいて今回は2回目の調査。目的地のマンションがどこに位置するかは承知のうえだった。しかし、初めて来たとき、駅前にどーんと位置する巨大な工場を迂回するような経路でようやく目的地にたどりついたときは、その工場のための駅でしかないように思われた。工場のなかにはたぶん食堂なども充実していて、はたらく人たちはすべてのことを工場内でまなない、仕事が終わればさっさと京都までくりだして呑み喰いするのだろう。

八条通に出ても、沿道にはほとんど店がなく、看板はあっても既に閉めているような感じで、とてもさびいしい。たどり着いた吉祥院ガーデンハイツは、複数棟が「日」の字型住棟配置で敷地を囲い込み、敷地南側の1階部分が店舗になっていた。その店舗、十数軒あるのだが、あいているは数件で、しかもスナックとかバー。その真ん中に目的のグループリビング「けやきの家」があった。

駅前の工場に勤めていたオーナーが定年退職後、通勤途中にあったこのマンションの空き店舗を買い取り、身近な交流の場として開放しはじめたのが3年前。運営しやすいようにNPOを設立して、今ではほぼ毎日、すわるビクスや、カラオケ、折り紙教室、会食会などをおこない、すっかり地域にとけこんだ施設として利用者も多い。

今日は、カラオケの日。誘われてこの日はじめて参加された、という方は、徒歩5分の近隣住まい。こんなに近くにこないなとこがあるなんて知らなんだ、と嬉しそうだった。

殺風景な工場地のなかに比較的低層な木造住宅が建ち並んで、なんとなく殺伐としていたこの界隈。この「けやきの家」では人々のあたたかい交流がさかんにおこなわれていた。


土 - 3 月 4, 2006   11:36 午後